神戸製鋼: 役員会は疑問に答える必要があるとしても、直面している危機の根はもっと深いのでは

このブログを書いている段階では、まだ神戸製鋼が直面している危機的状況の全貌は明らかにはなっていませんから、ウォーターゲート事件の有名なセリフをまねて、「役員会は何を知っていたのか、いつ知ったのか」について正確な判断を下すことはできません。

現時点で明らかなのは、日本の代表的な大企業の1つである神戸製鋼が長年にわたる制度上の失敗から、企業イメージの大幅な悪化、暴落した株価、予想される損失の影響は今後何十年にもわたる可能性があるという危機的状況をに陥っているということです。

現時点での責任はともかく、神戸製鋼における問題は明らかです。品質検査のデータが改ざんされたアルミニウム、銅及びスチールの部品が、世界中のさまざまな産業へと供給されていたのです。供給先には航空機製造業、自動車製造業や建設業界などがあります。検査データの改ざんは10年ほど前から始まっていたとも言われています。

最終的には役員会が責任を取り、自らの組織で何が起こっていたのかについて答えなければならないのは明らかですが、実は今回の問題の底にはもっと根深い何かがあるのではないかと疑っています。

ガバナンスに関する議論の皮肉の1つに、危機の際には、役員会レベルのコーポレートガバナンスの問題は速やかに公表されるということがあります。しかし、多くの場合、重要な問題は実務上のことであり、主要な要因は企業文化なのです。神戸製鋼ではデータの改ざんは常態化していたと見られ、疑問に思われることも、報告されることもなく、ごく当たり前の運用となっていたようです。これは文化の問題であり、実務のガバナンス上の問題ということになります。

今回の危機により、すべての会社の役員会は自分たちの文化について自ら問い直す必要があるのではないかという疑問が浮き彫りとなりました。

トップダウンのアプローチだけでない双方向のコミュニケーションを確実に行うために、役員会はどのような対策を導入したらよいのでしょうか。

役員会は公式なルートからだけしか情報を得ていないのでしょうか。その場合はどのようなリスクがあるでしょうか。

特に、社外取締役には、会社の実務について、より包括的な情報を手に入れることができる非公式のルートがあるでしょうか。

また、内部告発をした従業員は、厄介なトラブルメーカーとして取り扱われることはないでしょうか、反対に、警告を発してくれた、ありがたい存在として評価されるでしょうか。

特に重要なのは、内部告発者が仕事を失ったり、昇進を拒否されるのではないかと恐れることなく、上司や役員会に問題を提起することができるかということです。

しかし、私たちは日本人として、自らこの難しい質問に答える必要があります。タカタ、日産、東芝、三菱、そして今回の神戸製鋼で起こっている一連の企業危機において、これらもっとも重要な企業群の評判を傷つけることを許したビジネス文化とはいったい何なのか。従業員たちが進んで「不都合な真実」を述べる企業文化を育ててきたか、あるいは逆に隠蔽と偽装の企業文化を育ててきたのかを自らに問う必要があります。このプロセスは痛みを伴います。しかし、これらの問いを問いかけることによってのみ、日本のビジネス文化についての誇りを取り戻し、日本品質に対する評判を再構築することができるのではないでしょうか。

これらの問いは、役員会が通常の活動範囲の外側にまで進んで権限を広げ、自分たちの会社と自らの責任についてより包括的な視点を持つことによってのみ、答えることができるのです。戦略を立てる人々とそれを実現する人々の間の橋渡しが優先されるべきです。役員会は組織の頂点に坐して、日常の業務から離れていることがあまりに多いのですが、これらの問いに対する答えは監査委員会や報酬委員会ではなく、組織本体から見出されるのです。

IRCA UK/ IRCA ジャパン

企業のアイデンティティ、文化

現在、改訂作業が進行中の ISO 9004 は、「ISO 9004 品質マネジメント – 組織の品質 – 持続的成功を達成するための手引き Quality management - Quality of an organization - Guidance to achieve sustained success」となります。「組織のアイデンティティ」についての新しい箇条が追加され、まさに、今日、世界中の多くの企業が直面している問題の根底にあると思われる「組織のミッション、ビジョン、価値基準、文化」についての手引きが示されています。

IRCA では、改訂最新情報も含む、「ISO 9004セミナー 組織の持続的成功のために」を下記のとおり開催いたします。

  • 講師: Richard Green, IRCA Japan Technical Executive
  • 開催日程: 2017年11月29日 10時 ~ 16時30分
  • 場所: 紀尾井町フォーラム (東京都千代田区紀尾井町)

詳細及びお申し込みはこちらから

皆様のご参加をお待ちしています。

登録審査員サービス

「IRCA登録審査員/監査員専用サービス」のご利用は以下の「Log in」ボタンよりアクセスしてください。


「登録審査員サービス」への登録がお済みでない方は、IRCAジャパン(ircajapan@irca.org)までご連絡ください。


ご登録情報の変更はこちらをご確認ください。
Log in