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サービス組織を監査・審査する

ISO 9001は、すべての組織に適用することを意図したものですが、監査・審査員が特に注意深く考慮するべきサービス組織の特性があります。以下、ISO 9001 審査実施グループ(APG)が解説します。

ISO 9000の3.4.2 項「製品」によれば、サービスは次のように定義されます。「サービスは、供給者及び顧客との間のインタフェースで実行される、少なくとも一つの活動の結果であり、一般に無形である。サービスの提供には、例えば、次のものがある。

  • 顧客支給の有形の製品(例 修理されるべき自動車)に対して行う活動
  • 顧客支給の無形の製品(例 納税申告に必要な収支情報)に対して行う活動
  • 無形の製品の提供(例 知識伝達という意味での情報提供)
  • 顧客のための雰囲気造り(例 ホテル及びレストラン内)」

大半の組織の製品には、サービスの要素が含まれます。これには、サービスの部分が100%という組織(法律事務所など)から、アフターサービスを提供する製造企業など、サービスの部分が比較的小さい組織まであります。

サービスの設計・開発(3.1)

ISO 9001の7.3項をサービス組織に適用するか否かを考慮するとき、「設計・開発」の定義を念頭に置くことが肝要です。ISO 9000の3.4.4項によれば、「設計・開発」は「要求事項を規定された特性に変換する一連のプロセス」と定義されます。そして、ISO 9000によれば、「要求事項」とは「明示されている、通常暗黙のうちに了解されている、または義務として要求されているニーズもしくは期待」であり、サービスの「特性」は、「そのものを識別するための性質」であって、それには以下が含まれます。

  • 感覚的(例 嗅覚、触覚、味覚、視覚、聴覚)
  • 行動的(例 礼儀正しさ、正直、誠実)
  • 時間的(例 時間厳守、信頼性、アベイラビリティ)
  • 人間工学的(例 生理学上の特性、又は人の安全に関するもの) 
  • 有形的(例 測定可能な特性-これは、サービスを提供するために使用される物理的手段の特性、例えば飛行機の最高速度、あるいは、サービスが提供される環境の特性、例えば、飛行機内の気温や設備などがある)

組織が7.3項の要求事項に対応しようとするとき、製品の有形部分のみを考慮し、無形の製品(サービスそのもの)の設計・開発を主眼とするべきであることを忘れてしまうということがよくあります。また、組織は、顧客にサービスを提供する方法も設計する必要があります。

組織がそのQMSについて設計・開発の適用除外を正当化したい場合、監査・審査員は、上記に照らして適用除外が正当であるかどうか慎重に評価しなければなりません。監査・審査員は、組織が顧客のニーズと期待に応えるために必要なサービスとサービス提供プロセスの特性を十分に定義する有効な設計・開発プロセスを持っているかどうかも検証しなければなりません。

製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認 (3.2)

サービスを実現するために必要なサービスプロセスには、次の二つのタイプがあります。

  • サービスの実現に顧客の関与が発生するもの(リアルタイムのサービス提供)
  • プロセスのアウトプットがプロセス実現の後に顧客に提供されるもの
ホテルを例にとると、宿泊客のチェックインとチェックアウトのプロセスは、リアルタイムのサービス提供であり、客室の掃除はプロセスの完了後に宿泊客に「提供する」サービスです。(そして、掃除のプロセスは、検査を受け不適合があれば手直しをすることがあり得ます。)

同様のプロセスを、製品に関連するサービスを提供する製造企業にも見出すことができます。例えば、保障請求や製品保証の取り扱い、サービス部門による製品の修理、顧客の設備に出向いて行う製品保守などです。

リアルタイムの提供を伴うプロセスで、組織と顧客の直接のインタフェースを通して提供されるものは、顧客に「提供する」前に、プロセスのアウトプット(サービス)を「それ以降の監視または測定で検証する」ことは、ほとんど(あるいはまったく)あり得ません。したがって、このようなプロセスには、ISO 9001の7.5.2項に記載の妥当性確認の要求事項が適用されます。これは、不適合の発生を防止するために不可欠な手続きです。

提供するサービスの品質の適切な管理を確保するために、監査・審査員は以下を行います。

  • 組織の定義によるサービスの特性、サービス提供のプロセス、その受け入れ基準を理解する(これは第一次審査で行っておく。)
  • リアルタイムのサービス提供プロセス(あるいは妥当性確認が要求されるその他すべてのプロセス)の妥当性確認が実施されたか、そして、それは関連するリスクを考慮に入れたものかを判断する。
  • 関与する要員に適切なツール、訓練、権限付与が行われているかを評価する。

多くのサービス産業で、サービスは瞬間的に(つまりリアルタイムのプロセスで)提供され、そのサービスの提供の前に検査を受けるというわけには行きません。品質の考え方では、最もコスト効果の高い事業運営の方法は「特別なプロセス」の理念を全プロセスに適用すること、となります。つまり、プロセスを正しく実行することを徹底すればするほど、組織はプロセスの結果について心配する必要がなくなっていくのです。従って、この項の適用除外を受けられる可能性はほとんどありません。

不適合製品の管理 (3.3)

顧客が直接関与することになるサービスのプロセスでは、不適合製品の管理(8.3項)は、適切な是正処置が定義され実施されるまでの間、サービス提供の不適合を組織がどのように取り扱うかということになります。

不適合が特定された場合、監査・審査員は、以下を検証します。

  • サービス提供を直ちに停止する、提供されたサービスと同じサービスを再度提供する、代替サービスを提供するなど、サービス提供上の処置を決定するのに必要な権限を、関与する要員が十分に付与されているか
  • 組織の顧客からの保障請求や苦情処理のプロセス
  • 不適合の影響を軽減するために取られる暫定的処置(例 返金、金券や購入権の供与、より上級の製品・サービスへのアップグレードなど)
  • 当該サービス設備、サービス提供者、サービス環境の特定、隔離、交換 

これにより、監査・審査員は、不適合製品の管理が有効かどうかを判断できます。

このような状況で、有効な是正処置を定義、実施できるためには、品質マネジメントシステムが、不適合のデータを把握し適切なマネジメントレベルへフィードバックするという規定を設けていなければならないということに、よく注意してください。

サービスのアウトプットの提供がプロセスの実現の後になる場合は、通常の監視と検査の技法に基づく「不適合製品の管理」も可能です。この場合、これらの技法実施の適切性と有効性の証拠を求める必要があります。

この論考はISO9001審査実施グループ(APG)のウェブサイトにある同じ表題の論考”Auditing service organizations”を編集したもので、ISOおよびIAFのご好意により転載しています。これらの論考集は現在のベストプラクティスについて作成されており、IAF のガイダンスや ISO TC176 の解釈として正式な確認を得たものではありません。審査実施グループについて、より詳細な情報をお知りになりたい場合は、こちらにアクセスください。

ISO 9001 審査実施グループは、 QMS の専門家、審査員、熟練家からなる非公式なグループで、 ISO のテクニカルコミッティー、 176 品質管理と品質保証 (ISO/TC 176) と IAF から生まれました。このグループは、ガイダンスや、 QMS 審査に関する説明を含むプレゼンテーションを数多く作成してきました。これらは、 ISO 9001 の要件審査に必須のプロセスに基づくアプローチを反映したものです。

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