前のページに戻る   このページを印刷

企業活動ゲーム

Stephen Davies が、デジタルゲームによる監査・審査員研修と力量評価の活用法を検証します。

34歳未満の従業員なら、5人中4人までが十代からビデオゲームに親しんでいます。最近では企業もこのデータを有効に活用するようになり、従業員を訓練し知識を共有し彼らの行動様式の変化を促すために、新技術やソフトウェアを使用しています。デジタルゲーム学習(DGBL)は、二つの一見正反対な世界、即ち、学校や職場におけるまじめな学習と、コンピュータやビデオゲームから派生したインタラクティブなエンターテイメントの世界の融合です。

インタラクティブ・エンターテイメント業界で開発された技法を活用するデジタルゲーム学習は、コンピュータ学習を学習者にとって魅力あるものにします。ビデオゲームは、その複雑性の高いソフトウェア製品の使用法をプレーヤーに教えるために、長年、先進的な学習原則を水面下で使用してきました。ビデオゲームの中毒性は、このようにゲームに内蔵された学習戦略の副産物であり、学習者の知識を固めるためには、理想的なツールなのです。

デジタルゲーム学習は今日の学習者にとって魅力的なコンテンツを制作できるのみならず、学習者の人口統計的属性の変化に対する備えとしても企業の役に立ちます。企業やその研修部長達は、大概、今日のメディアの世界におけるビデオゲームの影響と重要性に気づいていませんが、企業の従業員は気づいています。情報を吸収する際にこれまでとは異なるニーズを持つゲーム・プレーヤーが、次々と社会人になる時代なのです。

一歩先へ

カナダに拠点を置く開発・出版企業i2 Learning は、異なる企業の場面設定で何度も利用できるプラットフォームを使用した、スキルと行動の訓練評価のためのインタラクティブ・ソフトウェアを発明しました。コンテンツ制作ツールを使用して、各企業が独自のコンテンツを入れ込むことができます。

デジタルゲーム学習法では監査・審査員が監査・審査を実施するために必要な知識と、監査・審査段階で不可欠な力量を、(規定の規格を検証することによって)定義します。この力量とは、たとえば、

  • 適切な質問をする(オープンな質問、クローズドな質問、誘導的でない質問)
  • 監査・審査の方向付けになるように回答を理解する
  • 割り当てられた時間内に監査・審査の範囲をカバーする
  • 被監査・審査者の非言語コミュニケーションの変化に対応する
被監査・審査組織の環境内にある関連情報を検知する、などです。

従来は、このような監査・審査員の力量は、オンサイトで監査・審査を実施する姿を別の人が見て訓練・評価してきました。今では、この過程を仮想環境の中で、自分の都合の良い時間に行うことができ、一貫性がありながら柔軟な訓練と評価のシミュレーションを実施できるのです。

では、実際にどのようにするのでしょうか。デジタルゲーム学習製品は、事業所とそこの従業員などの実環境を再現します。倉庫内に壊れた箱がある、較正を要する装置のラベルを見ると較正期限が切れている、などの設定に関する主要な情報を入れ込むことができ、また、言語・非言語コミュニケーションのパターンで、登場人物に固有な性格特徴を持たせることができます。

次のステップは、訓練・評価の対象となる既存の規格に基づいてコンテンツを制作することです。現行の知識ベースのプラットフォームでは、情報は順々に提示されることが多く、一定の間隔で多肢選択法のテストが挿入されるのが一般的です。デジタルゲーム学習では、このような一連の情報をゲームの流れに組み込み、プレーヤーは自分のスキルを活用して情報を見出し処理することにより、仮想企業を正確に評価しようと試みるのです。

プレーヤーにとっての利点は、仮想環境とその中の人物とのインタラクションで、監査・審査規格の理解を強固にするだけでなく、情報を探り出し、社会的環境の中の微妙な細部を検証することを学べることです。たとえば、誤った質問の仕方をしたり、正しい質問を(被監査・審査者の注意が反れている時など)悪いタイミングでしたりすると、入手したかった情報が入手できないなどのことが起こります。このような洗練されたゲームのメカニズムは、企業が監査・審査員の力量を試験する際にも役立ちます。

デジタルゲーム学習のプラットフォームは、価値ある研究・ベンチマーク用ツールでもあります。監査・審査の専門家として指名を受けた人々が、ゲーム環境で一度プレーします。彼らのゲーム進行のプロセスを追跡することができますので、これが、良い監査・審査員のモデルを制作することになります。各プレーヤーのプレーの結果をモデルケースの結果と比較し、彼らの力量レベルを量的に評価することができます。

デジタルゲーム学習は、既存の訓練・認証制度を整備するための、極めて自然な選択肢となります。インタラクティブに自然に学習できる方法なので、意外なほど学習者の注意を惹きつけることができ、訓練・認証機関のみならず学習者本人にとって、高い価値を付加するものです。この学習法はあまりにも革新的なので、自称「まじめなゲーム運動」というある業界団体の注目を浴びるところとなりました。

まじめなゲームが築いた素地に、デジタルゲーム学習に基づくコンテンツ制作ツールが、更に先を切り開く可能性を見せています。各企業がコンテンツを自由に変更しながら使用できるようにし、よりハンズオンなシミュレーション機能を強化することで、デジタルゲーム学習法がオンラインによる訓練評価法のデファクト・スタンダードとなる日も近いのかもしれません。

筆者について

Stephen Davies は訓練・認証業界のためのデジタルゲーム学習製品の開発・出版企業、i Squared Learning Incに勤務しています。詳細なお問い合わせは、こちらへご連絡ください。
Eメール:s.davies@i2learning.com または、電話: +1 (613) 862-9086

 

 

©2005 IRCA. All rights reserved www.irca.org 連絡先 略語

表紙  
特集 arrow
ニュース
フィードバック