トップマネジメントを審査する
トップマネジメントを審査するというのはデリケートな問題です。しかし品質管理者だけに焦点をあてるのではなく、審査プロセスにトップマネジメントを関与させることは重要です。審査実施グループ(APG)によれば、組織全体が関与することによってのみこのアドバイスは長期に及ぶ改善をもたらします。
審査員は審査にトップマネジメントを関与させるべきです。つまり、オープニングミーティングとクロージングミーティングにトップマネジメントを招聘し、審査計画の中でトップマネジメントをインタビューする十分な時間を取り、トップマネジメントと直接、審査の所見について話し合い、トップマネジメントのコミットメントの裏づけを求めるなどする必要があります。着眼点を品質の責任者から組織のトップマネジメントに移すことが肝要です。審査員はトップマネジメントの活動をプロセスと捉え、そういう理解で審査するべきなのです。
計画段階
審査員はトップマネジメントのプロセスを特定し、また、下記の事項を実施する必要があります:
- 組織図、年次報告書、事業計画書、会社概要、プレスリリース、ホームページ等の情報を見直して、組織とそのマネジメントの構成を理解する。
- トップマネジメントのコミットメントについて、インタビューを通じてトップマネジメントから、直接、関連性のある情報を収集するという項目を、審査計画の中に設ける。
- 審査計画に与える組織とそのトップマネジメントの文化の影響を判断するために、同文化を理解し、適切な調整をする。
- 組織の服装規定を理解し、審査員自身がその職務に相応しい身なりをする。
- トップマネジメントとのインタビューの時間を設定し、迷惑をかけないように時間厳守で実施する
経験の浅い審査員は、トップマネジメントのインタビューを担当させるべきではありません。
審査の実施
トップマネジメントのコミットメントを評価する一般的な方法には以下があります。
- トップマネジメントのインタビュー―審査員は、トップマネジメントとの会話に相応しい言葉遣いを用いながら、以下のような関連性の高い質問をすることができる。
- 品質にかけるトップマネジメントの意識とコミットメント、及び組織全体の目標とマネジメントシステムへの同意識とコミットメントの関連性の裏づけを求める
- マネジメントの責任に関するISO 9001要求事項への適合の裏づけを取る
裏づけ収集と照合
審査員/審査チームは、トップマネジメントがインタビューに答えて言う内容の裏づけを取る機会を見逃さないようにするべきです。これには下記が含まれます。
- 方針と目標がすぐに見られる状態であり、現場との関連性のある内容であるかどうか
- 方針と目標の間のつながりの確認
- 方針と目標が効果的であり組織全体に理解されているというの裏づけの取得
- 方針と目標が、品質マネジメントシステムの継続的改善と顧客満足の達成のために適切な内容であるかどうかの判断
- トップマネジメントがマネジメントインタビューに関与しているかどうかの判断
必要な裏づけ調査のために、更にインタビューや証拠集めが必要な場合もあります。審査チームは、トップマネジメントのコミットメントを裏づける証拠が他にもあれば、必ず収集するべきです。チームは、情報の完全性と正確性を確保し、信頼性のある結論を導くために、収集した証拠を再検証する必要があります。
審査の報告
審査員は、組織のトップマネジメントに提示するに相応しい内容の審査報告書を作成する必要があります。トップマネジメントと組織の主要な関係者に提示するに相応しい審査報告書のエグゼクティブサマリー(要約)を作成するのが適切な場合もあります。エグゼクティブサマリーでは、良いものも悪いものも含めた審査所見の要点を記述し、改善の機会を特定します。
このトピックについて意見交換をしたい方は、審査員のためのオンラインフォーラムIRCA ディスカッションフォーラム(英語)にご参加ください。
ISO 9001 審査実施グループは、 QMS の専門家、審査員、熟練家からなる非公式なグループで、 ISO のテクニカルコミッティー、 176 品質管理と品質保証 (ISO/TC 176) と IAF から生まれました。このグループは、ガイダンスや、 QMS 審査に関する説明を含むプレゼンテーションを数多く作成してきました。これらは、 ISO 9001 の要件審査に必須のプロセスに基づくアプローチを反映したものです。
この論考はISO9001審査実施グループ(APG)のウェブサイトにある同じ表題の論考'How to audit top management processes” を編集したもので、ISOおよびIAFのご好意により転載しています。これらの論考集は現在のベストプラクティスについて作成されており、IAF のガイダンスや ISO TC176 の解釈として正式な確認を得たものではありません。審査実施グループについて、より詳細な情報をお知りになりたい場合は、こちらにアクセスしてください。
