ある企業は、サイト内にある建物のいくつかを他の小規模企業に又貸しています。「環境側面及び著しい影響の評価」を実施する際に、この企業はこれら小規模企業の活動も考慮に入れる必要があるでしょうか?これらの管理に関して、認証機関はどのような証拠を求めるでしょうか?小規模企業の活動は、認証取得を希望しているこの企業に対し、どの程度の影響を与えるのでしょうか?

この企業は、環境側面及び影響を調査する際に、言うまでもなく建物を又借りしている小規模企業の活動を考慮しなければなりません。ISO14001:2004は、企業が直接管理できる影響と同様、影響を与えうる側面も考慮することを要求しています。

従って、廃棄物の管理やエネルギーの使用など、小規模企業による活動のしかたによって左右される事項は、例えばあらかじめ契約によって管理することができます。お互いが企業のサイトに与える全体的な環境影響に配慮しなければなりません。

認証機関が要求する管理の証拠としては、企業が小規模企業に対して発行した、指針及び指示書のような文書があります。また、認証機関は小規模企業がどのように廃棄物の管理などの問題を取り扱っているかを確認するでしょう。リサイクル用コンテナの提供は、小規模企業によるサイトの全体的な環境影響への配慮に関し、企業が積極的に関わろうと試みていることを確認するための良い指標となります。

エネルギーの使用が企業によって管理され、企業から小規模企業に供給されている場合は、そのエネルギーを再生可能な環境にやさしいエネルギー源から取得すること、省エネタイプの照明を使用すること、そして各社が自然光と併用して使用しているエネルギー量を監視し、管理するためのビル管理システムを導入することを検討することができるかもしれません。企業はまた、各社に電気メーターを設置し、使用電力を監視測定することを検討できるでしょう。もし、あるテナントで使用量が増加している傾向が見られたら、その他の省エネ措置による消費量削減のための意見交換を、他の企業も交えて実施することもできるでしょう。

NICEIC

Trevor Nash氏 は、NICEICサーティフィケーションの代表取締役です。詳細については www.niceic.org.ukをご覧下さい。 i

 

「環境側面及び著しい影響の評価」では、小規模企業による活動も含めて、企業によって管理され、影響を受ける全ての活動、製品及びサービスを見直すことになります。

評価の最初の部分では、企業が管理を行い、権力を行使できるかどうかを考慮します。これらの独立した小規模企業への管理の程度は限られたものとなるでしょうが、賃貸またはその他の契約による合意によって、通常ある程度までは影響力を与えることができると考えられます。これを確認した上で、評価では、どのような活動が行われているかを明確にし、排ガス、排水、廃棄物、騒音等の環境側面や影響を特定します。それぞれの特定された環境側面に対し、企業はどの影響が著しいものであるかを決定することになります。

著しい環境側面及び影響に関連する小規模企業の活動に対してのみ、企業はマネジメントシステムの中での管理を確立するのがよいでしょう。もし、企業が小規模企業に関連する著しい環境側面や影響は無い、と判断するのであれば、これらの小規模企業に対して環境管理を導入することは要求されません。

最後に、この認証取得に取り組む企業の周辺に所在する小規模企業がもたらす影響のレベルは、「環境側面及び影響の評価」の結果と、企業による小規模企業関連の手順の実施状況に基づくものであると言えます。もし企業が、小規模企業に何らかの権力を行使することが可能で、且つ、これらに関わる著しい環境側面及び環境影響が存在すると結論づけるのであれば、マネジメントシステムの規定に沿って、管理を行うべきです。認証機関はこれらの手順の効果的な実施の証拠を探すでしょう。これは規格の要求事項であり、企業が認証を取得するためには、自らの手順への適合を実証する必要があるでしょう。

LRQA

Don Stanley 氏は 英国LRQA社の評価部長です。詳細はwww.lrqa.com をご覧ください。

 

この問題への対応には、多くの要因が関わっています。まず、又貸しされた建物は、企業と上水や下水施設を共有しているでしょうか?もしそうであれば、企業はこれを「環境側面及び環境影響の評価」に含めなければなりません。

次に、又貸しされた建物の位置と、この建物の中で何が行われているかです。もしこの建物が企業に近い場所に位置し、中~高リスクの活動を行っているとすれば、企業はこの建物を考慮に入れなければなりません。もし建物が企業からある程度離れており、低~中リスクの活動を行っている場合は、これらは考慮しなくても良いことになります。

又貸しした建物を考慮に入れる場合は、環境上の管理が関係している限りは、テナントとどのような合意を結んだのかを確認するために、計画に関する同意、排出に関する同意、及び賃借に関する同意の証拠が必要となります。定期的なミーティングや、恐らくは企業による検査も、テナントが合意事項を順守していることを確実にするために実施する必要があるでしょう。

BSI

John Hele 氏はBSIのグローバルプロダクトマネージャーです。詳細はwww.bsi-global.comをご覧下さい。

 

組織がどのように認証の要求事項にそって、登録の適用範囲を規定しているかによります。認証に際しては、サイト内の小規模企業は別個の法人組織と見なされ、認証登録証に記載されることはありません。

もし組織が、小規模企業が所在しているサイト全体での認証取得を希望し、これら小規模企業の活動が環境に影響を与えているとすれば、環境側面及び環境影響評価を実施する際にサイト内の小規模企業の全ての活動を考慮したことを実証する必要があるでしょう。

この場合、組織は、規格の鍵となる要求事項に対して、以下のことを文書による証拠をもって実証しなければなりません。

  • 認証取得のために要求される支援を提供することができるような文書化された環境マネジメントシステムを備えている
  • 小規模企業の活動と同様に、自らの考えられる全ての活動を特定している
  • リスクに対するランク付けのための許容可能な方法を通じて、側面及び影響に優先順位をつけ、最も著しいものに一番先に取り組んでいる
  • 環境に危害を加える可能性のある小規模企業の活動をすべて管理している。その中で、法的要求事項により、これら小規模企業の活動から生じる、管理された望ましくないアウトプットの監視及び測定の証拠を文書で提出する必要がある。
  • 活動を行い監視を実施する要員には教育訓練が施され、これらの要員には自らの職務を実施し、行われた測定及び結果を解釈する力量がある。
  • 自社の活動や小規模企業の活動に影響を及ぼす可能性のある、法的及びその他の要求事項を継続的に監視しており、またこれらの要求事項の順守を評価している。
  • テナントと密接に連携し、建物内または周辺の環境における自社の活動や小規模企業の活動が原因で、周囲の環境に影響を及ぼすことがないことを確実にしている。
  • 自社と小規模企業間の良いコミュニケーションを適切に確立している

SAI Global

Alex Ezrakhovich氏は、SAI Global Certification Services Pty Ltd.のゼネラルマネージャーです。詳細は www.sai-global.com をご覧ください。

 

ISO 14001の要求事項に適合するための環境マネジメントシステム(EMS)を実施する際には、企業は直接管理できる環境側面と同時に、影響を及ぼすことのできる環境側面を考慮しなければなりません。この事例では、サイト内で又貸しされた建物は、他の企業が使用するために貸し出されており、これは組織が影響を及ぼすことのできる活動である、と考えることができます。従って、又貸しされた建物は、環境側面及び著しい影響の評価に含まれなければなりません(企業がEMSの適用範囲にサイト内の全ての建物を含めている場合)。

建物内のテナント企業の活動に関連する側面が著しいものである場合(EMSでは著しい側面のみが取扱い対象となるので)、審査員は管理の証拠として、企業とサイト内のテナントとの賃借契約を確認したいと考えるでしょう。この契約には通常、テナントの責任が規定されており、例えば、廃棄物の管理や、下水、水路への排水に関する許可条件などの環境的義務が含まれるでしょう。この契約により、環境側面への影響が発生することになると言えます。企業は、特に法規制の要求事項が適用される場合は、貸借契約の条件がどのように満たされているかを実証するための証拠を示さなければなりません。

管理の証拠として、監視及び測定、運用管理及び緊急事態への準備手順も含まれるでしょう。必要な場合は、これらの手順の中にテナントの業務活動まで拡大して規定しなければならないでしょう。

認証取得や組織の活動や商品サービスなどに与える影響に関して、企業は環境側面を特定し、「重大側面」として挙げられたものについては、自社のEMSの中で体系的なマネジメントを実施することを望むでしょう。提供された満足できる証拠は企業活動の環境リスクと整合した管理や継続的改善の証拠となります。その後認証の推薦が出されます。

BM TRADA

Susan Morton 氏はBM TRADA Certificationの英国認証オフィサーです。詳細は www.bmtrada.comをご覧ください。

 

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