解決が必要な疑問はありませんか?専門家のアドバイスを読み、IRCAオンライン・フォーラムに寄せられた皆さんの意見を聞いてみましょう。
経験ある審査員として、私はシステムが単に形式的なものではなく、効果的なものであるべきだ、ということには全く賛成です。しかし、ISO 9001において、「有効性がある」とはどのような意味なのでしょうか? 単に、いくつかの鍵となるパフォーマンス指標(KPI)があることを確認すれば良いだけなのでしょうか?
少なくとも、認証業界にいる我々ならば、マネジメントシステムに有効性がないならば、運用する価値はないだろう、ということに全員一致で賛成するはずです。有効性のないシステムは、ビジネスにおける不必要な衝突を生み出し、資源を無駄にし、企業の方向性を本来の目的からそらすことにつながります。
「有効性がある」この言葉の意味を正しく理解していることと関連して、様々なコスト要素のバランスがうまく取れている状態のことを言います。伝統的な品質管理では、既に製造され、コストをかけたものについてエラーを発見し、取り除くこと、つまり検査に対し、直接的な労力が割かれていました。マネジメントシステムはむしろ、問題特定の原理および問題の発生の影響を回避する、または少なくとも発生の影響を削減するためのマネジメントプログラムを設定することに方向性が向いたものです。この他に、明らかに安易ありますが、事態が悪化するまでそのままにしておき、修復のためのコストに耐える、という方法があります。この方法は、ビジネス、スタッフ、そして顧客を危険にさらすことにほかなりません。
有効性への疑問を解決する方法は、一つではないことを理解しなければなりません。全数検査に頼ることは、事が起こってしまった後に後始末をするのと同じくらい、大変なコストがかかることもあるからです。有効性のあるマネジメントとは、実は、最も有効な方針を講じることと、望まれる結果を達成するための最もコスト効率の良い方法を採用することが調和している状態のことなのです。
有効性に影響を与える主なものは、どこへ、どのようにマネジメントシステムを配置するのが最も良いのか、ということに対する、上級経営層の理解度です。まず、適用範囲と文書化の範囲を決めることから始めます。これにより、物事の流れのすべてを規定し、管理することができます。これを正しく理解することができれば、運用の有効性と、これに関連するコストは有益なものであると言えるでしょう。これら全ての活動の有効性を測定するための最終的な判断基準は、その活動が結果を生み出しているかどうか、ということです。KPIは、組織が有効性を測定するために利用できるものですが、これはパラメータ及び管理限界を計画し、設定するために用いられる方法論としてのみ、役に立つものなのです。
BM TRADA
Bob Foster氏はBM TRADAの評価部門のテクニカル・マネージャーです。詳細はwww.bmtrada.com をご参照ください。
ISO 9000:2005は、有効性を「計画された活動が実現され、計画された結果が達成される程度」と定義しています。これはどういう意味でしょうか?この定義を理解する鍵は、「計画された」という言葉が含まれていることにあります。何をするのか、またこれらの活動によって何を達成するのかについての適切な計画がなければ、どのような有効性も判断することは不可能です。
では、有効性とは何でしょうか?ISO 9001の8.1項が、品質マネジメントシステムの有効性について取り扱っています。そう、前述の定義はこれが組織内でどのように用いられるべきなのかを示唆しているのです。有効性は、効率性と合わせて分析されるべきです。組織の効率性が高くても、もしその効率の高さによって顧客の要求事項や目標が満たされていないのであれば、組織の有効性はあまり高くないことになります。同じように、組織の有効性が高くても、顧客の望むものを効率的に供給できないとなれば、組織にとって大変コストがかかっていることになります。
有効性を測定できる領域では、システムを運用するためのビジネスによるコストが発生しています。これらのシステムからどのような価値を得ることができるでしょうか?なぜこのようなシステムがあるのでしょうか?
この問いに答えることによって、組織は自らをコントロールすることになるでしょう。そしてこれにより、組織がいかに有効であるかに影響を与えることができます。組織は、顧客が要求したものを供給する中で、まずプロセスそのものが有効であるかどうかを確かめるために、自らのプロセスを長い目で厳しく見つめなければなりません。そして次に、顧客と組織両方にとって、最も有効な方法は何か、という戦略的な観点から製品及びサービスを供給するのです。
測定可能なKPIには以下のようなものがあります:
- 顧客満足
- 製品またはサービスを供給するためのコスト
- 要員の削減数及び動員数
BSI
John Hele氏はBSIのグローバルプロダクトマネージャーです。詳細は www.bsi-global.comをご参照ください。
辞書では、有効性を「生産の結果、能力」と定義しています。これは、ISO 9001における有効性の意味の裏側にある考え方と関連しています。ISO 9004:2000には有効性の例が紹介されていて、「要求事項を満たすアウトプット」とされています。従って、有効性とは、何が作られようとしているのか、例えばプロセスからのアウトプットについて「能力」があるか、または望まれる結果を達成しているか、ということなのです。
実際には、どのような意味なのでしょうか?プロセスからのアウトプットが、上にサクランボが乗った冷たいショートケーキだとします。これを製造している組織は、今年は利幅を増やしたい、そのためにはケーキ1個を30円で作らなければならないが、100個のうち25個はサクランボが乗っていないために不良品となり、合格品を1個作るのに結局40円かかっています。この場合、規定されたプロセスフローまたは手順に従っているという点では、プロセスは「適合」していると言うことができますが、要求された結果(1個作るのに30円)を満たしていないので、有効ではないことになります。
パフォーマンス指標はプロセスが有効であるかどうかを判断するのに便利ですが、指標は正しく設定され、よい評価者が「指標とはどのようなものであるべきか」について、単なる既存の理解を超えた目で見なければなりません。上述のシナリオの中では、KPI は不合格率の25%に対して、適合可能な数値まで設定することができます。しかし、不合格率がとても高ければ、組織の最終的な目的は決して達成されないでしょう。
従って、KPIは便利ですが、システムの有効性を判断するにはこれ以上のものが必要です。これが、ISO 9001が方針、目標、顧客要求事項への明確な理解、プロセスの流れ及び相互関係が規定され、管理されていること、審査が計画され実施されていること、顧客からのフィードバックが収集されていることなどを要求している理由なのです。なぜなら、全体の状況のなかで理解しようとするときに、初めてプロセスが有効である、または有効でないと判断することができるからです。
LRQA
Don Stanley氏はLRQA UKの評価部長です。詳細はwww.lrqa.comをご参照ください。
皆さんの意見はどうでしょうか?
私は、「効果的」、または「効果の程度」というのは、計画された活動が実現され、計画された結果が達成されているかどうかの程度である、と考えます。例えば、「顧客満足」の年間目標を現在の90%から98%に上げる、という目標に対し、92%しか達成できなかったとしたら、この点に関する有効性は疑わしい、と言えると思います。
IRCAオンライン・フォーラムより、Charanjit Singhさんから。
有効性を審査することなしに、ISO 9001に照らして審査したとは言えません。なぜなら、これはまさに規格で規定された事項だからです。従って、審査員はシステムに有効性があるかどうかを、個人的な見解だけで判断することはできません。
もし、私が認証機関に所属する審査員だとしたら、最近の内部監査で挙げられ、是正されずそのままになっている不適合をいくつか選びます。さて、この内部監査のプログラムは有効だったでしょうか?私はそうは思いません。
組織のほとんどの人々が品質方針、品質目標およびゴールを審査員に説明できなかった場合、または組織の人々がどのように目標の達成に向けて取り組んでいるかを説明できなかった場合、組織のコミュニケーションは有効であると言えるでしょうか?これも有効であるとは言えないでしょう。
有効性があると判断するための主観に何らかの基準があるとしても、私は自分の審査チームに、「常識を置き去りにしてはいけません。」と言うと思います
IRCAオンライン・フォーラムより、By John Martinezさんから。