ケーススタディ: サービス業 vs 製造業

1. サービス:ソフトシス社-大手ソフトウェア開発会社

主任審査員のビルは、大手ソフトウェア会社、ソフトシス社に到着しました。ソフトシス社は3年前にISO 9001-2000 品質マネジメントシステムの認証を取得し、今回は更新審査を受審します。

ソフトシス社の一部門である「アルファ」部門は、社内のソフトウェアチームにメンテナンスサポートを提供し、ソフトウェアの小規模な改良/改善を実施しています。この活動に対するソフトシス社の目標は100%達成され、納期への遅れは0%です-急を要する業務には24時間、通常業務には48時間、優先順位が低い業務には72時間の納期が割り当てられています。

この基準をプロジェクトが順守しているかどうかを監視していたとき、ビルはすべての業務が期限までに完了し、全く遅れがないことを確認しました。しかし、業務結果の分析表には、脚注に期限に間に合わせるために調整された時間が記されていました。

ビルは、顧客から返答がなかった場合や、顧客側に責任のある遅れを処理するために費やされる時間は、全体の時間から差し引いて調整されていることをプロジェクトのリーダーと共に確認しました。これを規定された納期と照らし合わせ、時間調整の方法を用いて計算してみると、納期遅れなし、という計算結果になります。しかし、調整されずに実際に業務に費やされた時間を考えてみると、業務の10%が規定された時間よりも遅れていました。プロジェクトのリーダーは、遅れの責任は顧客にあるのだから、これは不適合ではない、と言っています。ビルはこの事実を記録し、この問題について審査メンバーと管理責任者を交え、議論すべきであることを心に留めました。

次の「ゼータ」部門では、顧客向けの、より大規模な業務が実施されていました。ビルは、業務を実施する前に、まず始めに発生する業務と予測される業務の工数が割り出され、顧客に伝達されていることを確認しました。また、業務の75%以上において、実際に費やされた時間は見積りよりも15%から30%少ないことに気づきました。これについて質問すると、プロジェクトマネージャーのシャープ氏は、自分のチームは非常に効率的であり、経験豊かで、士気も高く、彼らのパフォーマンスが一貫して平均を上回っていることを自慢げに説明しました。

次の「オメガ」部門は、不適合品の除去と製品改善を担当しています。ここで、ビルは要員が比較的ゆったりと過ごしていることに気づきました。質問を続けるうちに、ビルは仕事が暇な状態であることがわかりました。これは、現在彼らが関わっているソフトウェア製品が最近発売されたばかりで、近い将来に不適合品の除去や製品改善業務が発生する可能性がほとんどないためです。ビルはプロジェクトの責任者であるレイドバック氏に、スタッフが空き時間に何をしているのかを訊ねました。レイドバック氏は、彼らは特別なソフトウェアに従事しているため、他のプロジェクトに関わることはできない、そして作業量はいつでも増える可能性があるため、人員の配置を変えることはできない、と答えました。空き時間に関しては、オメガ部門は過去5ヶ月間、大変忙しく働いたので、スタッフにはもらって当然の休息を取らせているのだ、とレイドバック氏は笑ってビルに話しました。どこを見ても、スタッフはインターネットをしたり、プログラミング技術の勉強をしたり、反射神経を高めるためにゲームに興じている者までいました。「これで彼らはうまくいっているんですよ。」と レイドバック氏は声高に言いました。

その日の終わりに、ビルと審査チームは報告/見直しのために打ち合わせ会を開きました。この席には、最終会議前の所見を確定するため、社長であるソフティ氏も出席しました。 .

 

シナリオ

  • アルファ部門での最初の出来事について、プロジェクトを効果的に監視するには、調整されていない時間を納期と比較するべきである、従って、これは不適合である、とビルは考えています。社長は、この裁定は厳しすぎると感じています。なぜなら、顧客は問い合わせに対する回答を遅らせたり、自分の都合で返答することがあり、従って、遅れの責任は全面的に顧客側にあるので、これを不適合/目標を満たしていないと結論づけるのは不公平だと考えているからです。あなたは、これが正しいアプローチだと考えますか?
  • ゼータ部門が水準以上のパフォーマンスを示していることを聞き、プロジェクトメンバーの一人、ファスト氏はビルを見て言いました:「この平均以上のパフォーマンスをどう判断しますか?スタッフは、業務内容とスケジュールを設定する際に、大きな幅を持たせているのです。だから、彼らのパフォーマンスはとても良く見えるのです。これには改善の余地があると思います。」あなたはどう考えますか?
  • ビルはオメガ部門で発生している空き時間に、少々困惑していました。しかし部門のメンバーは、このような空き時間は、時々訪れる閑散期の中でもほんのわずかな時間であり、深く考えるような問題ではないと思っています。あなたはどう考えますか?

解決策の例

  • 解決策 1: アルファ部門での出来事は、技術的には目標を満たしていないとは言えません。従って、これを不適合とすることはできません。しかし、もし納期がこのような方法で繰り返し調整されているならば、結果的に顧客の不満足や効率の低下を招くでしょう。責任を顧客に押し付けるのも、だんだんと習慣になる可能性があります。従って、理想としては、目標を変更する必要はありませんが、早期に警告を発し、傾向をつかんでパフォーマンスを改善するために、ソフトシス社は調整されていない、実際に業務に費やされる時間を目標/納期に照らして追跡することを考慮すべきです。
  • 解決策 2:作業時間に関する水準以上のパフォーマンスは、ソフトウェアの品質や測定基準など、時間以外の要素の質を落としたり、省略することによって得られたものかもしれません。この点を確認する必要があります。理想としては、このような場面で推奨され、行われるべきことは、少ない時間で業務を完了できた理由を特定するための原因分析です。これにより、製品を改善したり、あいまいになったり、余分な幅を持たせすぎたりしているかもしれない時間目標を、より適切に設定することができるでしょう。その結果、タイムスケジュールの中の余計な空き時間を防ぐことができるのです。
  • 解決策 3:オメガ部門は、作業量が一定していないという、ソフトウェア企業にありがちな典型例です。作業量が不安定であること自体に大きな問題があるわけではありませんが、部門の責任者はより積極的に、空き時間をもっと効率的に利用することができたはずです:例えば、内部マニュアルの整備、書類の処理、スタッフへの基礎教育などに時間を利用することができるでしょう。自由時間も、整理整頓や再使用可能なものの分別に当てることができます。空き時間をスタッフの技術の向上や整理整頓作業に利用することにより、確実に改善の機会となります。