社内における業務‐内部監査を考える
内部監査における課題と陥りやすい問題点は、あまり重要でない問題として、敬遠されることがあります。Denise Robitaille氏が、監査プロセス及び被監査側から、どのようにすれば最大限の成果を得られるかを議論します。
他のプロセスと同様、内部監査が効果的であるためには、計画、定義、継続的改善及び管理が必要です。これらの要素がなければ、内部監査により資源と時間を無駄遣いすることになります。
内部監査は、組織の品質マネジメントシステム(QMS)を完全なものにするための要素の一つです。これは、計画‐実施‐確認‐是正(PDCA)サイクルの「確認」の部分にあたります。内部監査は、認証を維持するためだけに取ってつけたようなやり方で実施するものではありません。組織のシステム、プロセス及び目標達成を支援するための能力の完全性について、信頼ある指標を提供する評価ツールなのです。
内部監査は問題、リスク、グッドプラクティス及び顧客をより良く遇するための機会を特定するための手助けとなります。良い内部監査から収集された情報は、時間と教育訓練への適度な投資よりも、ずっと価値のある組織の資産となります。組織がどのようにこの資産の価値を理解し、利用するかは、内部監査がどのように行われるかにかかっているのです。
上級経営層は、目に見えるサポート及び資源の割り当てを通じて、内部監査プログラムの有効性を確実にするための主要な責任を担っています。内部監査員は、経営層から与えられた責任をより良い形で遂行しなければなりません。これは、内部監査のグッドプラクティスへのコミットメントを示し、意味のある監査報告書を作成することによって実証することができます。内部監査の責任者は、目的を達成するために必要な項目についてサポートを受けられるよう、経営者に依頼します。このサポートの裏側にある信頼に答えるべく、内部監査員は経営者が戦略的計画及びその他の意思決定をするために利用できるような価値のある情報を真摯に提供しなければなりません。
次に、組織が内部監査プログラムから利益を得るためのヒントとなる、実践的な方法をいくつかご紹介します。コメントは第一者監査(内部監査)向けのものとなっていますが、ほとんどが第二者監査及び第三者審査に応用できるものです。
監査計画を立てましょう
監査スケジュールと規定された監査の頻度が、組織のニーズを反映したものであることを確実にしてください。活動の重要性、領域の特定(これは後に変更されたり、要員が移動したりすることが多いです)、及び問題を抱えていたり、崩壊しているプロセスを適切に考慮しなければなりません。監査スケジュールを定期的に見直し、これらの考慮すべき事項に基づいて改訂してください。
十分にしっかりした製造ラインや、このところ新規に人を採用していない領域であれば、教育訓練についての監査は年1回もすれば十分です。それ以上は無駄なペーパーワークの繰り返しです。逆に、多くの顧客支給品を取り扱っていたり、これらの支給品に対する要求事項が様々で、それぞれ大きく異なっている場合は、これらの活動はより頻繁にスケジュールに組み込まれなければなりません。
いったん監査スケジュールが完成したら、それにできるだけ従うようにしましょう。他の人々の都合に合わせて、監査の日程を変更したり、次月に延期したりすることのないように。それを許してしまうと、監査をどうにかして延期しようとする人々が出てきます。延期がダラダラと続くと、内部監査は時間に余裕があるときに行う「余計な」行事だという印象を与えてしまいます。この考え方は、内部監査プロセスの価値を落とし、組織の有用で時宜を得た情報を導き出す能力を最小化してしまいます。
監査の準備をしましょう
監査計画書を作成ください。恐らく、監査計画書を作成し、これを組織に伝達する一番の理由は、監査員がいつ監査領域に来るのかを、要員に前もって知らせるためです。これは常識的な礼儀です。監査員の到着を前もって知らせ、魔女狩りのような心理を払拭するために、ずっと前から行われている習慣です。プロセスの責任者に監査計画を知らせることを怠れば、また別のマイナスの結果を導くことになります。要員が、内部監査は粗探しのための奇襲攻撃だ、と感じている限り、彼らは問題があってもそれを隠すでしょう。また、改善の気風を高めるための、事実を見つける監査であると捉えることは決してないでしょう。何も悪いことをしていないにもかかわらず、悪人のように、罪に対して罰せられることを恐れるでしょう。罰則措置を恐れるあまり、問題を繰り返し起こしてしまうことにもなりかねません。
監査計画は、効率性を高める、というのも作成する理由の一つです。これにより、時間の節約ができます。監査員には、プロセスの順序の中で、インプットからアウトプットへの流れをスムーズに、論理的に監査するための経路があります。効果的な計画は、要素を監査プロセスに近づけます。これにより、付加価値もなく、貴重な時間を無駄にしてしまうような、後戻りや監査の繰り返しが最小限になります。
次に、監査しようとしているプロセスを記述した文書をレビューしましょう。これにより、被監査側への質問事項の枠組みを決定することができ、結果的に、より包括的な答えを促進することにつながります。事前に文書を読んでおくことは、最も重要な要求事項や、製品(またはプロセス)への責任が新しい要員や機能に変更されていることを見分けるための手助けとなります。
前回の監査報告書を見直し、是正処置要求が出ているかどうかを確認してください。これによって、物事が改善されているか、または問題が解決されているか、逆に悪くなっているかどうかを評価することが容易になります。是正処置のプロセスが、内部監査と密接につながっている場合は、内部監査員は監査プロセスの一部として、是正処置が実施され、効果的であったかを検証することができます。
これは、出所が何であれ、全ての是正処置に適用されます。これが特に有効となるのは、供給者の是正処置の結果を検証している領域です。質問を通じて、監査員は購買スタッフの、検証プロセスへの理解を高めることができます。要員は、供給者から受け取った返答が、本当に効果的な活動計画の証拠となっているかどうかを明確に理解することができます。このような検証活動がなければ、購買部門が持っているのは、供給者が様式を埋めることができる、という証拠だけということになります。学習し、改善する機会を失ってしまうのです。
監査員がよくする簡単な質問には、次のようなものがあります:「どのようにしたら計画がうまく機能したかどうかが分かるのですか?」「我々の記録と照合して見直せるように、彼らが発送した最後の製品に、最終検査の報告書を添付するよう伝えましたか?」このように監査員は、組織のQMSがプロセスの改善に向けてどのように機能しているかについての被監査側の理解を高めるようなヒントをこっそりと与えているのです。このシナリオでは、供給者との関係の有効性と生産性を通じてヒントを与えていました。
チェックリストを作成してください。もし、あなたの組織が決まった形式のチェックリストを使用しているならば、それらをあなたが見直した書類に基づいて改訂することが重要です。そうすれば、あなたが描き出す監査経路は完璧なものとなります。これは、質問事項を考える際にも役立ちます。つまり、時間を無駄にすることなく、適用範囲から外れて迷うことを防いでくれるのです。
一般に認められた審査の慣行をしましょう
内部監査、外部審査に関わらず、審査のグッドプラクティスを無視することはなりません。
初回会議を開催しましょう。第三者による認証審査では、初回会議はごく正式なもので、会議で網羅されなければならない議題が挙げられています:適用範囲、目的、基準規格、時間数、スケジュール、機密保持及び非公開に関する合意事項、不適合報告のルール、安全装備、案内役及び異議申し立てのプロセスなどです。内部監査では、どのプロセスを監査するのか、監査にはどのくらいの時間がかかるのか、誰をインタビューしたいのかについての概略を述べるといった、省略した形をとるのが適切でしょう。監査領域に着いて、最初の説明や簡単なあいさつをすることなしに、いきなり監査を始めてしまうのは、緊張を高め、生産的な監査を助けてくれる人々との関係を悪化させてしまうことになります。
どのように質問するかに気を配りましょう。以下に、心に留めておくべき事項を紹介します。
- 被監査者は、あなたの質問に答えるために雇われているのではない、ということをいつも心に留めておいてください。彼らは自分の仕事に対して報酬を得ているのですから、一語一句手順どおりに説明することはしないでしょう。彼らは監査員が理解できるような方法でプロセスを説明し、被監査者自身がいかにプロセスを理解しているかを実証するべきです。
- 「はい」「いいえ」だけでなく、自由な答え方ができるような質問をしましょう。被監査者に、彼らが何をしているのかを説明する機会を与えてください。もし、監査員があらかじめ期待している答えに向けて誘導されなければ、被監査者はより完全な情報を提供してくれるでしょう。
- 被監査者がどのように仕事を行っているかを質問してください。目の前で行われていることを検証するだけでなく、それらが規定された通りに正しく行われているかを検証してください。不適合品に関する報告書を読むことで、何かが正しく行われなかったことが分かるでしょう。しかし、プロセスを監査することで、何が悪かったのかを特定することができるでしょう。
- あなたの質問の枠組みを決定するために、文書を利用することを忘れないでください。これにより、文書がプロセスの要求事項を正しく反映しているかどうかを決定することができます。
- 質問を繰り返すことをためらわないでください。時々、物事を別の角度から見る必要が生じます。質問を繰り返すことで、被監査者はあなたが確認したいことを察することができます。
- プロセスの責任者に質問に答える時間を与えてください。答えが聞けるまで、辛抱強く待ちましょう。彼は考えているのかもしれません。答えが遅れたからといって、その人がうそをついているとか、その場を取り繕っているとは考えないでください。
- 次に何をするのかを質問してください。難しい言葉遣いは避けてください。もしあなたがプロセスのアウトプットは何であるかを知りたいのならば、簡単に、「次は何をするのですか?」とたずねてください。顧客サービス部門の技術者に、「プロセスのアウトプットは何ですか?」とたずねても、沈黙の時間が流れ、あなたは被監査者の自信を失わせてしまったと悟ることでしょう‐これは望ましいこととは言えません。被監査者は、データベースに注文が入ってきたら、次に、発送日を確認するスケジュール管理者に情報を送り、注文内容が顧客によって確認されるようにするのだということを良く理解しているのです。
- ある状況を想定し、「もし~だとしたらどうしますか?」と質問してみてください。これにより、逸脱や何か悪いことがあった場合に、プロセスがどのくらい良く管理されているかを検証することができます。また、コミュニケーションの有効性及び責任と権限の定義を評価するための助けにもなります。この人はこれを取り扱う権限をもっているだろうか?また、上司からのインプットを必要とする事項は何であるか?という疑問に対する答えを導き出せるでしょう。
- 「なぜ」なのかを質問しましょう。うわの空で、活動の意味を理解せずに業務を行っている人々は、プロセスが一貫して正しく実施されるのを確実にすることに対する熱心さに欠けています。自分にとって意味のないことに注意を傾けるのは難しいからです。
- 被監査者の言うことをよく聞いてください。聞くための技術を磨いてください。相手の言うことを聞いていますか?また、相手が何を言わんとしているか予測できますか?聞くことは、話している人を直接しっかり見る、という簡単なことによって容易になります。より良い焦点を当てるだけでなく、話し手が、あなたが自分の話に興味を持っていると思わせるようにしましょう。
- 忘れないように、聞いた答えを書きとめてください。また、確認した証拠を記録してください。たくさんの情報を記録してください。これは、監査報告書の基礎となるものであり、衝突を避けるためのものです。監査員は自分の結論を主張する必要はありません。必要なのは、所見の根拠となる証拠が参照できることなのです。
- もし、話し手の言っていることをメモしているのならば、そのことが相手に分かるようにしてください。このように言うと良いでしょう:「私はちゃんと聞いていますが、それを書き取る必要があるのです。」と。もし被監査者が、あなたの報告が罰則措置につながることを恐れていると感じたら、なぜメモを取っているかを説明してあげてください。私が好きな言い方は、次のようなものです:「私の脳みそはザルみたいなものなので、もし書き取っておかなかったら、すぐ忘れてしまうし、後で報告書が書けないのです。」
- もし、その領域で明らかになった不適合について報告するつもりなら、被監査者にそのことを確実に伝えておきましょう。これは、先に述べた罰則措置への恐怖のためです。誰も、監査の2日後に自分を吊るし上げるようなことが書かれた報告書の不意打ちを受けたくないものです。被監査者に、何を報告するのか、そして報告の目的は皆にとってより良いプロセスを作ることである、ということを再確認してください。
- 領域を離れるときには、必ず「ありがとうございました」と言うのを忘れないでください。
包括的な監査報告書を書きましょう
報告書は長いものである必要はありませんが、監査を受けた組織の状態について、バランス良くまとめたものであるべきです。報告書では、観察された良い慣行や発見されたリスク、そして特定された問題にも触れるべきです。
監査報告書には、以下の事項を含めるようにしてください:
- 監査の実施日。いつ監査を行ったのか?これは、監査が規定された監査スケジュールに従って実施された証拠を示すものです。もし経営者がどれくらい資源が費やされたのかを知りたければ、監査にかかった時間数を記録しておくのも良いでしょう。組織は内部監査にどのくらいの時間、そしてどのくらいの費用をかけたのでしょうか?
- 監査された領域。組織のサイトが複数に渡る場合は、これはより重要な事項となります。
- 使用された規格。第三者審査では、品質規格といえば通常はISO 9001、ISO/TS 16949、ISO 13485などのようなQMS規格です。内部監査では、監査される機能や活動に関わる内部文書のリストなどです。また、手順書、作業指示書及び工程管理表なども含まれます。
- 主任監査員及び監査チームの氏名。もし一人で監査を実施した場合は、その人が受任監査員です。
- インタビューを受けた人の氏名。これは、質問に答えた人が本当に活動への責任を持った、プロセスの責任者であることの証拠となります。自分の通常の仕事でなくても、監査員に協力的で、質問に答えようとする人々がいるのは珍しいことではありません。監査員が、相手が適切な人物でないと気づいたときにはもう遅かった、ということもあります。マネージャーが、「フランシーヌは顧客の受け入れを担当していないので、その様式がどこに保管されているのか知らなかったんですよ」と言うのを聞いてからでは襲いのです。
- インタビューを受けた人の氏名を記録しておくことにより、監査員は監査プロセスの要求事項を満たしたという証拠を示すことができるのです。
- 良い点を記述してください。監査は悪いプロセスを収集するためのものではありません。従って、監査報告書には観察された良い点も記述されるべきです。「新しく開発された設計用ソフトウェアにより、新規プロジェクトの管理が容易になっている」、「記録は、オペレーターがCNCマシンの教育訓練を受けた証拠を示している」または「是正処置追跡システムにより、不適合にかかるコスト及び問題が解決された際に削減できる費用を計算することができる」などと記述することができるでしょう。
- 不適合を記述してください。不適合の所見を記述する際は、明確に、そして完全に記述することが重要です。本当の不適合とはどのようなものでしょうか?その要求事項を規定している規格はどれでしょうか?あなたが不適合だという結論に至った証拠は何ですか?明確に表現された不適合の記述は、プロセスの責任者がそれを根本原因分析を始めるのに利用し、結果的に実行可能な是正処置計画を作成するのに十分な方向性を示すものであるべきです。
- 観察事項(改善の機会とも言います)を記述してください。リスクの認識や管理されていないと思われるプロセスの特定に関する記述をするのが良いでしょう。これはさらに、問題発生の予防にもつながります。何かが「悪い」ということを直接的に言うのではなく、何が悪い方向に向かっているのかを暗示するに留めるべきです。不適合と同様に観察事項も、監査員が主観で作り上げた考えだという誤解を生まないために、要求事項と結び付けて記述するべきです。
このような基本的な審査の慣行に従うことにより、経営層が得る情報は正しく、組織の状態を反映していて、十分に詳細なものとなり、これに基づいて良い判断ができることでしょう。これは監査を効果的にするものです。これができなければ、内部監査は意味のないペーパーワークとなってしまうでしょう。
著者について
Denise Robitaille氏はRABQSA社の主任審査員、ASQ社の品質審査員、及びISO/TC 176のU.S. TAGのメンバーです。この記事は、Quality Digest誌(www.qualitydigest.com)に掲載されたものです。
