ケーススタディ :サービス業 vs. 製造業

2. 製造業:スリーブス社-服飾工場

(出典:T Uthayakumar博士、スリランカ規格協会)

審査チームは最高級の婦人服を米国に輸出している有名な服飾工場の審査を行いました。この企業は、従業員が縫製プロセスに関して比較的高い水準で訓練され、経験豊かであることを誇っています。不良品は、新規にデザインされた衣服を縫製する際の初期段階において、高い割合で発生しています。つまり、この企業の効率性は低いと言えます。スリーブス社は市場において、競争力で優位な立場を獲得し、品質と価格に対する顧客満足を確実にするために、不良品/手直しを減らし、効率を改善したいと考えています。

工場見学の際に、審査チームは縫製プロセスで不良品や手直しが多く発生していることに気づきました。工場見学の後、トップマネジメントがインタビューを受けました。CEO(最高経営責任者)は、従業員には能力があるのだが、作業に集中していないのだ、と答えました。彼は、不良品の増加と効率の低下は、従業員に集中力が欠如しているためだと感じていたのです。

審査チームの中のある審査員は、縫製プロセスの責任者が、受け入れるインプットの品質を検証し、次に引き渡すアウトプットの品質を検証するという、プロセスに基づいたアプローチを知らないのだ、と考えました。

審査員はプロセスのあるラインから手直し品のサンプルを選び、これについて最初のプロセスの責任者である「P」さんに訊ねました。Pさんの答えは、Pさんが直前の供給者である「M」氏の要求事項を理解し、直後の顧客である「Q」氏の引渡しに関する要求事項を理解していることを示していました。同じように、他のプロセスの責任者も、直近の顧客及び供給者の要求事項を検証していました。

検証が必要な製品要求事項が、チェックリストの様式には記載されていませんでした。しかし、製品が最終プロセスの責任者、「D」氏、または直後の顧客の要求事項を満たしていない場合、その製品は該当するプロセスの責任者のところに、手直しのため返却されていることを審査員は記録しました。

問題

1. 直近の顧客及び供給者の要求事項が満たされているにも関わらず、なぜPさんに手直し品が送られてきたのでしょうか?

2. どのようにすれば、プロセスでの手直しが減り、効率が改善するでしょうか?

3. 活動を体系化し、効率を改善するために最も良い方法は何でしょうか?

4. この出来事から何が学べるでしょうか?

解答

1. Pさんには、Q氏とS氏の要求事項を満たすことが求められています。PさんはD氏の要求事項を特定しなかったので、D氏の要求事項を満たすことができませんでした。従って、加工を続けるには適切でない製品が、手直し品として戻ってきたのです。

2. 手直しを減らし、効率を上げるには、ライン上の顧客プロセスとの相互関係を特定しなければなりません。この場合、「P」さんは顧客プロセスである「Q」氏、そして他のプロセス責任者である「S」氏とお互いに関係しています。供給の連鎖の中での顧客関係も、プロセスの後の引渡しを検証する際に考慮すべきでしょう。この概念は、手直しを減らし、効率を上げるために、ライン全体に渡って採用されるべきです。

3. スリーブス社は、高級婦人服を専門としています。ファッションデザインは頻繁に変わります。顧客プロセスの相互関係と顧客の要求事項は、時と共にデザインが変更されるにつれて変化します。新しいデザインを入手したときには、縫製ラインの最終プロセスの責任者は、検証すべきプロセスと要求事項を特定しなければなりません。これを実施することで、供給者と引渡しの要求事項の特定がより容易になります。その後、この供給者と引渡しの要求事項を検証するためのチェックリストが付いた作業指示書を作成しなければなりません。

4. この出来事は、不良品または手直しを減らし、プロセスラインの効率を上げるためには、一連の顧客プロセスは、顧客プロセスの相互関係を特定することによって運営管理しなければならず、供給者/引渡しの要求事項がプロセスの責任者によって検証されるべきであることを明らかにしています。

サービス業の審査と製造業の審査には、異なる審査アプローチ/技術もあれば、類似しているものもあるのです。