IRCAコーポレート審査員

先日、IRCAは新しい購読プログラム‐コーポレート審査員を開始しました。 今回、インフォの場を借りて、この新しいプログラムの背景と目的について読者の皆様にご紹介します。

Corporate Auditor image

 

コーポレートという新しいレベル

少し前に、IRCAはシステム購読のエンドユーザー及び審査員雇用機関に対し、 ある興味深い調査を実施しました。この調査で、現行のシステム審査員は、技術的な専門的力量、特定のシステムへの整合性に関する理解、そして審査プロセスの運営管理については十分な力量を有していることが分かりました。

しかし、マネジメントシステムがどのように組織の事業戦略及び目標をサポートし、株主たちのニーズを満たすことができるかということについて、経営者に対し意味のある審査所見を提供することができる新しいタイプの審査員の必要性が明確になりました。つまり、審査員および審査は、短期的な戦略から長期的な戦略へ、そして適合性から卓越性へと変化する必要があるということです。

「コーポレート審査員」は、この調査結果から生まれたものであり、このグレードに必要な力量は多くの点において馴染み深いものです:

ビジネスに対する理解

 審査を計画する

 審査チームを統率し、組織し、指示する

  審査プロセスの運営管理を行う

  審査の証拠を収集する

  所見を評価し、適切な結論を導き出す

  コミュニケーションがとれる

  順応性があり、協力的である

 

根本的な違いは「ビジネスに対する理解」と、どのようにマネジメントシステムが組織のビジネス目標及び顧客、規制当局などのニーズを含めたステークホルダーの要求事項をサポートしているかという2つの点です。これは、コーポレート審査員が事業計画及びプロジェクトマネジメントや財務面への戦略から派生するビジネス上の問題を理解しているかどうかを意味しています。

審査員は、ビジネス及び組織の目標を達成するためにマネジメントシステムを最適な形で構築するための手段として認定された認証審査を重要視している組織に対し、付加価値を与えるという使命を負っていますが、コーポレート審査員はこの審査員としての重要な機能に自らの知識を応用することができなければなりません。

コーポレート審査員は、トップマネジメントとの関わり合いを通じて、そして組織の事業上の目標の達成を妨げるようなマネジメントシステムの問題及びリスクを特定し、改善の機会を明確にする中で、この機能を充たすことができるでしょう。

新しいタイプの試験

この革新的なプログラムを開発する上で、我々は一番高いレベルの力量に対して購読を与えるだけではなく、このような力量の試験に最新の考え方を導入したのです。この考え方は、比較的新しい規格である、ISO 17024:2003-人の認証を実施する機関に対する一般要求事項に基づくものです。ISO 17024規格は、試験は独立性、有効性、公平性という3つの要求事項を満たさなければならないとしています。

この新しい力量に基づいた試験は、我々がもはや実務経験や審査記録、またトレーニング記録といった申請者の自己申告だけに頼ることはできないことを意味しています。これまでの自己申告に代わって、審査員は評価センターにおいて、いくつかの方法論を組み合わせた丸一日にわたる試験を受け、審査技能に関する知識や個人的特質が申請者としてふさわしいものであることを実証しなければなりません。

  1. 職務上の特質を問うアンケート
    このアンケートは、申請者の特質を試験するものです。試験には、合否はありません。なぜなら人間には誰でも行動特性(過度に適応しようとする傾向)があり、我々は申請者がこの傾向を認識しているかどうか、そして彼らが自らの性質を審査の際に適切に制御できるかを試験する必要があるのです。
  2. 力量を基礎とした面接試験
    面接は90分間で、申請者の申請書及び事前に申請者によって実施されたケーススタディ審査に基づいて行われます。この面接では、IRCAの訓練を受けた試験実施者が、申請者がステークホルダーやビジネス上の要求事項という点で受審組織のことを理解することができるかどうか、そしてステークホルダーやビジネス上の要求事項、及び組織のシステムがどのようにステークホルダーのニーズ及び組織自身の目標達成をサポートできるかという点に焦点を置いた審査を実施することができるかどうかを評価します。またこの面接では、職務上の特質を問うアンケート(上記参照)で明らかになった、レビューが必要と思われる行動特性についても確認が行われます。
  3. 筆記による問題解決課題
    この70分間の課題は、申請者一人で行います。また、申請者はトップマネジメントに提出するための説得力のある報告書及び所見を作成するために、膨大な情報及びデータに取り組まなければなりません。これは、審査員が現場で遭遇する問題や、コーポレート審査員に要求される結果のレベルを正確に反映しています。
  4. 協調性を測るためのグループ課題
    この70分間の課題は個人別の筆記試験と似たものですが、ここでは申請者は4名から6名のチームで作業することになります。グループは大量の情報やデータに取り組み、トップマネジメントと所見について合意しなければなりませんが、この試験も審査員が現場で遭遇する問題や、コーポレート審査員に要求される結果のレベルを正確に反映したものとなっています。この試験でも、職務上の特質を問うアンケート(上記参照)で明らかになった、レビューが必要と思われる行動特性についても確認するために、試験者による面接が行われます。

評価センターでは、1名の申請者に対し最大4名の試験者が試験に当たります:費用はかかりますが、非常に厳格なシステムであり、既にISO 17024に照らしてUKASから認定を受けています。

ISO 17021-1 及びISO 17021-2

審査員認証の業界において、資格を基礎としたアプローチから力量またはアウトプットを基礎としたアプローチへの移行はより一般的なものとなっていますが、これはISO 17021 のパート1及びパート2で具体的に説明されています。パート1もパート2も、第三者審査プロセスに関わるものは全て「力量」を有していなければならないという概念を中心に記述されています。認定機関は徐々に認証機関に対し、この力量を基礎としたアプローチを審査関連の要員に適用することを期待するようになることが予想されます。

審査員認証の業界に属しているIRCAは、審査員を認証する組織に向けられた規格であるISO 17024が最初に発行された2003年からこの概念に取り組んでいるので、我々はこの問題に関しては既に見識があり、あえて言うならば、我々は認証機関のお役に立つことができると思います。

我々は、認証機関に全ての審査員をこの新しいコーポレート審査員グレードに昇格させてほしいとは思っていません。それが目的ではないからです。しかし、知識及び技能への適用および規定されたパフォーマンスレベルへの特性という点で「力量」をどのように定義するのか、そして「力量」を厳格な方法でどのように試験するのかをこのプログラムは示しています。

コーポレート審査員プログラムは補足的なプログラムであり、他のグレードよりさらに上級の認定グレードを作ることによって、既存の資格を基礎としたプログラムを廃止するものではありません。

「 このプログラムは「最高」を目指すことを意図しています。 」

このプログラムは非常に要求事項が多く、これまでのデータによると、現在IRCAに購読している審査員のうち、評価にパスするのは10%に満たないだろうとされています。コーポレート審査員を雇用している認証機関は、重要で複雑な組織を持つ顧客、または価値の高い顧客に対し、自組織にはISO 17024に適合し、独立した第三者機関の購読認定を受けているような最も力量の高い審査員が所属しているのだということを実証することができます。

また、一般的な審査技能を実証するための核となるプログラムであるこのコーポレート審査員プログラムには、一つしかグレードがないということも特筆すべきことです。また、このプログラムは一つのマネジメントシステム(QMS,EMS、OHSMSなど)に限定されるものではありません。むしろ、これはISO 19011:2002、品質及び/又は環境マネジメントシステム審査への指針に規定されている一般的な知識、技能及び資質に焦点を当てたものとなっています。

2020年の審査像

コーポレート審査員はマネジメントシステムの審査への要求事項を、ただ単に適合性に焦点を当てるのではなく、全てのステークホルダーに価値という点において段階的な変化を提供するような、卓越性に焦点を置いた形で伝えなければなりません。また、コーポレート審査員はISO 17021 及びISO 17024に規定されている、力量を基礎としたアプローチに対する動向への知識も提供することができます。IRCAはこのような未来像が近い将来において具現化すると考えていますが、我々は現時点ですでにお役に立つことができます…。

コーポレート審査員プログラムに関して、さらに情報を知りたい方はこちらにアクセスしてください:http://www.irca.org/certification/certification_13.html

 

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