ネットワークを制する者は異文化を制す?

審査プロセスは世界中どこで審査しようとも同じですが、文化の違い、時差の影響及び未知のものに対する懸念などから、審査員と受審側が共にストレスを受ける可能性がある、とAtkins 社の環境審査主任であるTony Iles氏は述べています

Cross-cultural auditing image  

審査の適用範囲及び目的(例 EMS全て、EMSのうち法規制順守に関して、または取得前の適正評価など)について合意することは審査員にとってはプラスになりますが、受審側はこの合意に関して多かれ少なかれ、何らかの不安を抱いている場合があります。受審側にとっては、これがはじめての審査経験かもしれません。そうであれば、受審組織は自分達が「良く」見られているかどうか確かめたい、または自分達が「何か悪いこと」をしているので責められるのではないか、出すぎたことを言っているのではないか、といった心配を抱いているかもしれません。

円滑な審査を確実にするために、誰が審査を行うのか、細心の計画(審査計画について受審側に周知する)、及びサイトにおける審査員の行動について考慮しなければなりません。

海外で審査を行う際に必要なことは何か?

審査対象となる組織が属する業界についての確かな知識に加え、国際的な審査を成功させるためには、高いコミュニケーション能力(そして特に、他者の気持ちに共感できる能力)、厳格さ、水準以上の常識力という個人的資質が必要となります。審査では驚くようなことがたくさんあるでしょうが、そのようなときでも審査員は素早い判断をしなければなりません。

英語のビジネスツールとしての普遍性が増すに従って、地域の言語を話せなくてもそれが障害になることは少なくなってきました。しかし、経営者の地位及び「面目」の重要性を含め、地域のビジネスマナーを認識することは、地域の環境法規制や社会通念を理解することと同じくらい重要です。自ら調べてみてください‐一般に公開されているような地域情報に頼らないように。出発前に、以前その国で実際に働いたことがある人を見つけて情報収集をしましょう。例えば、ランチへの誘いを断ったり、強い酒での度重なる乾杯を断ることが人々の気分を害するかどうかといったことです。同様に、訪問時に手土産をやり取りすることが適切かどうかといったことに関しても。

「通訳として地域のコンサルタントを選択する場合には注意してください‐あなたが時おり困難を感じることになるかもしれないからです。」

準備は万全ですか?

良い審査計画書を作成することは、経験のある審査員にとってはごく当たり前であり、既にお手のものですが、海外で初めて審査を行う審査員にとって審査準備に重点を置かなければならないことはストレスに違いありません。間違いなく、サイトでの持ち時間は非常に限られており、審査員はサイトの調査やインタビューから最大限のものを得るために自分でしっかりと事前の準備を整えておかなければなりません。サイトの連絡担当者に訪問の前、できるだけ早い時期に概略を示した文書を送付しておきましょう。審査時に見たい(またはコピーしたい)文書のリストを添付したり、より詳しい質問リストを添付することもできます。

地域の法規制については数多くのオンラインのガイドがありますが、この点に関しては地域のコンサルタントと協力して作業したほうが良いでしょう。彼らはその法律がどのように適用されているか、また将来予想される変更などに関する情報を提供してくれるでしょうし、規制当局とのやり取りの手助けもしてくれるでしょう。しかし、このようなコンサルタントを通訳として雇う場合には注意しなければなりません、なぜなら審査員が時おり困難を感じることになるかもしれないからです。5分間にも及ぶような会話を導きだすような質問に対して「はい」または「いいえ」という答えしか返ってこないようでは全く意味がありません。

サイトを見ずしてサイトのリスクアセスメントを完了することは難しいかもしれませんが、自分で安全装備を持っていく必要があるかどうか、あるいは現地で保護具を借りることができるかどうかを明確にしておきましょう。

現場ではどのようなことが予想されるか?

初回会議にふさわしい場面を設定するよう心がけてください。あなたの目的、そしてどのように行動するか(写真を撮ってよいかどうかも聞いてください)をもう一度述べてください。審査員は賓客として扱われるかもしれませんが、正式な案内役なしでは効果的なサイト調査をすることは難しいでしょう。審査チームの人数が多い場合は、各メンバーに個別の任務を与え、一人の審査員が一人の要員に1対1で質問するようにしましょう。

しばしば難題なのは、環境への排出物の品質です。例えば、前回の測定で20 mg/m3 の数値を示したとされる粉塵プルームがあったとします(濃度や排出率よりも、排出量を測定基準としている国もあることを覚えておいたほうが良いでしょう)。 測定は工場が閉鎖されている時、または排出量を削減するための装置が運転しているときにだけ行われていることもあります。審査経路では厳格に、礼儀正しく振舞うように心がけてください。但し、受審者の面目をつぶすようなことになってはいけません。

最後に、誰がサイトの上級管理者なのかを認識し、彼らに敬意を持って接してください。初回会議及び最終会議では、彼らの真向かいに座るようにしましょう。審査開始時に彼らに自信を与えておけば、審査員は審査時に十分な協力を得ることができますし、データへのアクセス許可も得ることができるでしょう。最終会議では、あなたの所見を明確にまとめ、上級管理者の方々に協力に対する謝辞を述べてください。

何よりも、新しい知り合いを作るよう心がけ、あなた自身が楽しんで仕事をしてください!

どのようにして付加価値を与えることができるか?

あまり疑い深くなり過ぎてはいけませんが、審査員はなぜ自分が選ばれたのかということも考えなければなりません。為替相場や人件費の違い、旅費及び宿泊費を考えても、海外の審査員を利用することは地元のコンサルタントを雇うよりもずっと多額の費用がかかっているはずです。

あなたが受審組織から雇われている場合、この「なぜ私なのか?」という問いに対する答えは、あなたがこの組織を国際的な基準(例 統合EMS又はCSR規格など)に照らして審査することができるからです。利用可能な最良の技術(BAT)に照らした審査は、国連BATレファレンス(BREF)が広く利用され、これが世界銀行基準またはIFC基準に取って代わるようになって以来、徐々に一般的になってきています。  

あなたを雇うことによって、組織は苦労して稼いだ資金をあなたの経験及び判断に投資しているのです。あなたのアドバイスは、「工場を改装したほうが良いか、それとも工場そのものを建て直すか?」という問題と同じくらい根本的なものとして、組織の20年後までの投資計画に大きな影響を与えるかもしれないのです

または、もしクライアントが受審組織を買収しようとする際にあなたを雇ったのだとしたら、この場合、審査員としての独立性、経験及び知識が不可欠であり、国際的な「相場」が発生することになります。

クライアントはあなたが受審組織のリスク及び法的責任を評価する能力、それらの法的責任の重要性、そしてはっきり言うと、これに伴う専門職業賠償責任に対するあなたのアドバイスを買っているのです。適正評価を実施する審査員は、「交渉決裂」の原因となるかもしれない問題を明確にし、特定するのに十分な経験を有していなければなりません。そして最低限、組織が直面しているリスクのリストを作成できるような知識を有し、もしそれらが実際の、または偶発的な法的責任を伴うかどうかを判断し、サイトの要員がパフォーマンスを向上するために利用することができるような明確な環境活動計画(EAP)を作成できなければなりません。


日本とインドの審査に関する情報は下記をご覧ください:

Japanese flag button image

ケーススタディ- 日本における審査

Indian flag button image

インドでの審査にスポットライトを当てる

Online Forums logo