OHSAS 18001:あれから9か月
OHSAS 18001 労働安全衛生マネジメントシステム –要求事項が2007年に発行された際、インフォ15でその潜在的な影響に関する調査を行いました。あれから9か月経ち、がその後の進展及び2つの指針文書について検証しています。

労働安全衛生マネジメントの効果的なシステムを備えることの重要性は長い間認識されてきましたが、英国において法人故殺罪法(2007年)という新法が施行され、注意義務を怠ったことによる事業者の責任が問われることになり、効果的なシステム装備の重要性がさらに強調されるようになりました。効果的な労働安全マネジメントシステムの必要性がかつてないほど明確になり、OHSAS 18001は正しい対処を確実にするための手段となっています。
OHSAS 18001の発行以来、この分野ではOHSAS 18002やBS 18004のパブリックコメント用原案(DPC)のような数多くの進展がありました。多くの労働安全衛生の専門家が、OHSAS 18001はそれ単独でも十分にニーズを満たしていると考えていますが、実際は多くの組織には、この規格を首尾よく実施するために常時活動できるような専門家がいません。したがって、組織の指針となる参照文書へのニーズが明らかになり、OHSAS 18002及びBS 18004がその役割を担うことになったのです。
OHSAS 18002
OHSAS 18002は、OHSAS 18001のシステムには何が求められているのか、そして審査員は何を見るのか、といったことを18001のユーザーが理解する際の補助として開発されました。例として、OHSAS 18001の4.3.1項を見てみましょう。
危険源の特定及びリスクアセスメントのための手順を考慮しなければならない。
A. 定常活動及び非定常活動
B. 職場に出入りするすべての要員の活動(下請負業者と来訪者を含む)
C. 人の行動、能力およびその他の人的要因
D. 職場内部において組織の管理下にある人の安全衛生に悪影響を及ぼす可能性がある外部で起因し特定される危険源
E. 組織の管理下にある作業に関連する活動によって職場等で生じる危険源
F. 組織(事業場)又は他者から提供されている職場の設備、機器、材料など
G. 組織の活動、又は使用する材料等に関する変更又は変更への提案
H. 一時的な変更を含む労働安全衛生マネジメントシステムに対する修正、運用、プロセス及び活動に対する影響
I. リスクアセスメントおよび必要な管理策の実施に関連している適用すべき法的な義務(3.12の参考を参照)
J. 人の能力への適用を含む作業領域、プロセス、施設、設備機器、操作手段・手順および作業組織の設計
A、B、F以外はすべて、改訂版18001で初めて登場した要素です。特にこれらの変更については、一体何が求められているのかをさらに詳細に説明する必要があり、その説明が18002の危険源の特定及びリスク評価の章で述べられているのです。
OHSAS 18002は国際文書であり、現時点においてはBS(英国規格)指針ではありません。しかし、英国の要求を満たした最終文書は、英国規格として採用されるでしょう。この規格の国際性にはたくさんの利点があります。なぜなら、80カ国以上で25,000を超える組織が認証を取得しているため、広く採用され、信頼を得るためには共通理解が必要なのです。
国際文書には大きな利点がありますが、国際文書開発のためには法的及び文化的差異を反映した合意が図られなければなりません。例えば、英国では2006年に、労働関連の疾病で実に3000万日の労働日数の損失がありました。疾病は国際的に共通の法規制要求事項が存在しない分野であり、結果としてしばしば見落とされています。18001規格のリスクを基礎としたアプローチを用いれば、リスク評価活動の際に疾病にも相応の重要性を与えて評価することにより、安全リスクと同等にリスクを特定することができます。
BS 18004
BS 18004はBS 8800:2004の改訂版で、組織が英国の要求を満たす労働安全衛生マネジメントシステムを実施する際の補助となるものです。OHSAS 18002よりも包括的な文書であり、付属書において以下のような追加指針を提供しています。
A. 統合 *
B. 実施及び運用の指針
C. 効果的な労働安全衛生マネジメントシステムの推進
D. 目標設定及び労働安全衛生プログラムの計画及び実施の指針
E. リスク評価及び管理の指針
F. パフォーマンス評価
G. インシデントの調査
H. 内部監査 *
I. 労働安全/労働衛生の提供 *
J. 労働者の関与 *
K. 緊急事態への準備及び対応 *
L. 良い労働安全ビジネスパフォーマンスのための効果的なリーダーシップ *
これらの付属書の多くが新規のものです(*参照)。付属書及び本文は特にグッドプラクティスの採用を模索している組織にとっては興味深いでしょう。また、この付属書及び本文を利用することにより、組織のコミットメントを従業員及び組織活動から影響を受ける人々の両方に対して実証することができます。リーダーシップと文化の重要性に対する認識の高まりがL及びCで取り扱われています。また、Jは労働者のコミットメントに焦点を当てています。疾病にどのように対処するかについての詳細な指針は付属書Iに規定されています。
多くの組織が事業上のリスクを運営管理するための統合アプローチに利点を見出しています。これは付属書Aで取り扱われています。主な利点は、以下のように特定されています。
- 異なるマネジメントシステム間の不一致の軽減
- 組織運営にとって不可欠な一部となりつつある労働安全衛生
- 官僚主義の軽減
- 審査における有効性の向上
UKASの認定により、拡大されたOHSAS 18001はより高次元の規格となり、労働安全衛生マネジメントシステムの審査員にとっては明らかに新たなハードルとなるでしょう。BS 18004とOHSAS 18002の指針は、どちらも審査しなければならない領域を特定するのに欠かせないものとなるでしょう。OHSAS 18001審査員に必要な力量がさらに高くなったことを認識し、2008年1月、IRCAは改訂版の労働安全衛生審査員要求事項を発行しました。
なぜ2種類なのでしょうか?
なぜ2つの指針規格が必要なのかと疑問に思う人々もいるでしょう。ここで、OHSAS 18001が国際的に適用される必要があり、そのための指針は18001のフォーマットに従う必要があるということを思い出してください。
マネジメントシステムの適用範囲は世界中で異なります。例えば、ヨーロッパでは組織の活動が公衆に与える影響は、危険源を特定し関連リスクを考慮する際に検討されなければなりません。一方、マネジメントシステムにおいて直接の労働者だけを考慮すれば良い国々もあります。このような理由から、英国向けに開発される文書はより広い適用範囲を網羅するように作られています。BS 18004は労働安全マネジメントシステムのより幅広い適用範囲を認識し、組織OHSAS 18001及び2で述べられている国際的な要求事項だけでなく、英国のグッドプラクティスや法規制要求事項も満たすことができるように作成されています。
この2つの指針文書は、2008年11月に発行される予定です。これらの文書同様、他の文書の開発も検討されています。BS 18004の成功の一方で、特に事務所など、低リスクの組織に関連した文書の開発が提案されています。BS 18004の包括的な指針はこのような低リスク組織のニーズを大きく超えていると考えられる可能性があるからです。さらに、規格内および労働安全衛生分野で使用される用語への共通理解を確実にするため、用語に関する文書の発行も予定されています。
著者について
David Smith氏はIMS Risk Solutionsのディレクターであり、労働安全衛生委員会の議長でもあります。世界中におけるトレーニングに加え、同氏はマネジメントシステム規格に関する著書も数多く執筆しています。OHSAS 18001:2007の全ての新規要求事項を網羅した、評価の高い著書、Managing Safety the Systems Way の最新版が現在発行されています。Smith氏へのコンタクトはe-メールdavid@imsrisksolutions.co.ukまたは下記のウェブサイトにアクセスしてください。www.imsrisksolutions.co.uk
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