経験不足の問題

Rohit Bakshi氏が管理責任者の役割と、なぜ経験の浅い審査員は上級経営層に近づくべきではないのかを議論します。

管理責任者の最も重要な責任の1つは、組織全体の顧客要求事項への認識を高めることです。ISO 9000シリーズでは、管理責任者は上級経営層の中から任命するか、外部に委託できることになっています。しかし私は、外部コンサルタントでは管理責任者としての責任を十分に果たすことができないと考えています。なぜなら、彼らは組織の日々の活動に従事していないからです。もし外部の人間が任命されたなら、組織の上級経営層は自身が上級経営層レベルの役職を経験したことのあるコンサルタントを雇い、管理責任者の責任が継続的に満たされることを確実にしなければなりません。

多くの場合、経験の浅い審査員はトップマネジメントの考え方を理解していません。たとえ、管理責任者自身が上級経営層から選任されていたとしても、トップマネジメントの思考は管理責任者のそれとは全く異なります。管理責任者は審査員の質問に直接返答するでしょう。しかしながら、品質マネジメントシステムが実施されているかどうかを本当に確かめるためには、上級経営層に対して直接質問をする必要があります。これは、内部、外部を問わず、経験の浅い審査員が見落としがちなことです。

ですから、経験豊富な内部監査員だけが上級経営層の監査をすべきであると私は考えるのです。ほとんどの監査員は技術分野出身で、技術者レベルかそれ以下の従業員としか接したことがないはずです。彼らはほとんどの時間をこのレベルの従業員と過ごし、上級経営層と接する機会はほとんどありません。あったとしても、組織の管理責任者を兼任していることの多い、品質保証部長くらいでしょう。このことが、管理責任者がすべての品質関連の問題について上級経営層を代表して取り仕切っている、という誤解を招くのです。そうすると、監査員は管理責任者と話したところで仕事は終わり、もうトップマネジメントと話す必要はない、と考えてしまうのです。

経験の浅い監査員を使うことによるもう1つの問題は、不適合の報告の際に起こります。内部監査の不適合は、私の経験上、大変貴重なものです。審査中、内部監査員は改善のための提案をすることができます。これは、このようなことは第三者審査ではあり得ません。しかし、例えば、内部監査員が下層レベルだった場合は問題です。彼らは上司からの反発を恐れ、不適合報告の際にしり込みしてしまうのです。たとえ何のアクションも取られないことが明らかであったとしても、我々は監査員として、客観的な事実に基づいて事実を述べなければならないのです。

所見を重大または軽微に分類し、是正処置報告をする際も、審査員は容易に所見を重大または軽微な不適合、または観察事項に分類できなければなりません。特に内部監査では、観察事項が審査の善し悪しの決め手となります。

所見を重大または軽微に分類するための絶対的な要求事項はありませんが、内部監査では観察事項を外部審査員に分かりやすいように明確に分類しなければならないことがあります。時々、内部監査の所見が外部審査員の所見と一致しておらず、誤解を招くことがあります。これも、経験の浅い監査員の至らない点です。なぜならこのような外部審査まで見据えた分類を行う必要性を認識できるのは、経験のなせる業だからです。

著者について

Rohit Bakshi氏は、メカニカルエンジニアとして23年、品質管理及び検査部門で17年、品質保証部門で6年のキャリアがあります。同氏は現在、Poyry Energy 社の品質保証マネージャーとして、同社のチューリッヒおよびフィンランドの本社で設計・技術関連のコンサルティングに従事しています。

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