現実的なシステム思考を通じた
効果的なガバナンス
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どのような組織にも、効果的なガバナンスのメカニズムとリスクマネジメントのプロセスを備え、それを効果的に実証できなければならないというプレッシャーがかつてないほど高まっています。これを踏まえ、氏と氏が、システム思考がいかに役立つかを調査しています。 |
従来の財務報告と同時に、環境および社会活動や影響に関する報告も義務化するという顕著な動向があるということを、我々皆が経験しています。しかし、一部の規制当局や機関にとっては、これでもまだ十分ではありません。既に、以下のような提案がなされています:
- 組織は、環境やその他のコンプライアンスを確実にするため、法令関係の責任を専任で担う社員を任命しなければならないという必須要求事項
- 取締役に課せられる新たな義務を充足するための強制的なガバナンスプロセスの導入
多くの人々にとって、組織にコンプライアンスを「強制する」このような提案は、リスクマネジメントを取り扱うための適切な方法のように見えるでしょう。しかし、過去に行われた同様のアプローチを見たとき、果たしてそれらは本当に規制当局が達成したいと考えていた成果を生み出すことができたでしょうか?同じく重要なのは、そのような強制によって、組織は経済的、社会的および環境的なリスクのバランスを保ち、パフォーマンスへの要求事項を満たすための持続可能な解決法を生み出すことができたか、ということです。
一貫性という点では明らかな魅力はあるものの、「どの組織にも適用可能な」アプローチは、通常あまりにも官僚的で、複雑すぎる解決法の要因となり、非現実的になりがちです。このような提案が本当に対処しなければならない「現実的な」問題を取り扱うための方策となり得るのでしょうか?
高レベルのコンプライアンスを生み出す必要はもちろんあります。しかし、皆にすべてを同じ方法で行うことを強いることは、破滅への第一歩となるでしょう。組織はそれぞれ、順守しているように見えるよう努力するでしょう。しかし、その結果、多くの組織が見せかけだけのコンプライアンスを証明し、その一方で全く違う状況が日々の活動の中で繰り広げられていることでしょう。
| このような提案の意図自体は賞賛に値するものです。したがって、グローバルな商業界でうまく事業を運営しようと思えば、この提案を取り扱うための解決法を見つけ出さなければなりません。 | ![]() |
右から:ステークホルダーからの圧力→取締役会→個々の解決法または統合的解決法?
図1 経営層は高まるステークホルダーの要求にどのように対処するか
ビジネス界のリーダーたちは、従来の規制によるアプローチや盲目的なコンプライアンスの落とし穴に陥ることなしに、ステークホルダーの要求事項に対処することができなければなりません。
解決法
解決法の1つがシステム思考です。システム思考では、組織を次のように認識しています。単一の生物系で、常に変化し、鍵となるビジネスプロセスの枠組みを通じて経済、社会、環境など、すべての影響の優先順位を決め、測定しているものである、と。
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現実には、新たな要求事項のうちの多くの要素が、日常的にまさにグッドビジネスプラクティスとして、すでに組織内のどこかで実施されています。 |
赤い吹出しから時計回りに:誰の責任ですか?→「私ではありません。私は製造を運営管理しています」→「私ではありません。私は人的資源を運営管理しています」→「私ではありません。私はITを運営管理しています」→「私ではありません。私は財務を運営管理しています」→「私ではありません。私は購買を運営管理しています」
図2 システム内に明確に規定する必要がある責任
問題は、組織は適用しなければならない義務的なガバナンス要求事項や規格/枠組みに規定されている明確な「統合的」方法を採用していないだろう、ということです。
要求事項をどのように組織の現在の活動やマネジメント手法に適用するかを明確にすることを置き去りにしたまま、多くの組織が適合を実証するための新たな「システム」を構築しています。これにより、通常の場合、多額の費用、重複が発生し、さらには別のイニシアチブが必要になったり、さらに悪いのは、責任がラインの責任者からこの新規の「システム」の運営責任者に明らかに移ってしまうことです。通常の場合、特定の規則、規格または枠組みのすべての要素が日々の活動に組み込まれていることを確実にするための責任者が専任で設置されますが、その責任を継続的に与えるのは大変危険です。
- 経営陣はすべての活動を1つにまとめ、異なる活動を協働させることで、自分たちの組織はたった1つのシステムを運営管理していることを認識するでしょう。それぞれの新たな要求事項に対応するために個々の「システム」を開発しても持続しないでしょう。なぜなら、組織は限りない数のシステムを適用しなければならないからです。
- システム思考により、経営陣は新たな要求事項のどの部分がすでに組織内で実施されており、どこを調整しなければならないかを、それほど大きなイニシアチブを必要とせずに分析することができるでしょう。システム思考により、ラインの責任者がその責任を担っている重要なビジネスプロセスが特定できるので、新規の要求事項のために組織に配属される人物がすでに継続的に適用されているプロセスについても責任を負う、ということはなくなるでしょう。
- 1つのシステムには、目標を達成するための8から15の鍵となるプロセスが組織全体にわたって存在するでしょう。これは、実際に起こっていることおよび21世紀において必要なパフォーマンスの範囲を達成するために必要なことに関する現況を反映した単独のビジネスマネジメントシステムを用いて運営管理することができます。これはパフォーマンスを促進するものの一例を挙げたにすぎません。このほかにも、ほとんどの場合は取り上げられることのない、文化、チームワーク、コミュニケーションなどもまたパフォーマンスに基本的な影響を及ぼしているのです。これはコミュニケーション、および何を行わなければならないかを理解するために役立つ方法のほんの一例です。
- 経営陣は、現在適用されている適合性審査の手法では、通常このような「動的な」問題を評価することはできません。たとえそれが規則への適合、パフォーマンスの実行およびビジネスの有効性の持続可能性が持続するための鍵となるものであったとしても、です。先手必勝型の積極的な審査は、適合性を超えてリスクマネジメントの鍵となる要素となります。
経営陣と上級管理層が運営管理しなければならない要求事項が増えたときにリスクが発生する可能性があります。それでもやはりコンプライアンスが遂行されることを確実にする必要がありますが、これは下層および中層の管理者の責任で遂行されるべきです。適切なメカニズムを構築することにより、現在何が起こっているかを理解し、年1回の審査ではなく、リアルタイムでの注意が必要な領域を把握することができるのです。
また、現在の審査手法では、コンプライアンスさえ報告されていれば良しとされる場合がしばしばあります。従って、経営陣および上級管理者は審査にほとんど価値を見出せず、審査所見への対処を中間層の管理者に押し付けてしまうことになるのです。行動を基礎とした審査では、現実に即して将来に焦点を当て、リスクに基づいた報告書が提供されるので、目標が明らかになります。報告書に記載された情報は、上級層の人々が運営管理しなければならない項目、つまり戦略上の問題およびビジネス上のリスクに関する問題と密接に調和したものとなります。

右から:信条→行動→皆の行動様式→活動→結果
図4 行動様式は先行指標またはコンプライアンスおよびパフォーマンスであ
る
興味深いことに、多くの新たな規則が、経営陣は組織のプロセスに関連するリスクが理解され、運営管理されることを確実にするための個人的な責任を負わなければならないことを要求しています。システム思考や行動を基礎とした審査が十分に適用されているならば、経営陣はこのような責任を実行していることを偽りなく実証することができます。システム思考や行動に基づく審査が行われていない場合は、多くの活動が生じます。しかし、これらの活動によって、本当にそのような責任が遂行されていることを正当化することができるでしょうか?
システム思考を採用しているからといって、新たな要求事項を無視してよいというわけではありません。しかし、システム思考を行うことで、どのような組織も、新たに発生した要求事項に効果的、効率的に対処するためのビジネスマネジメントシステムにおけるプロセスを成熟させるための明確な基礎を築くことができます。これにより、責任者が適所に配置され、ビジネス目標の裏づけとして、日常的に要求事項の範囲のバランスを保つことができるので、すべての要求事項が組織およびそのシステムに真に統合されることになります。言い換えれば、「現実的な」マネジメントが実現するのです。
著者について
Rob Peddle氏とIan Rosam氏は、ビジネス、企業の社会的責任マネジメントおよび行動を基礎とした審査へのシステム思考のアプローチで、まったく異なる専門分野をひとつにまとめ上げています。この主題について、多くの共著を執筆しており、組織が組織全体にわたる「現実的な」マネジメントシステムを通じて、ステークホルダーから要求される幅広いビジネス上の要求事項を実行するための能力を作り出せるようにすることに熱心に取り組んでいます。
両氏は、High Performance Organization Groupのディレクターです(www.the-hpo.com)。連絡先は、rob.peddle@the-hpo.comまたはian.rosam@the-hpo.comです。
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