マネジメントシステム審査の多様性

John Symonds氏が、エクソンモービル社がどのように付加価値のある便益につながる、マネジメントシステムに対する多様な評価の仕組みを開発したのかについて説明しています。

エクソンモービル社はちょうど創業125年を迎え、4000億USドルに迫る総売上高は、世界の民間の石油企業としては最大規模を誇ります。同社は石油、天然ガスおよび炭化水素製品を世界の様々な場所で生産するうえで、資源および資産価値を最大限にするというやり方で、安全と信頼にコミットしています。

近年のエネルギー産業で発生した大惨事により、成果となるマネジメントシステムを構築する必要性が強調されています。今年20周年を迎えたPiper Alpha社での、石油やガスのタンク漏れという大惨事も記憶に残る話です。Buncefield社でも、最近そのようなことがありました。このような事故を教訓に、全体性を維持することを目的として、エクソンモービルは「全社的なマネジメントシステム(OIMS)」を開発し、1991年にこれをすべての作業単位に導入しました。

システム

エクソンモービルのビジネスモデルには、倫理的行動、健康、安全および環境などのビジネス慣行に関する16の基準があり、8万1000人の全従業員はこれに従わなければなりません。これらは安全、衛生および環境マネジャーや品質ディレクターではなく、ラインマネジャーやビジネスマネジャーが主導するマネジメントシステムを通じて適用されています。部門長は、システムの有効性とシステムによって得られるパフォーマンス結果に関する測定として、実行委員会による審査を受け、その責任を問われることになります。

マネジメントシステム規格は、継続的改善サイクルのすべての要素が備わっていて初めて本当に効果的に機能します。我々の見解では、このサイクルを完璧に実行するには、効果的な審査と審査で特定された活動へのフォローアップを達成しなければなりません。

これを踏まえ、OIMSには細分化された各システムのための審査プロトコルがあります。例えば、小規模な潤滑油調整工場には10のシステムがあるとすると、精製所のような審査対象ユニットには、21のシステムがあります。審査対象ユニットでは、教育訓練を受けた要員による内部監査が年1回行われます。外部審査は、3年から5年に一度実施されます。この外部審査は、企業内の同レベルまたは上位レベルのマネジャーが主導します。大抵の場合、審査チームは他国の他ユニットから派遣され、チーム編成は環境アドバイザーと安全エンジニアといった具合に、ラインマネジャーと専門家が平等に選定されています。

このアプローチの利点は、全社がOIMSにコミットしている、つまり幅広い部門から知識豊富なマネジャーが参画し、ユニットと外部からの参加者が互いにベストプラクティスを共有していることを実証できるということです。

他の規格への適合

保証へのアプローチが、特に1987年にISO 9000シリーズが発表されて以来、国際的に展開されています。ISO 9001、9002、9003が最初に発行されたとき、これらの規格は、主に当事者間の契約を意図していました。第三者認証の広がりは予想されなかったことで、その価値については今でもしばしば疑問視されています。例えば、経営陣はシステムの改善ではなく、認証の維持を重視する可能性があるのではないか、などです。

ISO 14001の適合性審査に関する文言は、OHSAS 18001でも採用され、以下の4つのアプローチを提供しています。

  • 自己宣言
  • 第二者確認
  • 第三者確認による自己宣言
  • 第三者認証

我々の場合、Lloyds Register Quality Assurance社(LRQA)が、OIMSが世界に約200ある審査対象ユニットにおいて効果的に展開されているかをチェックしています。我々はこのアプローチにおいて成功を経験しているので、3つ目のオプション(第三者確認による自己宣言)ならば自己証明書によるコスト効率のよいアプローチが可能であるのに、なぜ今日においては4つ目のオプション(第三者認証)が最も重要視されているのか、非常に懐疑的です。

合理的な保証への要求を認識しつつも、不必要な外部活動を避けるために、我々は3年ごとの証明サイクルを採用しています。LRQA社はOIMSとISO 14001 / OHSAS 18001要求事項を比較し、世界に数々ある本社オフィス、共同オフィルはもちろん、いくつかのサイトもサンプリングで訪問しています。

結果

どのような方法も、得られた結果によりその成果が証明されます。エクソンモービルについては、OIMSが導入されて以来、安全衛生および環境パフォーマンスにおける継続的改善を達成しています。そのレベルは、我々の同業者と同等化、それ以上のものであると自負しています。未だに業界最高レベルよりも低い傾向にあるのは、要員の負傷率と水漏れの2点です。

与えられた責務に対する適合性を検証するために、ほとんどの企業が、自己認証の仕組みを利用することができると思います。適切な確認作業をしないで山に登ろうとしたり、マラソンを走ろうというのは、ばかげた振る舞いです。しかし、専門家の力に頼るのは、そうするのが賢明であると判断したときのみに限るべきです。もし政府が、すべてのマラソンランナーや登山者は独立した医者による検査を自費で受けなければならない、と主張したら、我々はどのような気持ちになるか想像してみてください。

ISO 9001の認定に基づく第三者認証制度においてバラツキが存在することは、世界的な批判の的となっています。審査の専門家は力量を改善することに注力する権利がありますが、ここでもうひとつ提案したいのは、審査の枠組みの多様化を、エクソンモービルのように推進することです。自己証明は、取り組むべき価値のある最高の機会となることでしょう。


著者について

John Symonds博士は、英国のレザーヘッドに拠点を置く、ExxonMobil Global Downstream およびChemicalsの環境アドバイザーです。博士は、この組織の英国およびアイルランドのSHEチームリーダーでもあります。博士は、労働安全および環境の分野においてBSIの標準化活動に従事し、ISO 26000社会的責任ワークグループの国際石油産業環境保全エキスパート(International Petroleum Industry Environmental Conservation Expert)でもあります。また、博士はISO 17021に基づいて設立された、LRQAの一般技術委員会およびIAFエンドユーザー諮問委員会のメンバーです。