内部監査-最善の方法  

ISO 9001で内部監査の実施が要求されているために、内部監査を行っている、というのはよくある話です。各手順書を文字通り実行することに躍起になるあまり、プログラムの利点は失われ、内部監査は形式的なものになってしまいます。このような審査プログラムではISO 9001の要求事項に適合できないだけでなく、改善の機会も失うことになってしまいます。Steve Coles氏がよりよい方法を説明しています。

計画

まず、なぜ監査を実施するのかを決め、監査によって組織にどのような利点があるのかを上級経営層と合意します。もしマネジメントシステムのなかで、組織が相互に関連したプロセスであると未だ認識されていないならば、今こそプロセスマップを作成する機会です。まず、経営陣が設定した使命や目標をあなたが審査可能と思う階層まで下ろします。プロセスマップがシステム文書と合致していなくても心配しないでください。なぜなら、これからしようとしているのは組織の監査であり、単なる書類仕事ではないからです。


ISO 9001への適合性を実証したいと思うならば、ここで要求事項と組織のプロセスのマトリックスを作成しましょう。要求事項とプロセスをそれぞれ表の縦軸、横軸のどちらかに取り、要求事項とプロセスが交わるところ、または要求事項が取り扱われなければならないと思われるところに印をつけます。明らかにギャップがあるところをチェックし、規格を満たしていることを確認しましょう(書類上でも何でもOK)。規格への適合が確認できない箇所は、チェックリスト作成前の審査所見となります。

リストアップしたプロセスに優先順位をつけ、スケジュールを作成してください。現実に即して、実際の資源(人および時間)に基づいて計画を立ててください。そして、必ずしも毎年すべての要素を網羅する必要はありません。

最後に、監査を行う際には必ずスポンサー、つまりだれか関連するプロセスについて権限がある人がいなければなりません。

監査の実施

監査員、スポンサー双方が考えを出し合い、監査内容(ToR)についてスポンサーと合意します。その後、監査員はToRに基づいてチェックリストを作成します。チェックリストはすべての関連する領域が網羅されていることを確実にするためのガイドとなりますが、すべてのチェック項目を厳格にチェックするためのものではありません。

監査の際に基本となる質問は、下記の5つに限られることを覚えておくと役に立つでしょう。

  • 「あなたは何を達成したいと思っていますか?」被監査者が実際に何を目標として設定しているかを証明してください。それは組織の目標と一致しているでしょうか?
  • 「あなたは何を行っていますか?」被監査者は監査員にプロセスを説明する(または示す)ことができるでしょうか?被監査者が自らのことばで説明できるように配慮しましょう。また、同時に、直接的な質問をする必要もあるでしょう(このために、監査準備やチェックリストが役立ちます)。
  • 「目標に適合していますか?」上記の質問に対する答えの証拠となるものを探してください。
  • 「あなたはなぜこれを行っているのですか?」これは正式なシステムおよび手順に対するチェックです。もしすでにちゃんと準備をしているならば、どのような答えが返ってくるか予想できるはずです。しかし、これは被監査者にとっては自分がシステムに従って業務を行っていることを実証する機会でもあります。
  • 「もっとよりよい形で行えるでしょうか?」改善のためのアイディアを引き出してください。自身で考え、合意を得るようにしてください。

報告

監査中にはたくさんのメモを取りますが、冗長な表現をしてはいけません。人々は、長いものより短くてシンプルな報告書を読みたい(またはそれに従って行動したい)と思っているに違いありません。冗長な報告書は読むのを後回しにされます。そしてそれが読まれる日が来ることはないと思ったほうがよいでしょう。

最低限、報告書には適用範囲と適合性に関する記述があれば十分です。しかし、改善を行うためのツールとしてより価値のあるものにするために、以下の事項を考慮してみてください。

  • タイトル(および識別番号を使用している場合には監査の識別番号)
  • ToRに関する簡単な記述
  • 監査に関与した人々のリスト(監査員、スポンサー、インタビューを受けたまたは観察対象となった被監査者)
  • 監査の簡単なまとめ
  • 改善の機会のリスト。何が発見されたのか、そしてそれはなぜ取り扱われるべきなのかを正確に記述し、何を行うべきかについて推奨事項を提案し(そうすることについてあなたに自信があり、力量がある場合)、緊急性や優先順位に従ってランク付けしてください。

報告書を正式に発行する前に、被監査者およびスポンサーから合意を得てください。所見および推奨事項への合意が得られなければ、改善の機会はここで失われます。組織のマネジメントシステムに従い、フォローアップのための合意された活動をさらに提案することもできます。どうするかはスポンサーの決断にゆだねられます。

終わりに

ISO 9001の8.2.2項の要求事項を見ると、監査員は以下のことを検証しなければならない立場にあります。

  • 計画されたことが実行されているか
  • システムは規格に適合しているか
  • システムは組織の目標に適合しているか
  • システムは効果的に実施されているか
  • 緊急性がある場合、もしくはシステムが要求事項を満たしていないと見る場合は、是正処置の実施を提案しているか

最も重要なのは、組織のニーズに着目し、チェックリストの項目に従って監査するたけに留まらない活動をすることです。そうすれば、本当に効果のある監査を実施していると実感できるでしょう。


著者について

Steve Coles氏は、約20年にわたり独立した品質マネジメントコンサルタントとして活動しています。主に、油田やガス探査業界において、従業員5名の小さな企業から、大規模な多国籍企業に至るまで、様々な規模の組織に対してサービスを提供してきました。同氏は、様々な審査スキームの開発、改善および運営に関与し、そのスキームはどれも単に「チェックリストを埋める」のではなく、改善を提供することに重点を置いたものとなっています。