ある審査員の談話
氏が、力量不足の審査員と共に審査を行い、審査に悪影響を与えた経験を思い出しています
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もちろん、審査員全員に力量があると仮定するのは間違っています。審査員が力量を持っていることを確実にするために、IRCAやその他の機関によりあらゆる努力がなされており、審査員が経験を積み重ねていく中で、そのような経験を第一級の審査員としての信用を築く上でそのような経験を貴重であると見なすのは不合理なことではありません。 しかし、経験があるからといって必ずしも力量があるとはいえないということを、私はある忘れがたい経験から学びました。 |
もうひとりの審査員
ある審査の前に、認証機関から電話がありました。2日間の審査の1日目に、補助役の審査員がもう1人必要で、その候補者を提案します、というものでした。私はその人物を知りませんでしたが、彼は私より年上で、経験豊富な審査員だということでした。
我々は審査の直前に会い、私は初回会議で彼を正式に紹介しました。その後すくに、我々は私が作成した審査計画書に従って、別々のルートで審査を開始しました。私には社長が付き添い、もうひとりの審査員には他の上級社員が付き添いました。我々は短い昼食を共に取り、その後は審査初日の中間最終会議の直前まで顔を合わせることはありませんでした。
そこで私は過ちを犯したのです。このような状況では、私は通常、補助審査員に対し、何か不適合を挙げたならば、それについて正当な理由を説明するように求めます。もうその時は遅かったし、私は彼を経験のある審査員だと思い込んでいたので、何も問題はないだろうと考えてしまったのです。
我々の所見
中間最終会議において、私はもう一度、私が挙げた不適合について説明し、社長は肯いて合意を示しました。それから、私は補助審査員に向き直り、彼が挙げた不適合について説明するよう求めました。まもなく、社長と補助審査員は「にらみ合う」ことになってしまいました。補助審査員の挙げた指摘の一文一文が、社長にとっては非常に合意しがたいものだったのです。
私はこれまで、このような状況に遭遇したことはありませんでした。私は黙ったままでしたが、社長はすぐに主任審査員である私のほうを向きました。私は自分が社長の意見に賛成であることに気づいていましたが、何もいいませんでした。社長が私のほうを向いたとき、私は身構えました。腕時計をちらりと見、社長の目をまっすぐに見て、「今日はもう遅い、このことについては明日話し合いましょう。」と言いました。社長は、もうひとりの審査員が明日はこの場にいないであろうことを理解しました。
家に帰る途中、私はもうひとりの審査員が行ったことを注意深く考えました。そして、彼はすべての点において間違っていたという結論に至りました。さらに、私は帰宅するなり、自分の見解をすぐにコンピュータに入力しました。その晩、私はもうひとりの審査員に電話をかけ、彼の所見を撤回するつもりであり、私の所見を後でFAXする旨を伝えました。彼は決して応じようとしませんでした。
一夜明けて
翌朝、私はあの、いわゆる経験豊富な補助審査員について、より多くの発見をしました。まず、私は社長に、もうひとりの審査員の所見を撤回する旨を伝えました。すると社長は、上級社員がISO 9001の認証取得にあまり乗り気ではないことを説明し始めました。つまり、彼らはすでに熟練しており、何年もの間、業務を完璧に行ってきたのに、なぜ認証を取得する必要があるのか?というのだそうです。それでもなお、社長は認証取得が正しい道であるという決断を下していました。
それから社長はいかに私の同僚の審査員が社員に対して非常に無礼だったかという説明を続けました。あるとき、彼は社員のひとりのほうを向き、最も無作法な言い方で「黙れ!」といったのだそうです。当然、これが良い方向に向かうはずがありません。審査員が理由はどうあれ挑発に乗ってしまうというのは問題外のことです。なぜなら、インタビュー中に決して腹を立ててはいけないという審査の黄金律があるからです。いわゆる経験豊富な審査員にどうしてそのような振る舞いができたのでしょうか。社長は、あの審査員の極めて侮辱的な行動のせいで、社員に認証の価値をもう一度理解させるために6ヶ月はかかるだろうと言いました。
最後に、私は組織の認証の推薦を行いました。私は同僚の行動について何度も謝罪し、社長は認証機関に苦情を申し立てるかどうかを決定すべきであると伝えました。社長が苦情を申し立てたかどうかは分かりません。
すべての認証機関は顧客に対し、審査員の専門性についてコメントすることを奨励すべきです。自分を第一級の審査員であると認識している人々も含め、すべての審査員は他者のコメントから真摯に学ぶべきです。このレポートで述べたケースのように明らかに力量不足であったり、専門性に欠けている場合は、フィードバックをもとに審査員の再教育を行うか、認証機関との契約を解除すべきです。
著者について
Dennis Green博士は国際的コンサルタントであり、ISO 9001のプリンシパル審査員でもあります。また、品質マネジメントシステムに関する5冊の著書を執筆しています。そのうち最新の3冊は、BSIより発行されました。タイトルはそれぞれ、” Quality Patient Care in Hospitals”、” Quality of Care in Residential Homes for the Elderly”、”Medical Devices: ISO 13485 and ISO 9001”です。

