行動パターンの審査に

変革の必要あり

Ian Rosam氏は、審査に実際的な重要性を持たせることを確実にするためには、審査員は過去の出来事を評価することをやめ、未来を審査することに着手すべきだと議論します



金融破綻は皆に影響を与えています。これは、ある意味においてはマネジメントシステムやプロセスがあるべき姿で機能していることについての自信が崩壊したことによって引き起こされたとも言えます。このようなシステムに対する審査は、内部および第三者によって行われ、上級経営層がそのレポートをレビューしてきました。この審査の何が悪かったのでしょうか?そしてより重要なのは、同じことを起こさないために何ができるのか、ということなのです。

過去に目を向ける

マネジャーたちは、何が起こりそうなのかを知る必要があります。そうすれば、自社のシステムおよプロセスの将来のパフォーマンスについてある程度の自信を持てるからです。しかしながら、通常の場合、彼らには何が既に起こったのかという情報だけが示されます。審査業界は、過去や失敗の分析を重要視しすぎではないでしょうか。過去を調査することの何が問題なのかというと、我々は過去を変えられない、ということなのです。誰も、既に起こったことについては何もできないのです。

しかし、我々は既に実行済みの活動や、審査のための客観的証拠が何も無いような活動についても審査しなければなりませんね?しかし、客観的証拠はその他の情報源からも得ることができるのです。従来の審査結果、鍵となるパフォーマンス指標、ビジネス結果および調査に問題があるというのは、これらはすべて遅きに失したリスク指標だからです。つまり、これらは既に起こってしまった出来事に由来するものなのです。だからといってこれらを投げ捨ててしまう必要はありませんが、未来へ向けて先導してくれるような指標、つまりこれから起こりそうなことについての自信を与えてくれるような方策の導入を検討する必要があるのです。

行動パターンを審査する

では、どのようにすれば良いのでしょうか。従来の審査員であれば、内部監査員も外部審査員も、活動、プロセスまたはシステムのアウトプットや結果を見ます。しかし、すべてのアウトプットが目に見えるわけではありません。例えば、文化やリーダーシップは無形のものです。従って、何が起こっているかについてより良い状況を把握するには、このような活動を審査するということもあり得るのではないでしょうか。

審査員は、何かが起こっている現場に常時立ち会えるわけではありません。従って、より多くの目による援助が必要となります。もっと多くの審査員が必要だと言っているわけではありません。むしろその逆です。人々の行動様式についての証拠を収集するためには、異なった審査手法が必要なのです。被審査者がやっていること、書いていることとは実際には違っていることを見るようにします。

行動パターンは、我々に必要な先行指標です。なぜなら、これは結果が起こる前に発生するものだからです。行動パターンの結果として起こりうる影響を理解し、報告することで、経営層に将来における結果を変える必要があるという警告を与えることができるのです。ここで鍵となるのが、関与している人々全員、または対象となる事象の影響を受ける人々全員から証拠を得ることです。これは360度の審査です。例えば、次のように行います。

  • 購買の審査において、購買部門以外の人々も審査対象に含める。
  • 営業について調査しているならば、オペレーション部門や顧客とも話をする。
  • ISO 9001の審査を行う際は、顧客、供給者およびその他のステークホルダーとも話をする。

このアプローチは、真のリスクを理解するためには不可欠ですが、多くの資源を必要とします。したがって、このようなデータを収集し、分析するためにはその他のIT手法を使います。あなたの審査手法も変える必要があります。なぜなら、行動パターンの審査は我々が従来行ってきたものとは対極をなすものだからです。

報告書に何を書くか

次に、マネジャーたちはこの目標についての戦略的データの潜在的な影響を理解する必要があります。従って、報告を行う際は、データが指し示していることを不適合の観点から報告するのではなく、何が大切なのかを報告してください。例えば、あなたが営業プロセスを審査しているとしたら、経営層何により興味を抱くでしょうか。組織の営業目標や収益目標が達成できないというリスクでしょうか?または様式のいくつかが記入されていないというリスクでしょうか?

両方とも報告する必要がありますが、マネジャーに直接影響があるものならば、より熱心に聞こうとするでしょう。あるいは、ISO 9001の審査においては、どちらが経営層にとってより役立つかを考えます。適合の状態(過去の状況)と、ビジネスパフォーマンスおよび成熟度(将来のリスクの予想図)の要因となるリスクとでは、どちらを知りたいと思うでしょうか。6ヶ月前にある特定の規格条項に適合していなかったこと、資源が効果的に使われていないこと、またはビジネス目標に焦点を当てた指摘のうち、どれが経営層にとって最も興味ある報告事項でしょうか。

最後に、新しい審査手法への取り組みについて、私の最高のヒントをお教えします。アウトプット(生産されるもの)だけでなく、結果(組織にとって意味していること)の要因となる行動パターンに焦点を当てましょう。これにより、人々が記録していることだけでなく、現実世界で実際に起こっていることを審査することができるのです。

過去を変えることはできませんが、過去の指標である審査結果や鍵となるパフォーマンス指標ではなく、リスクの先行指標である行動パターンを用いて未来を変えることはできます。これまで過去について審査してきたことから学びましょう。これを捨て去るのではなく、未来のニーズを満たすための審査技能やアプローチを磨きましょう。

著者について

Ian Rosam氏は、High Performance Organization Group(www.the-hpo.com)のディレクターです。同氏は、審査に関する数多くの著書を出版しています。Eメールアドレスian.rosam@the-hpo.comにて、コンタクト可能です。

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