CSRを統合する:
ステークホルダーとの関わり
ステークホルダーは、組織がCSRを既存のマネジメントシステムに統合する際の原動力となることがしばしばあります。氏は、組織はそれを忘れるべきではないと警告しています。

企業の社会的責任(CSR)をどのように既存のマネジメントシステムに統合すれば良いのか、というのはたびたび聞かれる質問です。Two Tomorrows Groupでは、この質問を次のように言い換えるべきだと考えています:既存のマネジメントシステムをCSR戦略に統合するためにはどのようにすべきか、と。
このアプローチは組織が取り組みを行うための明確な指針を与えます。CSRは非常に広範囲を網羅しているので、どこから着手したらよいのか誰もが悩むところです。良好な労働安全、品質、または環境マネジメントシステムが構築されていれば、組織は既に効果的なスタート台を持っていることになり、CSRの傘の下にある問題について取り組みを行うことになるでしょう。このようなアプローチがCSRのコミットメントを果たすためのエンジンとなるであろうにもかかわらず、なぜさらに多くのことを行わなければならないのでしょうか?なぜなら、このようなアプローチは、CSRへの全体的な戦略的指示を与えることができない、またはステークホルダーが何を考えているか、ステークホルダーとどのように関わっていけば良いのかについては表明していないからなのです。
CSRアプローチにおける戦略的指示は、ほとんどのマネジメントシステムにおいて現在欠落している原則によって導かれるものです。原則の概念なしに、組織が持続的開発に真に注力することは難しいでしょう。原則の概念があれば、例えば多くのISO 14001認証において批判の的の1つとなっている恐るべきチェックリストを多用したアプローチなど、細部にこだわるマネジメントによって全体的な目的を失ったときにも、基準点を見出すことができるようになります。
また、マネジメントシステムには問題を明確にし、運営管理するためのステークホルダー重視のアプローチが欠けています。1990年代中頃、Shell’s Brent Sparがステークホルダーを軽視したために起こった代表的な事件がありました。同社が北海油田の廃棄物およびタンカーの荷積みブイを深海に廃棄したと発表した後、メディアとグリーンピースの大規模なキャンペーンにより、方向転換を余儀なくされました。農営法人であるMonsanto社の社長は、同社のバイオテクノロジー部門の株価が急落するという大惨事を経験した時、「我々は聞くことを忘れていた」と明快に述べました。
どのような支援を利用できるか?
財務以外の問題を運営管理するための様々な規格がありますが、CSRマネジメントのすべての側面をカバーした認証基準となる国際マネジメント規格は未だ存在しません。現在開発中のISO 26000ではCSRを運営するためのガイダンスが提供される予定ですが、いずれにせよ認証基準となるマネジメント規格とはならないでしょう。
広範囲のガイドライン、枠組み、原理があり、すべてが何かしら独自の長所を備えています。最近行われたある調査では、CSRの一部、または複数の側面に関連する400以上の文書が特定されました。その中で一般的に使用され、且つ広範囲の問題をカバーしているのは10の原則を含んでいる国連グローバルコンパクト、CSR報告のための効果的な業界標準であるグローバル・レポーティング・イニシアチブの報告ガイドライン、そしてAA 1000シリーズ規格です。
AA 1000 AS(保証規格)および関連規格であるAA 1000 APS(アカウンタビリティ原則の規格)は一対で完全なCSRの全範囲に商店を当てた唯一の世界的に適用可能な非ガイドライン規格となっています。しかし、これらの規格はマネジメントシステムというよりむしろ保証に限定されたものです。
AA 1000 APSはCSRまたはサステナビリティ報告書において重視しなければならない核となる原則について規定しています。これらの原則は、組織が目的を達成し、サステナビリティについての考え方を規定しているかどうかを測るための方向性を示し、保証すべきことに対する鍵となる基準を提供しています。これらの原則とは以下のようなものです。
- 包括性:組織がサステナビリティへの戦略的対応を開発し、達成するにあたり、ステークホルダーの関与を確実に得るための、効果的なプロセスおよび力量を備えていることを保証する
- 具体性:CSR報告書が組織およびステークホルダーに関連した問題を網羅していることを保証する
- 反応性:組織がいかにステークホルダーのニーズおよび懸念に対応したかが報告書に実証されていることを保証する
2008年のAA 1000 ASの改定は、サステナビリティ報告の保証への大きな一歩となりました。改訂版では、ステークホルダーとの関わりに関する理解と実践の開発が反映されており、より明確に記述されています。このような変更により、サステナビリティおよびCSR報告の保証へのより厳格で、整合性があり、高品質のアプローチが可能となりました。
AA 1000 ASは組織が具体的な問題、品質およびステークホルダーの関与の範囲を明確にし、報告する能力をより重視しています。アカウンタビリティについてコミュニケーションを図る際、企業は魅力ある、興味深い、明確で理解可能な内容作りに取り組む一方で、このような原則を取り扱うスキルも身につけていく必要があるでしょう。
実際、企業について報告する際の課題の中には、企業の日常的業務の一部とも理解されるステークホルダーとの関与の結果をいかに反映するか、またステークホルダーの考え方や期待をいかに意思決定プロセスに組み込み、願わくば「聞くことを忘れていた」と認めることを回避するかといった問題があります。
著者について
Jason Perks氏は組織の持続可能な戦略の開発と実施を支援する専門家の派遣を行っている、Two Tomorrows Groupのディレクターです。
