内部監査の価値を再学習する

Robert Stables氏が、Lloyd’s Register社がいかに内部監査へのアプローチを再設計し、監査の価値を再発見したかを説明しています。

2年前、Lloyd’s Register社は自らの内部監査システムが徐々に手詰まり状態になりつつあることを認識しました。当社のビジネスは急速に変化していますが、内部監査は1990年代初頭にISO 9001認証を取得して以来、ずっと同じやり方を続けていたのです。まさに再考すべき時が来たのでした。

以前のやり方

Lloyd’s Register Groupの業務の大部分は調査、検査、審査を基礎としたものですが、当社そのものも順守しなければならない規制が非常に多い環境に置かれています。つまり、審査対応で死にそうな思いをしているのです!当社の内部監査のシステムは、このような外部の規制への適合を維持するために役立ってはいましたが、我々の望む、効率性や有効性におけるステップアップの達成には役立っていませんでした。

コンプライアンスは重要ですが、我々はそれ以上のものを求めていました。例えば以下のようなことです:

  • 経営層に組織のパフォーマンスの本質についての情報を与える
  • ビジネス改善のためのアイディアを提供する
  • ベストプラクティスを明確にし、報奨する

まず、我々は自分たちが厳しく監査を行っているかどうかを調査しなければなりませんでした。グループの他の部門でも同じような認識を共有しているのかどうかを知る必要がありました。我々は、数年をかけ、内部監査に関与している要員について、監査員、被監査員共に世界的な調査を実施しました。幸運なことに、当社は非常にオープンで正直な社風であるため、同僚たちから率直な意見を聞くことができました。

調査結果は明確でした。すべてが悪いニュースというわけではなく、変化のための数多くのサポートを得ることができました。最も不満が大きかったのは、監査が非常に表面的なものになっているということでした。当社の監査の適用範囲は年々大きくなっており、監査ではそのすべてを網羅していましたが、十分に掘り下げた内容ではありませんでした。

問題は、当社が変わらなければならないということをどのようにして経営層に納得させるかということでした。そんな時、まさにぴったりのタイミングで、当社の内部監査ではプロセスの有効性に関する質問がされていない、という指摘を外部監査員から受けたのです。これで、変化のための大義名分ができました。そして我々は変わったのです。

プロジェクト

まず行ったのは、内部監査のスケジュールを延期することでした。プロジェクト計画書には、変化の必要性と成功のためのビジョンが明確に記述されました。次に、ステークホルダーのマッピング、関係の構築、解決策を見出すためのワークショップ、プロセスモデリング、そして何をおいてもコミュニケーションといったような、変化に対する抵抗を予測し、理解し、克服するための数多くのマネジメントツールが用いられました。

以下のような変化がありました:

プロジェクト前:

プロジェクト後:

監査の回数が多すぎ、掘り下げ方が足りない。

十分に掘り下げ、有効性を確認することに重点を置く。量より質。

監査がビジネスに合致していない。

リスクおよびパフォーマンス評価に基づいて審査計画を立てる。

適用範囲が広すぎる。

監査ごとにテーマを決める。

ルーチン化した、カレンダー通りの監査スケジュール。

不定期に監査を行う。頻度は、戦略上の重要度とパフォーマンスによって決定する。

あまりにも多くの要員が監査実施のための教育訓練を受けている。

最も良い監査員を選定し、全体の人的資源を80%まで削減した。

専門性や経験をもった監査員が不足している。

監査員を、システムの監査および改善のための監査という観点から再教育した。

チェックリストに頼りすぎる。チェック印をつけるだけのアプローチという印象。

チェックリストに頼りすぎない、訓練され、経験のある監査員。

報告書はコンプライアンスおよび特定の場所に限った是正処置の報告に終始している。

積極的な点に的を絞った報告書。根本原因分析により、システムレベルでの改善の機会を明確にする。

 

現在の状況

当社の新たなプロセスへの反応は、驚くべきことに非常に積極的なものでした。チェックリストを用いないことで、監査員と被監査員の関係がよりオープンになり、監査員も被監査員の話を聴くことにより多くの時間を費やすことができるようになりました。深刻な所見を報告した場合でも、良いフィードバックが得られるようになりました。改善の報告と不適合報告の割合は、平均で2.5対1を維持しています。

今や、当社の内部監査はビジネスと連結したものとなっています。監査所見はトップマネジメントの定期見直しの項目に加えられ、監査所見とグループの戦略、指標、リスク、ビジネス改善のための機会とを関連付けることができました。

この取り組みは、現在統合マネジメントシステムのための活動をする中で成果を挙げていますが、これには2つの意味があります。様々なマネジメントシステムの要素(品質、労働安全、環境)をPAS 99の観点で統合すると同時に、マネジメントシステムをビジネスに統合するということです。

当社はこれまで内部監査を滞りなく実施することに注力してきた結果、なぜ自らの所見が面白みに欠けるのかを理解できないでいました。当社の新プロセスには明確な立場で実施され、監査所見はマネジメントツールとして利用されています。他者を変えるためには、時には自らも変わらなければならないのです。

著者について

Robert Stables氏は、Lloyd’s Register社のグループビジネスアシュアランス部門のマネジメントシステムマネジャーです。詳しくは、www.lr.orgにアクセスしてください。

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