氏が、危険な校正状態が明らかになった2件の審査について語ります。
機器や測定装置の校正は、組織が最高のパフォーマンスを示すことができることを確実にするためには非常に重要な項目であるといえます。ISO 9001に下位項目7.6が設定されているのはこのためです。
規格はすべての機器を校正しなければならないとは規定していませんが、そのようなチェックを怠ったり、正しくない方法で実施した場合には、組織は大変な損害を被るかもしれません。校正手順があっても、それが徹底されていない場合には、審査員は受審組織が気づいていないリスクを明らかにすることができます。
見破った!
私が社長にインタビューを行ったある審査で、私は機器の校正の仕組みについて尋ねました。この質問に対して社長は、私をひとりの作業員が片隅で作業を行っている長くて狭い部屋に連れて行きました。
その作業員に自己紹介をした後、私は校正に関する文書かファイルがあるかどうかを尋ねました。彼はコンピュータの前に座ったまま、はるか向こうの部屋の一隅を指差しました。そこで、私はそのファイルを取りに行きました。
ファイルを調べた後、私はいいました。「昨日、ある装置を校正しましたね?」彼はそのとおりだといいました。「でも、その結果がファイルには書かれていませんね?」と私はいいました。「そのとおりです。コンピュータに保存されていいます。」と彼は答えました。その結果を見せて欲しいと頼むと、ようやく結果がスクリーンに映し出されました。そこには3つの参照番号、9.00、7.00、5.00と記録されていました。その前の日と全く同じです!
そのような結果が出るわけがありません。私はついに彼を見破ったのです。私は平静を保ったまま、礼儀正しく、その問題の機器を調べるべきであると提案しました。
私は彼に、目の前で校正をやり直すよう頼みました。彼はしばらく戸惑っていたので、私がやってみても良いかどうか尋ねました。私は恐らく彼がやったような同じ校正結果は出ないであろうことを十分に知りながら、徹底的に彼のイライラを利用することに時間をかけました。
ついに私は、社長の目の前でこの作業員に向き直り、いいました。「あなたはウソをついていますね。昨日はこの機器を校正しなかったでしょう。」彼はまさに、校正結果を「偽造」したのです。彼にとっては不運なことに、私は校正について多くを知っていたのです。彼はウソをついていたことを認め、結果を捏造していたことを告白しました。私は、彼にこれを不適合として挙げるつもりであることを告げました。
その後どうなったかは分かりませんが、恐らく彼は社長からひどくしかられたことでしょう。
新しいハカリ
ある測定器の正確性が非常に重要であるならば、組織はそれが新しいからといって、その正確性を信頼してはいけません。審査中に、社長は私に、校正された新しいハカリを手に入れるのにいかに苦労したかを話しました。
この会社は非常に小さな製品を製造しており、顧客が要求している製品数を数えるには重さを測るしか方法がありません。したがって、ハカリの正確性は極めて重要です。しかし、社長がハカリの校正を依頼すると、いつも校正会社の担当者は、「新しいハカリなので校正の必要はありません。」と答えるのでした。
社長が次回の審査に校正証書が必要なのだというと、担当者はようやく承諾しましたが、「有料になりますよ。」といいました。担当者はその第一級の校正済みハカリをもち帰り、仕様から逸脱していることを発見して申し訳なく思いました。おかしなことに、試験の料金は請求されませんでした。
どちらのケースも、企業はISO 9001取得のための取り組みを行うことによって恩恵を受けています。審査員はどの装置を校正しなければならないかを決めることはできませんが、校正に関わるすべてのプロセスが適切に実施され、適切な記録が存在しているかどうかを調査することは審査員の業務の一部です。効果的な審査であれば、このようなプロセスがうまく機能しておらず、組織がリスクにさらされたままになっている領域を明らかにすることができるはずです。
著者について
Dennis Green博士は国際コンサルタントであり、ISO 9001のプリンシパル審査員でもあります。また、品質マネジメントシステムに関する5冊の著書を執筆しています。そのうち最新の3冊がBSIより発行されています。
