より良いコミュニケーションスキ
ルの開発
内部監査には効果的なコミュニケーションが不可欠です。氏がアドバイスします。

内部監査員は取締役や上級経営層に対し、ガバナンス、リスクマネジメント、管理の有効性についての保証を与えます。この役割を効果的に果たすために、内部監査員には高度なコミュニケーションスキルが必要となり、また、この能力を使って広範囲のステークホルダーとの関係を築かなければなりません。
例えばラインマネージャーにインタビューする際、内部監査員はその技能を駆使して監査に従事し、質問し、聞くことを通じて問題を理解するためにコミュニケーションスキルを利用します。また、監査員は自らの監査や監査意見の質が高く、確かなものであることを受審側に確信させることができなければなりません。これは明確かつ正確な報告を行う能力をもって達成することができます。内部監査員は企業が目標を達成する上で問題となる、リスクの運営管理が不十分なことによって起こる影響をスムーズに伝達する能力を通じて変化や改善を促進することができるのです。
このように、良いコミュニケーションは非常に大切なものです。内部監査員協会(IIA)の「専門的慣行の枠組み(Professional Practices Framework)」には、効果的なコミュニケーションについて数多くの論及が記載されています。例えば、本文書の「ベストプラクティスの国際基準」のスタンダード2420には、内部監査のコミュニケーションは「正確、客観的、明確、簡潔、建設的、完全そして時宜を得た」ものであるのが望ましいとされています。また、本協会はコミュニケーションの基準及び質についてのガイダンスも発行しています。
要求されるコミュニケーションスキルとは
コミュニケーションはIIAの専門ジャーナルや会員調査で良く取り上げられる項目でもあります。IIAによるこのような調査で明らかになったのは、上位から順に「内部監査には関係をうまく築けるスタッフが必要(81%)」、「口頭でのコミュニケーションや発表力の高さ(76%)」、「審査報告書をうまく書ける(62%)」でした。
監査におけるコミュニケーション特有の目標が何であれ、考えてみるべき重要な要素がいくつかあります。このような要素について考え、コミュニケーション活動を計画することで、内部監査チームに対してステークホルダーが抱く印象に大きな影響を与えることができ、その結果、組織内での内部監査の機能が効果的になります。
コミュニケーションを計画するための実践的なステップ
効果的なコミュニケーションは目的を持って、また望ましい応答を心に描きながら計画し、構築しなければなりません。コミュニケーションは双方向のプロセスなので、メッセージを繰り返したり、フィードバックの機会もあります。そうすることによって、メッセージを理解し、意味を確認することができるのです。
非常に高いコミュニケーションスキルが必要なことが最も良く分かる2つの主要な領域について考えてみましょう。
- 一つ目は関係の構築です。内部監査員が開発しなければならない主要な対人コミュニケーションスキルは、注意深く聞き、共感を示し、受審側の問題、懸念、意見に対する理解を具体的に示す際の対処能力です。これにより、評価や改善プロセスに重要な受審側との対人関係や協力を得ることができるのです。
- 二つ目は内部監査員には必須の正式な報告を行う能力です。事象を順を追うように書かれた報告書が内部監査報告書の主流になっていますが、直接のプレゼンテーションのようなタイプの報告も増えてきています。このようなタイプの報告方法は、内部監査所見を報告する際の影響や有効性を改善し、より幅広いステークホルダーから望ましい反応を得ることができます。
内部監査コミュニケーションを計画するためのチェックリスト
効果的な報告は、それがラインマネージャーに対するものであっても取締役に対するものであっても、コミュニケーション計画における次のようなステップを反映したものであることが望ましいでしょう。
1. 目的は?
- 何を達成しようとしているのか?
- どのような反応(答え)を得る必要があるのか?
2. 鍵となるメッセージ
- どの情報を伝えなければならないのか?どのようにしてその情報を優先させるべきか?
3. 聞き手‐誰とコミュニケーションを図っているのか?
- 誰と話をするのか予め分かっているか?何を知る必要があるか?
- メッセージの伝達においてどのような障害/反論が考えられるか(物理的障壁、認知的障壁の両方が考えられる)?
- コミニュニケーションを効果的にするために形式的なものがどれくらいのレベルで必要なのか。
4. チャンネル/メディア
- 私が伝達しなければならない情報、相手の情報ニーズ、私のフィードバックニーズを考慮したときに、私のメッセージを伝達する最も良い方法は何か?
5. 評価及びフィードバック
- どのようにしてコミュニケーションが効果的であることを知るか?
「つまり」テスト
もっと実践的なアドバイスで締めくくりましょう。最近のフォーラムで、内部監査の責任者たちが内部監査での報告事項を伝達する際のヒント及び技術について議論しました。ある責任者は、それが報告書であれ口頭での報告であれ、内部監査員は報告に盛り込みたいメッセージのうち上位5つに焦点を絞るべきだとコメントしました。監査メンバーからどのような問題が提起された場合でも、彼女が使うお決まりの言い回しは「つまりそれで?」というフレーズです。どのようなポイントも、ビジネス目標を主要なリスクと結びつける必要があります。彼女は結論として、「監査所見やアクションは受審側の目標やリスクと明確に関連したものでなければなりません。」と述べました。監査のアウトプットは受審側の目には「報告」ではなく「有用な変化」と映るのが望ましいでしょう。内部監査報告書を効果的なコミュニケーションの訓練と考えることにより、その変化の達成を容易にすることができるでしょう。
著者について
Chris Baker 氏は 内部監査員協会(英国及びアイルランド)のテクニカルマネージャーです。(www.iia.org.uk)
