顧客苦情の運営管理
が、効果的な顧客苦情の運営管理に関するガイダンスを提供しています。

効果的な顧客苦情の運営管理は、QMSのアウトプットが「一貫して適合性のある製品」を提供するという目標を達成していない場合にフィードバックを提供するために欠かせない部分です。
ISO 9001規格には顧客苦情への対処について規定している独立した条項はありませんが、規格にはこれに関連した様々な条項があり、そのような条項をもって組織の苦情への対応プロセスを評価できることを認識することが重要です。
顧客苦情の効果的な運営管理を直接的または間接的に要求しているISO 9001規格の条項(「顧客からのフィードバック」の要求事項の一部となっていることが多い)として、以下を挙げます。
- 5.2項-トップマネジメントが「顧客要求事項が決定され、満たされていること」を確実にすることを要求している
- 5.6項-マネジメントレビューのインプットに「顧客からのフィードバック」(必然的に顧客苦情が含まれる)を含んでいることを要求している
- 7.2.3項-組織が「…苦情を含む顧客からのフィードバックに関して顧客とのコミュニケーションを図るための効果的な方法を明確にし、実施する」ことを要求している
- 8.2.1項-組織が「顧客要求事項を満たしているかどうかに関して顧客がどのように受け止めているかについての情報を監視する」ことを要求している。これは、組織が顧客からのフィードバックをただ待っているだけ、また滅多に来ることのない「正式な苦情」(「顧客」はわざわざ苦情など言いたくないし、苦情を言うことで時間を無駄にしていると感じるから)にのみ対処するのではなく、積極的に求めていくことを要求している
- 8.4項-組織が顧客満足に関するデータを分析することを要求している‐これは単に苦情に対応するよりも努力を要するものであることが望ましい
- 8.5.2項-不適合(顧客からの苦情を含む)の内容確認をし、続いてこれらの不適合の原因を決定し、修正を実施し、有効性を検証するなどの活動を行うための要求事項を規定した手順書を要求している
審査を通じて、審査員は顧客が満足していない兆候を探すことが望ましいでしょう。またそのような兆候は、組織が顧客苦情に対処するプロセスの一部として取り扱われているのが望ましいと言えます。そのような情報の良い情報源として、以下のようなものがあります。
- 顧客からの返品
- 保証請求
- 請求書の改訂
- 組織から顧客宛ての負担額通知書
- メディア記事
- 顧客のウェブサイト
- (例えばサービス組織における)顧客による直接的な検証、または顧客とのコミュニケーション
また、審査員はISO 10002:2004 品質マネジメント - 顧客満足 - 組織における苦情対応の指針という規格が存在することも認識する必要があり、クライアントにはこのガイダンスを苦情対応プロセスの開発に利用するよう推奨するのが望ましいでしょう。
ISO10002の序文には次のように述べられています:「この国際規格は、電子商取引を含む、あらゆる種類の商業又は非商業活動のための効果的、かつ、効率的な苦情対応プロセスの設計及び実施について、指針を提供するものである」
ISO 10002で述べられている苦情対応プロセスは品質マネジメントシステムの要素の一つとして利用することができます。
苦情対応プロセスを通じて得られた情報は、製品及びプロセスの改善につながり、適切に苦情対応した場合には、組織の規模、所在地及び活動分野に関係なく、組織の評価が高まることになります。効果的、かつ、効率的な苦情対応プロセスは、製品を供給する組織及び製品を受け取る人々双方のニーズを反映しているのです。
ISO 10002の序文では、「この国際規格で述べられているプロセスを実施することにより、以下が可能になる」と記述されています。
- 公開された応答のよい苦情対応プロセスに苦情申出者がアクセスできる
- 苦情申出者及び組織が満足できる、矛盾の無い、系統的で応答のよい方法で苦情を解決する能力を高める
- 苦情の傾向を明らかにし、その原因を除去し、組織の能力を高めるとともに組織の運営を改善する
- 顧客を重視した苦情解決の方法を組織が確立及び顧客と共に苦情解決に取り組む中で要員の技術向上を促進する
- 苦情対応プロセス、苦情対応結果、並びに実行されたプロセスの改善に関する継続的なレビュー及び分析のための基本を提供する
審査員はISO 10002及びその指針に関する知識を有していること、またその知識を審査中に利用することが非常に重要です。しかし、ISO10002は指針を提供するのみで要求事項を規定したものではありません。つまり、審査員は規格の推奨事項に照らして不適合を挙げることはできないということです。
苦情対応プロセスの審査
審査員は組織が効果的な文書化された苦情マネジメントのプロセスを確立していることを検証できるのが望ましいでしょう。ISO 10002では、苦情対応プロセスのパフォーマンスを調査する際に、審査員は次のような事項を評価することを推奨しています。
- 組織の方針及び目標と苦情対応プロセスとの適合性
- 既存の苦情対応プロセスが目標を達成する能力
- 苦情対応プロセスの長所及び短所
- 苦情対応プロセスの内部監査結果
- 苦情対応プロセスにおける改善の機会とその結果
マネジメントレビューのアウトプットには以下の事項が含まれていることが望ましいでしょう。
- 苦情処理プロセスの有効性及び効率性の改善に関連する決定及び措置
- 製品改善の決定に関する提案事項
- 改善の機会を明確にするために利用される資源に関して特定されたニーズ(例:教育訓練プログラム)に関わる措置
著者について
ISO 9001 Auditing Practices Group は、QMSの専門家、審査員、実践者からなる非公式なグループで、ISO専門委員会(Technical Committee)であるTC176品質管理と品質保証(ISO/TC176)及びIAFから生まれました。このグループは、ガイダンスや、QMS審査に関する説明を含むプレゼンテーションを数多く作成してきました。これらは、ISO 9001の審査に必須のプロセスを基礎としたアプローチを反映したものです。


