質問にお答えする前に、まず、 CPD の意図された目的を再確認する必要があります。 CPD 要求事項のアウトプットは、審査員の力量向上です。ある人たちが異議を唱えているような、関連性のないもう一つの要求事項などではありません。
CPD の導入以来、旧審査規格、 1011 が ISO 19011 と ISO 9001:2000 に代替されるのを見てきました。 CPD に関する要求事項が全くなかったとすれば、私たちは、こうした出来事以前に登録していた審査員達の多くが新しい規格に照らした審査を有効に実施できるという自信がありません。 CPD のシステムは誰もが容易くクリアできるものでなければ、欠陥のないシステムでもありませんが、私たちの見方では、 CPD は審査力量の向上のために重要で非常に価値のあるメカニズムであると考えています。
ほとんどの審査員が異議なく受け入れています。イギリスやアメリカ、オーストラリアの成熟した市場出身の審査員で、長年審査を実施してきた審査員の一部に、さらなる学習の要求事項は負担、悪く言えば自分たちに対する侮辱であると考えた方もおりました。しかしながら、大部分の審査員は、 CPD の要求事項を受け入れることは必要で有益であるだけでなく、専門職業の中では一般的に受容されているという私たちの主張を受け入れてくれています。
現在も依然として2つの目立った課題があります。一つ目の課題は、審査員の力量を向上させる活動は思うよりも幅広く、審査員にはそのことから益を獲得してもらうよう審査員を促すことです。多岐に及ぶ活動に参加することで力量を高めることができ、それが 有効なCPDとなるのです。二つ目は、必然的に付随して生じる、 CPD の測定と検証のための官僚的な事務処理を簡素化することです。私たちは、審査員には前者の課題から最大限に益を受けて欲しいと望む一方、後者の事項を緩和していきたいと思っております。
例えば、 IRCA では、書物は非常に価値の高い情報と指導の源として受け入れていますが、この書物を用いた勉強が有効な CPD 活動であることを認知しなければなりません。でも、どのようにして、この本を読んだことを検証するのでしょうか?非常に極端な方法をとれば、検証不可能な活動は認めない方法をとることもできます。全く逆の見方をすると、疑うことはやめて、こういったたぐいの「ソフトな」主張は全て認めるということもできます。
私たちは相当長い時間をかけて、これらの全ての側面を CPD 要求事項の仕様を作成するプロセスとして討議しました。そして、私たちの方法として、両者の中間をとることにしました。 IRCA が CPD の概念から最大限の益を得るためには、 CPD に関する主張を評価する方法に関して柔軟になり、広い心をもってのぞむべきであることを認識しています。
初めに、主な優先事項は審査員がより力量を高めることであることを認めました。これは、二番目の優先事項である CPD の検証に比べはるかに重要です。概して、検証プロセスはシンプルであるべきで、審査員(加えて評価者)にとって理解しやすく、容易に基準を満たせるものであるべきものです。
私たちが必要としたのは、構造と適切な指針でした。その構造は審査員に可能な限り広範囲に及ぶ活動を考慮に入れるように促すようでなければ成りませんでした。しかし、審査員が「近道」したくなる衝動を抑えるような保護手段を設ける必要もありました。そして指針に関しては、 IRCA が望ましいと考えるものと、実際に受け入れるものに関して定めました。
私たちには CPD の概念を審査員に明確にするためにすべきことがまだまだあります。私たちが審査員にぜひとも取り組んで欲しいのは、各自の力量管理です。個々の技能が関わる審査を実施する際のコンセプトを理解し、自分がもつ力量とのギャップを特定し、そのギャップに策を講じるのです。審査員によって必要とするものは異なるので、全ての審査員に当てはまるアプローチはありません。私たちは、各審査員に独断的な CPD 時間を課している点がCPD要求事項の欠点となっています。なぜなら、ある審査員は10時間以下のCPDが必要であるであろうし、別の審査員は50時間以上を必要としているかもしれないからです。私たちは、審査員が自己の力量とトレーニングに対してより大きな責任を担って欲しいと考えております。
実際初めは、毎年15時間でした。この時間は、 IQA の CPD ポイント要求事項を基にして私たちから提案した数値でした。何とかして IATCA がこの数字を認めてくれましたが、思い出すと当時、 CPD を全く必要としないとする意見と、75時間以上必要とするという意見のなかで非常に熱の入った討論が繰り広げられました。15時間というのは妥協して何とか認めれる数字だったのです。
IRCA の CPD 要求事項の発展の中で見直され、毎年15時間の要求事項が3年間で45時間に変更されました。この変更が加えられたのは、3年間の登録期間中に学習活動に従事した時間を毎年同じでなければいけないとすることに妥当な理由はないという考えに基づいています。そして、大部分の審査員登録機関が IRCA の後に続き、今では3年間で45時間が標準となっています。