前のページに戻る   このページを印刷

日本における ISO 14001 の適用

過去5年間に、日本が ISO14001 に対して示してきた国際的なコミットメントは相当なもので、1998年以来の新規認証取得件数が約 12,000 件にも上りました。 Brian Pearson 博士は、日本の企業のISO14001の実施方法に改善がある、学ぶべき教訓があると考えます。

ISO 14001 にはシステム構築のあり方を定める3つの主要な原則があります:

  • 汚染の予防 (加えて資源の有効利用)
  • 組織が合意する法的およびその他の要求事項の順守
  • 継続的改善

これらの原則が実証可能であることに加え、適切な体制、トレーニング、コミュニケーションや文書が必要であり、これが行動の継続性を確実にします。汚染を予防するには、環境側面の特定とその著しさを評価することが必要であり、このこと自身が法律上の要求事項を考慮に入れて実施される必要があります。

環境側面の特定の際には、少なくとも会社の活動、製品やサービスのライフサイクルを考慮にいれることが必要です。これにより、潜在的間接影響や組織が影響を与えることしか出来ない要素、また有益な要素を認識することができます。負の環境側面を特定する際には、汚染や資源利用の可能性に焦点を当てなければなりません。著しさを評価することで、特定された側面のうちどれが優先的に措置や管理を必要とするかを決定することができます。全ての著しい側面は、以下の一つまたは複数の方法より扱われる必要があります:

  • 運用管理
  • 目標の設定
  • 監視
  • 緊急事態への対応

より大きな視野で

ISO 14001 では、組織はビジネスの全分野に関する詳細を提供する必要はなく、ある活動が組織の著しい側面に貢献しないとの決定を下すこともできると明確にうたっています。

しかしながら、企業の中には、初めから全工程の細かな詳細まで特定することに焦点を置き、全てのインプットとアウトプットを記載するために大量の紙を使用されています。そして、インプット、アウトプットのそれぞれが詳細な評価を受けることとなり、ほとんどが著しくないものと判定されます。最終的には、著しい側面が廃棄物や溶剤の排出となることがよくあります。初めに細かな詳細を収集したら、最終的に問題は汎用的な側面にまとめられます。時間を節約するためにこのことをプロセスの最初から行うことができます。

ポイントをはずしている

インプットやアウトプットに焦点を置くことで、日本企業の中には、そのためにより大きくて重要な問題、たとえば事故や緊急事態などの問題を見逃してしまっているところがあります。業務の環境リスク分析が不十分であり、そのため管理に対する考慮も不足しているケースがしばしばあります。

事故発生の際に環境に与える影響は、廃棄物より劇的に破壊的です。例えば、オイルや化学物資の大量保存の際に、補助的コンテナがないものを良く目にします。タンクの周りに補助的なコンテナがあるという場合でも、コンテナ排水パイプが取り付けられていて、バルブも開きっぱなしのことも頻繁にあります。ですから、もしオイルや化学物質が洩れてしまったら、コンテナでせき止められずに、いとも簡単に外の環境に排出されてしまいます。

また、組織の活動の影響が、側面の特定作業で見落とされることがしばしばあります。たとえば、研究開発や設計活動は将来的なプロセスや製品の環境影響に大きくかかわります。環境の問題が設計段階から考慮されなければ後に重大な結果をこうむることになります。焦点が、たとえば紙や電気の使用量の削減に費やされていると、この重要で有益なアウトプットを見落とすことが起こりうるのです。

間接的側面

間接的な側面とは、企業の活動と結びついている供給者、顧客や請負業者と関係のある環境側面です。これらは企業が直接的な管理はしないけれども、いくらかの影響を与えると考えられるものです。組織の手順には間接影響の側面を考慮するとうたっていても、実際には、これらの間接的な側面やプラスの影響側面は無視されていたり、また誤解されていることがしばしばあります。

製造企業の場合の典型的な例として、外部輸送請負業者の使用、または顧客が使用した際の商品の影響があります。サービス企業の場合、基本的に顧客の行動に影響する間接的側面を多く持っている傾向があります。多くの場合、その中で完全に見過ごされている有益な側面があります。本来は、組織の側面リストの多くの部分を占めるようでなくてはなりません。

側面の著しさ

ほとんどの日本企業は、側面の著しさの評価に類似の手法を用いています。まず、影響を特定し、数値上の得点方式システムを用いて著しさを評価します。起こる可能性、検出の可能性、法規制、数量、結果や利害関係者の懸念などを含む基準に照らして得点方式で計算します。全体として、これは効果的な方法であり、受け入れ可能な結果を得ることができます。しかし、この方法で行うと汚染側面に重きを置いてしまうという問題があります。

このシステムでは、資源利用が高得点になることはめったにありません。世界の他の地域では、異なるタイプの側面には異なる基準を採用しています。例えば、可能性とその結果を含むリスク決定手法は汚染側面の評価に使用され、一方、資源不足とその結果は資源使用評価のための基準として用いられます。

目標とターゲット

目標が設定されるのは、方針へのコミットメントを満たす必要がある場合、あるいは、側面の管理の改善や、廃棄物削減に関する改善の余地がある場合です。その結果、世界中の企業が、20%から30%の廃棄物とエネルギー使用の削減によって、大幅に財政削減できています。

日本の運用方法に違いはないのですが、日本の会社の多くは、変更の実行計画を実施しなくても、エネルギーや廃棄物を削減できると考えています。それらの企業は、エネルギー削減のターゲットは設定しますが、結果のモニタリングも要求されていない場合には、電気を消したり設備の電源を切るといった方法でターゲットを達成しようとする傾向があります。

実行計画は通常3年のプログラムで設定します。そのためプログラム設定後

追加の活動が加えられることはめったにありません。ありません。結果の伝達が十分早く、制御可能な分野につながっている場合は、モニタリングだけでも改善を生み出すと知られています。しかし、改善のレベルが5%より大きくなることはまれです。 結果の伝達が迅速に行われ、それが管理可能な領域と結びついている場合、モニタリングだけでも改善を行うことができると知られています。しかしながら、しかしながら、改善のレベルはめったに5パーセントを超えることはありません。

大幅な削減を得るには、もっと根本的な変更が必要です。これを行うために以下のことが必要です:

  • エネルギーがどこで使用されているか(または廃棄物がだされているか)を明確にする
  • 最大限の効果を得るための努力に優先順位をつける。あるいは代替機器や異なる業務方法を用いることを考慮する。
  • ターゲットがいつ達成されたかを示す指標を設ける。

将来

日本での前例のない ISO 14001 認証取得の増加には、日本企業だけではなく、国際社会にとても学ぶべき教訓が多くあります。それ以上に大切なのは、 ISO 14001 の潜在能力が十分に認知されることです。

規格の本当の目的を理解して取り入れなければ、システムが必要な環境改善をもたらすことはないでしょう。認証機関にはこの真の目的が ISO 14001 の運用に反映されているかを見る責任があります。このシステムは環境的な利益をもたらすだけではなく、システムを運用する組織に現実的な経済利益をもたらしていなければなりません。

ISO 14001 を最大限に活用する方法

  • より大きな視野で考える - 会社のインプットとアウトプットだけに焦点を置いていてはいけません。
  • 明確で野心的な目標とターゲットを掲げ、生産コストを削減し利益を得る。
  • 会社のISO 14001 文書で会社と環境への利益を明確に記すことを徹底する。
  • 定期的に防災訓練を実施し、事故や緊急事態への対応が迅速かつ効果的であることを確実にする。
  • 事故の状況に関係するすべての側面が把握されるように徹底的なリスク分析を行う。
  • システムの中で有益な側面と間接的な側面が考慮されることを確実にする。
  • システムが組織の中のすべての要員に所有されることを確実にする。
  • 改善できることを特定し必要な変更を実施できることを確実にする。

覚えておくこと:ISO 14001は文書ではなく活動を引き起こすものでなければなりません。システムが会社にとって機能し、社風にあったものにしてください。

筆者について

ブライアン氏は、リーズ大学( Leeds University )で、有機化学の理学士号と博士号を取得。同氏は、1990年に Aspects International 社を共同創設し、主要ゴミ最小化プロジェクトの主任コンサルタントの一人として活躍。同氏は、最初の環境審査員トレーニングコースを開発し、 EMS トレーニングを 1994 年に日本で初めて実施した。同氏は、 Aspects Certification Services の共同創立者でもあり、同社は後に、ムーディ・インターナショナル・サーティフィケーション株式会社 、Moody International Certification (MIC) に吸収合併された。 MIC の国際企業マネージャーを務めており、世界中で認証アセスメントを実施してきた。日本にはトレーニングや認証活動を含めて30回ほど訪れている。


©2005 IRCA. All rights reserved www.irca.org 連絡先 略語

表紙  
特集 arrow
ニュース  
フィードバック