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内部コミュニケーションの審査

組織の QMS に生じる問題の多くはコミュニケーション不足が原因であることが多いため、 ISO 9001 審査実施グループ による今月のガイダンスは、内部コミュニケーション審査についてです。

効果的な内部コミュニケーションのプロセスは、どの組織の QMS をも成功に導くものです。反対に、組織の QMS について生じる問題の多くはコミュニケーション不足から来ているといえます。

要件およびガイダンス

内部コミュニケーションについて、 ISO 9001 の項目 5.5.3 では次のように述べています。「トップマネージメントは、組織内に適切なコミュニケーション・プロセスが確立されており、 QMS の有効性について確実にコミュニケーションが行われるようにしなければならない」。

ISO 9001 には、明確な「はい/いいえ」によるアプローチでは十分ではない要件が数多くあり、組織内の内部コミュニケーション・プロセスの効果的実施の評価もそのうちのひとつです。

ISO 9001 にはこの他にも数多くの要件があり、その中で、トップマネージメントは以下について組織内の人たちとコミュニケーションをとる責任があることを述べています。

  • 品質に関する方針と目的
  • 法令の要件を順守することと同様、顧客の要望をも満たすことの重要性
  • 組織内に顧客の要望を徹底するように促進すること
  • 担当者の責任の明確化と、その活動の関連性と重要性の認識。また、どのようにして品質に関する目標の達成に貢献するか。
  • 製品に関する要件が変わるときには、関連担当者は変更となった要件を認識すること。

ISO 9004 の項目 5.5.3 のガイダンスでは次のように述べています。「組織の管理者は品質に関する方針、要件、目的および達成のために効果的で有効なプロセスを決定し実行しなければならない。そのような情報を提供することにより、組織のパフォーマンスの改善を助けることが可能となり、品質に関する目標の達成において担当者と直接関わることになる。管理者は、担当者と関わる手段として、組織の担当者からのフィードバックとコミュニケーションを得るよう積極的に図る必要がある」。 ISO 9004 のこのガイダンスは審査できる内容のものではないものの、内部コミュニケーションの妥当性について洞察を加えているものであることに留意することは重要です。

有効性の検証

ISO 9001 の項目 5.5.3 には検証を必要津する 2 つの主要な要素があります。

a) 組織内に、以下のものを含む適切なコミュニケーション・プロセスが確立されていること

  • コミュニケーションを行う担当者の特定
  • 伝達すべき情報
  • それを達成する手段
  • その効果をモニターするために選択した方法
  • コミュニケーションがなされたことを検証するために必要な文書化と記録化。
  • コミュニケーション・プロセスは継続的な改善の対象であること

b) コミュニケーションが行われており、 QMS の有効性と関連しているということ。

効果的なコミュニケーション・プロセスの証拠を探す場合に、審査員は以下のいくつか、あるいは全部を、組織にとって適切なものとして観察する必要があります。

  • コミュニケーションを行い、受け、それに答える組織内のトップマネージメント、あらゆるレベルの従業員、契約者
  • 伝達された情報は、コミュニケーションの目的にとって明確で、適切かつ正確なものであるか。
  • コミュニケーションの手段は、伝達され、提供された情報に基づいて行動を起こす担当者の読み書きその他の能力に適したものとなっているか。
  • 伝達された情報を確認するために行うモニタリングが実施されており、望ましい結果が得られているか。
  • コミュニケーションがなされたことを示すために必要な手順と記録は効果的なもので、継続的な改善の対象となっているか。

文書化された手順については特別な要件がありませんが、組織の規模、複雑さ、文化によっては、その効果的な実施を確実なものとするためにそのような要件を持つことは必要だと思われます。

審査員のアプローチ

審査員は、組織内で情報を伝達する以下の手段のいくつかあるいは全部について観察を行います。

  • 作業エリアで管理者が行うコミュニケーション
  • 業績の確認といった、チームによるブリーフィングその他の会議
  • 掲示板
  • 電子メール、インターネット、ウェブサイト
  • 会社が発行するニューズレターや社内報
  • スタッフ会議
  • 個々の通知や書簡

審査員は、組織の内部コミュニケーション・プロセスを以下によって判断することができます。

  • 従業員にインタビューを行い、方針、目的、マネージメントシステム・パフォーマンスについてどの程度認識しているか確認する。
  • 不適合の原因、および組織が修正のためにどのような行動プロセスをとったか評価する。修正行動の必要性は、内部コミュニケーション・プロセスの不足と関連したものであるかどうか。
  • 示された情報の妥当性と日付の意味を評価する。伝達された情報が期限切れの場合は価値がない。
  • 1 対 1 のインタビューや検討、従業員調査といった、組織内のフィードバックの仕組みについて調べる。
  • 組織内のトレーニングおよび任命のプログラムを評価する。これらのプログラムには、品質管理システムがどのように実施されるかについての情報が含まれていなければならない 。
  • 内部コミュニケーションの項目を含む会議の議事録を調べる。

コンプライアンスの評価

審査員が、ひとつの審査セッションあるいは「時間帯」の中で組織内のコミュニケーション・プロセスの有効性を判定することができるかどうかは疑問です。審査全体を通したさらに総体的なアプローチが必要ですが、審査計画において別項目として含める必要はありません。審査チームはこの問題について協力的な検討を行うことを計画する必要があります。同様に、組織の内部コミュニケーション・プロセスの有効性を組織のひとつのソースからだけで決定できるかどうかについても疑問があります。

ISO 9001 の要件に対するコンプラアンスについては、審査終了時、審査のための証拠を評価し、他のチームメンバーとの同意に達した後でのみ決定されなければなりません。

筆者について

この記事は、 ISO 9001 審査実施グループのウェブサイト上の「不適合の文書化」を編集しなおしたもので、 ISO と IAF のご好意を得て掲載するものです。これらの文書は現在のベストプラクティスについて作成されており、そのため IAF のガイダンスや ISO TC176 の解釈として正式な確認を得たものはありません。審査実施グループについてさらに知りたい場合は、 こちらをクリックしてください。

 

ISO 9001 審査実施グループは、 QMS の専門家、審査員、熟練家からなる非公式なグループで、 ISO のテクニカルコミッティー、 176 品質管理と品質保証 (ISO/TC 176) と IAF から生まれました。このグループは、ガイダンスや、 QMS 審査に関する説明を含むプレゼンテーションを数多く作成してきました。これらは、 ISO 9001 の要件審査に必須のプロセスに基づくアプローチを反映したものです。

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