多くの認証機関は、今では廃止された基準に特定されていた、審査員にとっては古い資格認定のやり方から、今では ISO 9000 および ISO 14000 ファミリーにおけるユニークな審査基準となっている、 ISO 19011 「品質および/あるいは EMS システム審査のガイドライン」でとられている能力アプローチへの移行はむずかしいと考えるようになっています。
この問題のために、認定機関が、その管理者が能力アプローチを理解していない認証機関を審査した場合に非適合性が生じることになりました。その結果、 ISO と国際認定機関フォーラム( IAF) はタスクフォースを作り、 ISO/IEC DIS 17021 の「適合性評価―マネージメントシステムの審査と認証を行う機関の要件」の草案におけるより明確な審査員の能力の要件について書くことになりました。一方、以下のような直接的なアプローチも何らかの役に立つと考えられます。
認証/登録機関( CRB) が応募した機関の認証のために実施した契約内容の見直しを行います。これにより、とりわけ、審査される組織のプロフィール、とくに、特別な IAF 領域コードのために考慮されるべき認証活動の提案範囲に関するプロフィールがつくられることになるはずです。それから、対応する IAF 領域コードと合致する審査員の CRB プールから審査員/審査チームをさがすことができるでしょう。
二つのプロフェールは合致するはずです。そうでない場合は、追加の専門家による外部審査リソースの獲得、あるいはギャップを埋めるために技術的専門家を利用する必要性について考慮する必要があります。
この段階では、1人の個人の審査員、またはおそらく数人の審査員からなる審査チームに焦点があてられます。 ISO 19011 の第 7 節の表 1 「認証あるいは同様の審査を行う審査員の教育、職務経験、審査員のトレーニングと審査経験」にすぐに飛びつくような間違いを犯してはなりません。表 1 は、能力のレベルをリストアップしたものではなく、資格認定のための粗いろ過機としてこれまで有益だったレベルと、間違いなく審査員の能力開発に有益な働きをすると思われるレベルについてリストアップしたものです。
ISO 19011 は、能力を個人の属性と知識および技術を示すものとして規定しています。 ISO19011 の第 7 節では、 QMS 審査員に関して 4 つの一般分野の知識と技能、 2 つの特別な知識と技能群とともに、 9 つの個人属性が特定されています。 EMS 審査員に関しては、 3 つの特別な項目、知識、技能が示されています。
CRB は、文書化されたプロセスと特定の審査状況の各々に対して割り振られた量的質的基準内で、これらの各々を特定化しておくべきだったと期待するのは当然のことです。記載された基準は、満足すべき審査員のパフォーマンスを確実なものとし、十分かつ一貫した審査を行い、追加の価値を提供するために必要な最小限のものである必要があります。
個々の審査員の記録は、 9 つの個人の属性を扱い、評価したことを示すものでなければなりません。評価の範囲は、単純な観察から精神測定といったより複雑な方法にいたるまであります。何らかの不足が認められる場合には、さらに発展させることで修正するか、あるいは安全に権限委譲するか、妥協した審査が行われることのない状況に審査員を割り振ることで管理することができるのが重要です。
CRB は、一般的審査状況に対する以下の基準のための量的質的基準を割り振り、その結果の個々の適合性とパフォーマンスが示され、試験され、受け入れられるような量的質的基準を割り振らなくてはなりません。
これらの要因についての知識は、正式な審査員トレーニングコースである CRB の特定のトレーニングが成功裏に終了したこと、ロールプレイ、すなわち指導と監督のもとに実施された審査から発展してきた技能から得られたものです。プロセス・アプローチを用いた適合性審査を実施する論証的能力は、おそらく最も重要なものです。
これはおそらく最も重要で議論の余地があるものです。研究によると、多くの審査員は実際のところ基準を理解しておらず、それを正確に適用してはいないことが確認されており、しばしばその結果、不適切な所見がもたらされました。 CRB は知識のレベルは適切に設定されたものであることを示すことができなくてはならないと期待されています。
これは、正式な審査員トレーニングコースである CRB の特定のトレーニングが成功裏に終了したこと、 ロールプレイ、すなわち指導と監督のもとに実施された審査から発展してきた技能から得られたものです。
これは、たとえば、大規模の他施設の構造とオペレーションについて十分な知識がなく、必要な技能の持ち合わせのない審査員を任命することで生じる「災難」を避けることです。逆の例として、大規模の組織を扱う能力を持ってはいるものの、従業員はたくさんの帽子をかぶらなくてはならないけれども利害の衝突は少ないような中小の企業を扱う場合にそれをうまく調整することができない審査員がいます。
これらの状況を効果的に処理する知識と技能は、トレーニング、作業場での経験、トレーニングと監督下での審査の経験を通して、これらの機関と関連を持つことで得ることができます。審査員によっては、知識と技能のすべてを獲得することができない人もいると思われ、 CRB はそれによって活動を制限する割り振りのプロセスについての予防措置を組み込んでおかなくてはなりません。
一般的知識と技能のところでリストにしましたが、これら基準は必然的に QMS に特異的な状況となる傾向があり、審査員は「引き下がる」ことが適切な時期に気をつけておく必要があります。
品質に関連する方法と技能。 QMS の状況で効果的に審査するために、 CRB は必要なレベルを明確に設定することが重要です。これらは現代の品質管理ツールおよびそのアプリケーションと関連し、継続的に専門家としての成長を図ることで維持し、更新することが期待されます。
この分野はおそらく最も難しい知識と技能の組み合わせであり、 CRB にとって最も問題となるものです。ここで期待されるのは、審査員は分野に特有の専門用語、プロセスおよびサービスを含む製品の技術的特徴、そして非常にしばしば、その分野に独特のプロセスと実践といったものに出会うであろうということを CRB は認識していることなのです。
CRB は、ある特定分野の製品と重要な関連を持つものについて、何らかのリスク分析を実施しておく必要があります。ハイリスクの臨界の状況下では、審査員は常にその分野に特化した、現在その作業を行っている技術的専門家と一緒に行動するよう、決定することもありえます。反対に、リスクの低い製品の場合は、限られた能力の審査員であっても一人で審査を行うことが可能ですが、簡単なメモの助けは必要でしょう。
受け入れることができないのは、審査に必要なプロセスと製品に関する知識と技能が最初の認証と再評価のための審査の場合よりも幾分少なくてよいと誤って考えられてきたことです。どのようなアプローチがとられようと、必要な審査チームのプロフィールを決める際に用いる特定の製品知識と技能について、 CRB はそれに合致するパラメータを決めておくことが重要です。
多くの審査員は、満足すべきレベルの知識を獲得し、また満足すべきレベルの技能を育てることができ、それによって、時に中心としている産業あるいは商業分野とはまったく異なる IAF 領域コードにおいて効果的な審査を行えるというのは十分に確立した事実です。これは無視されたり、あるいは額面どおりに受け取られるべきものではありません。
考慮する必要があるのは、その根拠と正当化は CRB によって十分に提供されているということです。これは、おそらく ISO 19011 の第 7 節表 1 のような基準が有益で、もし得られるものなら、必要な審査員の能力へと導いてくれるようなレベルを CRB が設定する場合に助けとなってくれる時だと思われます。しかし、ここでもすべての状況に適しているようなたったひとつの表 1 というものはないのだということを強調しておかなければなりません。基準についているメモでは、レベルは特定の審査の範囲と性格によって、高いか低いかのどちらかだと明確に記されています。
経験から示されるのは、時代遅れの現場の経験はしばしば経験がまったくない場合より危険だということです。コンサルタントとしての活動から製品とプロセスの知識を得たとの主張は、注意深く検討する必要があります。とくに、その個人がそもそもコンサルタント業を引き受ける能力を持っていたという十分な証拠がなく、その個人の資格や能力を誤解してコンサルタント業のプロジェクトを受け入れているような場合はそうです。
技術的専門家のサポートを受けて、審査員として他の分野の仕事をするのはよくあることで、製品及びプロセスに関する知識と技能を延ばすための容認できる方法です。ここでも、 CRB は審査に特有の最低限の知識と技能のレベルを持っており、示し、試験されていることを明らかにできることが期待されています。
これは現在では考慮されなくてはならないことになっていますが、審査員の認証機関の信頼性についても考慮する必要があります。多国間協約とリンクしており、定期的な同業者間評価の対象となっている国際要因認証協会( IPC) のような協会員や、 ISO/IEC 17024 「適合性評価―人の認証を行う機関についての一般的要件」の認証を審査員に与えるための IAF 認定機関によって認定を受けた機関は、自信を持つ必要があります。そうであっても、審査員の認証は製品およびプロセスに関する知識や技能に焦点を当てるものであってはならず、それゆえに審査員の能力についての責任を CRB から免除するものではありません。
これは、 CRB が QMS 審査チームリーダーによって必要とされる能力を開発するために必要なレベルを設定し、これを試験し明らかにするために ISO 19011 に特定されている方法を用いることに関する規定における審査員の一般的知識と技能の場合と同じです。
ISO 19011 の第 7 節図5では、評価プロセスの段階と、その後に必用な 4 つの主要段階へと進むことについての関係について示しています。これや、あるいは同様のモデルは、 CRB によって文書化され、実施されていなければなりません。さまざまな評価法の使用に関するガイダンスは、 ISO 19011 においても特定されており、これらやあるいはこれらから選ばれたものも用いなければなりません。立会い審査は強力な手法ですが、まさにその本質的なものから、人工的で押し付けがましい、実際に行われる審査の結果に影響を与える可能性があるものとなっています。代わりの手法としては、「審査後の検討」がありますが、これは望ましくない反作用を持たない、同様に効果のある手法であることがわかっています。
この記事を作成する際には、秘密保持のためと、個々の CRB によって作られたユニークな手法を曝露することのないように注意が払われています。引用されたものは、世界中で使用されているのが見られているすぐれたアプローチのいくつかであって、厳密に IAF の認定機関のメンバーに受け入れられていると考えられているものに限られています。
筆者について
Brian Henry は独立した認定機関の主任審査員で、 IAF の会員であるいくつかの国際的認定機関を代表する契約を結んでいます。
同氏は、 ISO 19011 のための ISO/TC 176 と ISO/TC 207 共同作業グループの審査に関する英国の主専門家で、この基準やその前の基準の作成にも参加しました。さらに情報が必要な場合は、メールアドレスbhenry@btconnect.com
までご連絡下さい。
この記事はISO Management System 7-8月号に掲載されました。詳細はこちらをご覧ください。http://www.iso.org/iso/en/iso9000-14000/ims/ims.html