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一からの品質活動

パキスタンのあるタイル製造工場を訪れた時、品質コンサルタントのAzfar A Khan氏は、品質について、やらなければならないことが山積していると感じました。この記事では、マネジメントチームの品質活動の立ち上げをどのように支援したか、そして、いかに当たり前のことが見落とされがちであるかということを、Khan氏が報告します。

製造工場の所有者、管理責任者またはCEO なら、基準以下のやり方を目にしたことが、多々あるのではないでしょうか。私は、最近、パキスタンでも有数の工業地帯にあるセラミックタイル製造工場を訪問しました。工場は総従業員数400人で、タイルの他、衛生用品も製造しており、1970年から事業を継続しています。そして、輸出業への進出を計画中でした。

私はISO 9000 と ISO 17025のコンサルタントとして、マネジメントと、その大半が文字の読み書きができないという工場の従業員に、品質に関する講義をするため招かれました。私の任務は、製造設備のギャップ分析を通して、まず、この工場の実情を確認することでした。

ギャップ分析をしていた私は、製造過程で、一定温度で焼くためにタイルをオーブンに運ぶコンベヤベルトから、3つに1つが床に落ちていることに気が付きました。こうして工場は、製品の33%を失っていたのです。このことを、自身がエンジニアでもある製造部長に話すと、彼は、 「心配はいりません。落としたタイルは原材料として工程の最初に戻し、もう一度タイルをつくりますから。」と言いました。

製造には多くの段階がある

もう一度タイルをつくればよいという論理が私には理解できませんでした。私は、タイルをオーブンで焼くというタイル製造の最後の工程の前に、幾つの段階を経ているかご存知ですか、と彼に聞きました。そして、最後の工程の前には約14の段階(下の表1を参照)があることを指摘しました。仕事の9割がたが終了し、タイルが完成間近というところで、3つに1つがコンベヤベルトから落ちて無駄になっているのです 。

表 1. タイルの製造工程

• タイル製造に使用する原材料の特定
• 必要な原材料の量の見積もり
• サプライヤー(国内及び国外)の特定
• サプライヤーへのアプローチ
• サプライヤー選定
• 信用状開設
• 入札の全手順実施
• カラチ港への船による原材料調達
• 1700キロ離れた工場までの原材料の  道路輸送
• 納入された原材料の数量・品質のチェ ックと格納
• 製造工程実施
• タイル製作
• 乾燥
• タイルをベルトに載せ、焼成のために オーブンを通す工程

当のエンジニアに全段階を説明すると、彼は、問題の根本原因を突き止めることに賛成しました。この時点で彼は、多大な資源、そして、言うまでもなく労力、時間、経費を浪費しないために、1つのタイルもベルトから落としてはならないという確信を持つに至りました。

30分もしないうちに、彼とスタッフは解決策を見出しました。ベルトが緩かったというのです。ベルトの張りを強めたら、この問題は解消されました。この工場はISO 9000認証を取得しておらず、マネジメントも従業員もこの品質マネジメント規格の基本的要求事項を心得ていませんでした。問題が起きても、何もしないで放置するということが、ここでは当たり前になっていたのです。問題に対する恒久的な解決を見出すためには欠かせない、根本原因を突き止めるという努力がされていませんでした。このように、是正処置と予防処置を取り、それを適切な方法で記録することが、大変重要だったのです。

プロセスに取り掛かる

工場内に適切な倉庫設備がないことがまもなく明らかになりました。つまり、製造されたタイルは露天の 囲いの中に、雨風や日に晒された常態で保管されていました。また、この囲いには、何がどの囲いの中に保存されているかという表示がありませんでした 。

これに加え、工場の手順は文書化されておらず、従業員は、手順書ではなく、記憶に頼って作業をしていました。これが、従業員によるミスの多さにつながっていました。この点は、どの過程でミスが起きるかを見極める内部監査審査システムがあれば、簡単に是正することができます。この工場では残念ながら内部品質監査審査を長い間行っていませんでした。すなわち、重大なことに、マネジメントも従業員も自分たちの欠点に気付いていなかったのです。内部監査審査プログラムは、どのような組織であれ、その品質システム全体が機能するための潤滑剤の役割を果たします。

安全性の問題

手順上の問題に加え、この工場は安全衛生面での意識も欠いていました。以下の問題がありました。

  • 消火機器―ありましたが、肝心の化学物質の期限が大分前に切れており、使えないものでした。また、従業員の火災訓練を実施したことがありませんでした。
  • 不測の事態が起きたときには無くてはならない電話が、工場には一台もありませんでした。
  • 工場の建屋のすぐ隣に、POL(石油、油脂、潤滑油)、塗料などの可燃物の小さな貯蔵庫がありました。このような貯蔵庫は、工場の建屋から最低100ヤードは離さなければなりません。

製造プロセス全体が製造部長の意向に従って運営されていました。製造部長には、工場の本部から生産目標などは課されていませんでした。文書による記録は一切なく、必要な生産量を把握している人は一人もおらず、誰も一日の生産指示書を出す権限を持たず、実際に必要な生産量を知らず、必要な生産量が生産されたかも知らないという状態でした。この工場はISO 9001:2000 の要求事項を満たすために、実に様々な準備を必要としていました。

ギャップに注意して

工場のギャップ分析が終了したところで、マネジメントに不足部分を全て報告しました。これを受けて、この企業は、ISO 9001の要求事項を満たすための準備期間を要請し、準備に約6ヶ月を費やしました。ISOとその利点に関する講義を何度か行って、工場の従業員の志気を鼓舞しました。内部監査審査を定期的に行って、工場の弱点を見極め、是正処置も取られました。工場は最終審査の準備が整い、審査に一回で合格しました。

著者について

Azfar Khan空軍准将(退役)は、テクニカルマネジメントの分野で31年の経験を持つコンサルタントであり、IRCA登録審査員でもあります。数多くの企業にコンサルティングと研究設備のギャップ分析を提供しています。著者本人へのお問い合わせは、下記へご連絡ください。azfar44@hotmail.com

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