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新しい種類の審査

広報面の不成功とマネジメントの支持不足に悩む監査・審査は、その本当の価値を付加できているのでしょうか。 Nick Thorpe 氏 が、数人の専門家と話し、「画期的」監査・審査こそが、今後取るべき道なのかどうかを検証します。

多くの組織が成熟した品質マネジメントシステムを持っていますが、そうした組織は同時に、従来の監査・審査のアプローチは、内部監査であれ外部審査であれ、事業によって得られる便益という点においては、往年の勢いを失いつつあることに気づいています。2003年に インフォ の第1版 (http://www.irca.org/inform/issue1/timohanlon.htm)でご報告した通り、ハムズホールにあるBMW向けエンジン工場では、この問題を認識し、画期的監査・審査と銘打った真に価値を付加する監査・審査の新たな形を開発する作業に着手しました。この新戦略は、監査・審査に要する全体的な時間と労力を節約する一方、改善の機会と利害関係者の満足度という面で、監査・審査の成果を向上することを目的とするものでした。

この新たなアプローチの利点は、ハムズホールではっきりと感じられました。必要な監査・審査の回数が減り、複数のサイトをより少数の認証でカバーでき、利害関係者からは前向きな反応を得られました。

しかし、画期的監査・審査は、世界の監査・審査業界の常識となったのでしょうか、それとも、まだまだ道半ばなのでしょうか。 

マネジメントの支持

画期的監査・審査が障壁につまずいているとすれば、それは、しばしば、新規格への適合と、社会的責任目標への事業戦略の整合には多額の投資が投入されるのに比べて、上手に実施される監査・審査の真価をマネジメントに認識してもらうための投資が不足しているからです。米国のペリージョンソンレジストラーで認定ディレクターを務める Larry Belusz氏は、最終損益と「監査・審査が私たちに何をしてくれるのか」に注目するあまり、マネジメントが組織内の形に表れない改善をあまり高く評価しない傾向がしばしば見られるとし、「マネジメントは、QMSの監査・審査を必要悪とみなし、 できるだけ少ない投資と関与で済ませようとするのです。」と言います。

戦略的審査

品質や環境に関して高い意識を持つ組織が、企業の社会的責任と事業目標の整合を取ることに苦心している今日、監査・審査のプロセスが、規格の「各要素」を互いの関連性を無視して審査するのではなく、事業の戦略計画を審査するような、本当にダイナミックで、全方面を包括する性質のものであることが肝要です。Belusz氏が言っているように、「監査・審査員の力量は組織の成長と歩みを合わせて進化しなければならないのです。」

悪評?

米国のキャベンディッシュスコット社のColin Gray氏は、パートタイムの審査員と、財政状況がより厳しいISO認証機関の数が増加する中、よく訓練されておらず経験と理解の不十分な審査員が、有効性のある審査を行えず、審査のプロセスをだめにしていると懸念する声があることを指摘します。IRCAのディレクターであるSimon Feary氏が、 インフォの第8版 で述べたように、 「基盤の許容限度を需要が追い越して、アウトプットの質をコントロールできなくなってしまったのです。自由市場、プロバイダーの供給過剰、認証取得の任意的性格は、短期の利益ばかりを追求する企業が出現し、ナイーブな市場や共謀的あるいは無関心な政府が機会を提供して利用されるという状況を許してしまいました。」

一歩先へ

審査プロセス全体をやりかえた方が良いのかという点では、審査業界関係者の間でも意見が分かれます。審査員自身に問題があるという人もいます。こういう人たちは、システムは強力なのだから、プロセスを変えてというより、審査員がもっとうまく「売る」ことをすればよいというのです。

日本のトレーニング機関、株式会社テクノファ代表取締役平林良人氏は、審査員は、呼び名を変えるのではなく、質問の内容を変えるべきだと考えています。氏は、「審査員は、不適合事項を発見したら、必ず、利害関係者に『このことをご存知ですか』と聞けばよいのです。」と言います。そうすれば、不適合事項に注目してもらうことができ、是正の責任を明確に課することができるというのです。Larry Belusz氏は、「監査・審査」という言葉の定義に内包される問題として、この言葉は、「欠点を見つける」という意味を連想しがちであるといいます。氏は、上級スタッフが、「審査を受けさせる」のではなく「マネジメントシステムの有効性をマネジメントに報告する」ことができるように、監査・審査プロセスの呼び名を変更することを推奨しています。

監査・審査が組織のあらゆるレベルに真の価値を付加するためには、マネージャーから管理部スタッフまで、このプロセスを支持し、そうすることによって、事業の前進を助けるのみならず、彼ら自身を助けるのだということを認識しなければなりません。Colin Gray氏は、「マネジメントへの投資、マネジメントへの投資、マネジメントへの投資」とお経のように唱えるようにしています。氏は、マネージャーレベルが監査・審査を理解し、第三者に資格認定をされた審査員と、熟考した審査プロセス費用を使用することを理解して初めて、高いレベルの便益が高く評価される環境が整うと信じています。監査・審査から指摘された事項の是正処置とオフサイトでの見直しも、マネジメントを「リアルタイムの」課題に注目させる一助となり、このプロセスの背後にあるビジネスにとっての真価を感じさせる一助ともなるのです。

未来は明るいのでしょうか。この業界は、成長し自己変革して、益々ダイナミックになるビジネスの世界に応えて行けるのでしょうか。これまでは、審査員は「警察官」のように見られ、恐れられ、あるいは迎合される存在でした。平林氏は、必要な変化を実現し、審査業界が「審査員と利害関係者の調査を通じて立て直した新たなQMS審査方法論を創造する」ように導くには、革命的な変革が必要だと、個人的には考えています。

PERAのトレーナー、Steve Meakin氏が結論付けているように、完全なオーバーホールが必要であるかどうかに関わらず、審査員は、事業を改善する方法について企業にアドバイスし、押し付けられた管理職ではなくビジネスを牽引する主要人物として、コンサルタントのように扱われる存在になるべき時期が来ているようです。

画期的審査のためのヒント

現実的には、審査員がより効果的な審査を行えるようにするには、企業の側は何をしたらよいのでしょうか。以下の方法が考えられます。

• 全プロセスを簡略化する。Belusz 氏は、あらゆる審査の15パーセントが、記録を「探すこと」や文書の確証を取ることに費やされていると信じています。企業側が、審査計画書に沿って該当するプロセスの記録を集めておけば、時間の節約になるのみならず、将来の審査のために、ベストプラクティスを浸透させることにもなります。

• 従業員に審査プロセスの研修をし、全社的な審査にまつわるプロセスやシステムを知ってもらう。

• 審査を、業務を妨害するもののように疑い深い目で見るのではなく、事業を活性化する資産と見るように、従業員を指導する。

• 信頼性のある電子文書管理システムを導入し、文章による手順書ではなく、フローチャートや図式の使用を奨励する。

• 内部監査と内部監査員の質を特定、向上、維持する。Belusz氏は「内部監査のプロセスが期待よりも低いレベルであるときには、審査員は、基本的なシステムの要求事項を検証し続けなければならないですが、マネジメントシステムが内部監査という一領域における有効性を示すことができれば、審査員は、改善の機会と戦略的な事業課題に精力を傾けることができるのです」と指摘しています。

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