新シリーズ パート2: 附属書SLとマネジメントの意図

監査員/審査員のための力量のフレームワークのパート2では、Richard Green がマネジメントの意図が目的に合致していることをどのように確認するか、そしてなぜこれが附属書SL に準拠するマネジメントシステムにとって重要なのかを説明します。

ステークホルダーの真の代弁者

組織がその目的について明確であることをもって、その組織のガバナンスが確立しているとは言えません。よくやってはいても、そもそもやっていることが、間違っている組織があり、それは意識せずに自分たちのステークホルダーが本当に欲していることは何かを理解していなかったり、あるいは自分たちが考慮すべき相手を意図的に無視しているために起こります。

運がよければ、影響は商売上のことに留まりますが、それでも提供する製品やサービスが市場のニーズに合致していなければ、収益に悪影響が出ます。最悪の場合、ビジネスとそのビジネスを運営する組織に対する世評が大きく傷つけられたり、法的制裁を受けたることもあります。

監査員/審査員として私たちは、トップマネジメントが、組織のステークホルダーの期待を達成することにフォーカスしているかを確認するという、欠くことのできない役割を演じるのです。附属書SL に基づくマネジメントシステムを運用する組織であれば辿るべき明確な道筋がありますが、外部からの認証を持っていない状況であっても、同様の論理的なアプローチを適用することはできます。

組織の状況

「組織の状況」の一環として、附属書SL の箇条4.2 は組織が「密接に関連する利害関係者 (ステークホルダー) のニーズ及び期待」を理解することを要求しています。監査員/審査員として、私たちはニーズと期待が理解され、積極的に監視され、レビューされていることを示す客観的証拠を探します。組織のステークホルダーとステークホルダーの要求事項は常に変わっていくものですから、これは大切な点です。

箇条4の「組織の状況」は箇条5.2の「方針」に盛り込まれます。ですから、監査員/審査員は方針を確認することになります。方針は、組織の目的にとって適切であり、目標設定の枠組みを示さなければなりません。また、組織が、ステークホルダーのコミュニティからの要求事項も含むすべての適用可能な要求事項を満たすことを表明します。

次の段階として、組織は、リスクと機会への対応を計画する際に該当するステークホルダーの要求事項を確実に考慮しなければなりません。要求事項を満たすことを阻むものは何か、どうしたらより簡単に達成することができるかを検討します。組織は、この段階を踏んだことをどのように実証するでしょうか?

そこで、箇条6.2を確認し、組織が目標を設定するとき、そして目標達成のための計画を作成するときに、上記の該当する要求事項を考慮したかどうかを判断します。

最後に、ステークホルダーのニーズに合致するアウトプットを提供する現場で、組織がこれらの計画を実行に移す際に箇条8が実施されていることを確認します。

これらの段階を踏めば、監査/審査の最後に、マネジメントの意図が目的に合致していることを確信することができるでしょう。トップマネジメントがステークホルダーの要求事項を満たし、マネジメントの意図が目的に合致しているかどうかが重要なのです。

計画を実行に移す

ところが、実際にはこれほど単純ではありません。異なるステークホルダーグループから矛盾する要求事項が出されることは珍しくありません。また、取締役会はコスト削減を要求するのに対し、従業員は便益が強化されることを求めます。地域の住民は環境影響を最小化することを求めるでしょうし、それに対してトップマネジメントは365日、24時間の操業を求めます。

監査/審査の観点から、私たちはこのことを確認する必要があります。しかしながら、密接に関連する利害関係者の利害を決定するのは、私たち監査員/審査員ではなく、組織です。何としてでも組織の決定に異を唱えるということはできますが、組織の選択が監査/審査基準に照らして明確な違反となっている場合を除いて、不適合を発行しようとしてはいけません。

 附属書SL に基づく規格は、マネジメントシステムの導入と維持を要求しています。これは、マネジメントの意図は、マネジメントシステムの結果を受け取る人たちのニーズを考慮して決定され、かつ、そのニーズに合致していなければならないということを意味します。監査員/審査員として、私たちはよいガバナンスを示す証拠を見つけようとします。これがない場合、マネジメントの意図とステークホルダーの要求事項のあいだのリンクがどこで途切れてしまっていたのかを、監査/審査の過程で見つける必要があります。

マネジメントの意図を確認するあなたのチェックリストは目的に合致していますか

  1. ステークホルダーのニーズ及び期待が特定され、監視され、レビューされていることを示す客観的証拠を確認する
  2. 方針が、組織の目的と合致し、組織の目標に対する枠組みを与えているかを確認する
  3. リスクと機会の分析をレビューする。ステークホルダーの要求事項の達成を阻むものは何であり、どうしたらより簡単に要求事項を達成することができるのか? これを裏付ける客観的証拠はあるか?
  4. 目標を設定し、目標達成への計画を作成する際に、組織がステークホルダーの要求事項を考慮している証拠はあるか?
  5. 計画を実施する際に、ステークホルダーのニーズが考慮されているかをチェックする。

Richard Green、 CQP (Chartered Quality Professional) はISO 17021-3、ISO 19011及びISO 45001 に関する委員会にCQI を代表して参加しています。

監査員/審査員のための力量のフレームワーク

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