不適合の見直しと完了

審査実施グループが、不適合を見直し、完了する際に知っておく必要があることについてお教えします。
組織に提供できる価値は、不適合の「完了」プロセスと同様に、不適合に組織がどのように対応したかを審査員がレビューする「見直し」プロセスによって、向上することもあれば低下することもあります。審査員は、組織が不適合の原因に十分対処し、是正処置を完了することを確実にすることで価値を付加することができるのです。また、これにより、組織が顧客満足を達成する可能性が高まることになるでしょう。

不適合への対応活動の見直し

マネジメントシステム審査員は、不適合に対する組織の対応を見直し、とられた処置の有効性を検証する責任を担っています。製品の種類や不適合の状況にもよりますが、不適合の対応は3段階に分けて行われるべきです(表1参照)。

表1:不適合への対応

修正

または

原因分析
原因分析 修正
是正処置 是正処置
例えば、ソフトウェアの場合、原因が明らかになるまでは修正を実施することは推奨できません。また、「ブレーキパッド磨耗」の警告ランプが車の中で点灯した場合、センサーが壊れているかを検査する前に、直ちにブレーキパッドを交換するという修正を施した場合は、問題を解決できなくなってしまう可能性があります。

簡単なブレーンストーミングからより複雑な問題解決テクニックまで、不適合の原因を決定する際に組織が利用できる方法やツールはたくさんあります。是正処置の程度と有効性は真の原因を特定できるかどうかによって決まります。場合によっては、この是正処置が、組織が他の領域で類似の不適合を特定し、最小限に抑える助けとなるでしょう。

組織が不適合に対して取った対応を見直す際に、その対応を容認する前に、審査員は3つの段階すべてに関する文書及び証拠が組織から提供されおり、適切であることを確認すべきです。見直しのプロセスで検証すべき重要な要素には次のようなものがあります。

  • 処置についての記述‐明確で簡潔か?
  • 処置の説明‐全体が詳細に説明され、正確か?
  • 取られた処置が完了していることを示すため、過去形で記述されているか?
  • 是正処置の完了日(将来処置が取られる予定であることを示唆するような日付は良くない)
  • 是正処置が記述通りに十分かつ効果的に実施されたという主張を裏付ける証拠

加えて、審査員は、取った是正処置が原因でさらなる問題が生じないことを組織が確実にしていることを検証すべきでしょう。修正、是正処置の両方を実施することが常に適切であるとは限らないこと、また修正、是正処置のどちらか一つを実施すれば十分である場合もあることに注意すべきです。これは、例えば、その不適合が完全に事故的に起こったもので、再発の可能性が非常に低い場合に適用されるでしょう。

効果的な是正処置を実施し、原因を除去することにより、不適合の再発は防げるはずです。しかし、是正処置と予防処置とを混同すべきではありません。予防処置はすでに検出された不適合に適用するものではないことに注意しましょう。但し、不適合の原因分析により、組織の他の領域において、より広い規模で潜在的な不適合が特定され、これが予防処置へのインプットとなることがあるかもしれません。

不適合の完了

不適合は、元来、独立した性質を持つ傾向があるため、これを完了するために様々な方法や活動を用いることになるでしょう。例えば、オンサイトでの直接調査が必要になる場合もあるでしょうし、直接出向くことなく完了とできる場合もあるでしょう。

不適合の完了について合意することを決定する前に、審査員は組織が是正処置を通じてどのように原因を分析し、何を達成したかという観点から組織が実施したことを見直すことが望ましいでしょう。審査員は、記述されている是正処置が十分に実施され、不適合の再発を防止する効果があることを実証するために、(裏付け文書も含めて)証拠が揃っていることを確実にする必要があります。状況が満足な状態になって初めて、その不適合は完了となります。

著者について
ISO 9001 審査実施グループは、 QMSの専門家、審査員、熟練家からなる非公式なグループで、ISO専門委員会(Technical Committee)であるTC176 品 質管理と品質保証(ISO/TC 176)及び  International Accreditation Forumから生まれました。このグループは、ガイダ ンスや、QMS審査に関する説明を含むプレゼンテーションを数多く作成してきました。これらは、ISO 9001の審査に必須のプロセスを基礎としたアプローチを反映したものです。


 

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