よりよい審査レポートを書く

あなたの審査報告書は正しい情報を伝えていますか?審査実施グループが報告書に盛り込むべき項目について説明します。
審査報告書は組織がISO 9001要求事項を満たしていることを実証するための重要なツールです。ISO/IEC 17021には審査報告にあたっての最小限の要求事項について概略を述べているだけで、ISO 9001報告書の特定のフォーマットについては全く規定していません。審査報告書のフォーマット及び内容は受審側の規模や性質、審査の目的や適用範囲によっても様々なものとなる可能性があります。これから紹介する項目は、全てのタイプの審査に適用することができますが、項目の順序は状況によって変えることもできます。

導入

審査報告書の導入部分はISO/IEC 17021の必須要求事項及びISO 19011に規定されている指針を参照したものであることが望ましいでしょう。

要約

このセクションでは、品質マネジメントシステムの長所と短所、継続的改善及びその他の主要なパフォーマンス指標など、全体的な有効性の概要を示すことに注力することが望まれます。

不適合や不適合になる可能性のある「懸念領域」についての所見の概要を述べると共に、審査において特に重要視した部分についてもコメントするのが望ましいでしょう。審査対象規格への適合性についての結論及びその他の推奨事項についても記載すべきです。

適宜、受審組織の対応、協力、オープンな姿勢に感謝の意を示す言葉を盛り込むと良いでしょう。

経営者のコミットメント、目的、目標

このセクションでは、組織が方針及び目的を決定し、設定し、周知するプロセスについてのコメントを示します。主要なパフォーマンス目的の監視、測定、報告、レビューについてもここで述べるべきです。前回の審査以降に組織が目的達成において進歩したことについても適切なコメントを記述しましょう。

前回審査での指摘事項に対する活動

前回明らかになった品質に関する問題の根本原因を特定する組織の能力、このような状況を修正するために取られた処置、またその再発を予防するための処置についてのコメントを述べることが望まれます。加えて、是正処置及び予防処置についての組織の正式なプロセスが十分であるかどうかについてのコメントも記述すべきでしょう。

内部監査、マネジメントレビュー及び継続的改善プロセス

品質の達成及び維持に関連する、リスクに関する内部監査、マネジメントレビュー及び継続的改善のプロセスが時宜を得て有効性があるかについてコメントを述べることが望まれます。

また、以下のような組織の進歩についても言及します。

  • 継続的改善に向けて計画された活動
  • 顧客満足及び品質に関する組織のパフォーマンスに対する顧客満足度についての情報の監視

重大な変更による影響

このセクションはどのタイプの審査にも適用可能ですが、初回審査よりもサーベイランスや更新審査に適用される場合が多いでしょう。記録すべき内容は、例えば、組織のオーナーシップ、主要な要員、認証範囲などです。

システム要求事項及び相互関係、機能、プロセス、審査対象領域

このセクションのタイトルは、例えば営業、倉庫、教育訓練、力量、顧客の意識など、特定の機能、領域またはプロセスを明確に示すために状況に合わせて適宜考慮すべきでしょう。

このセクションでは以下の事項を明記することが望まれます。

  • 審査基準として使用した規格
  • 審査対象となった機能、領域、プロセスの状況
  • 審査中に使用した主要な文書や記録

このセクションは、規格の条項や要求事項に対する組織のマネジメントシステムの適合性についてのコメントを記述するために用いることができます。同様に、組織の品質マネジメントシステムの異なる側面が作用し(一緒にまたは別々に)、意図する能力にプラスの影響、マイナスの影響を与えている場合についても、このセクションでそういった事象に対する意見を述べることができます。

そのような意見では、規格の要求事項と方針、パフォーマンス目標、適用される法規制要求事項、責任、要員の力量、運用、手順、パフォーマンスデータ、内部監査の所見及び結論といった要素を連携させることについての有効性に焦点を当てるべきです。

品質マネジメントシステムは通常プロセス単位で審査するため、恐らくプロセスについてのコメントが報告書の大半を占めるでしょう。報告書には審査対象となった各プロセスに適用される要求事項を示し、アウトプットの整合性や改善を助ける、または阻害するプロセス要因に焦点を当てることが望まれます。

これですべてではありません

他にも、APGは現場審査、組織の法規制要求事項及びその他の要求事項に対する順守状況、システムの継続的有効性についてのコメントを記述することが望ましいとしています。また、報告書の最後には免責事項として、審査は入手可能な情報をサンプリングして行ったため、審査証拠には審査の指摘事項に反映されるかもしれない不確実性要素が必然的に存在する場合があることを明記しなければなりません。

また、審査結果としての推薦事項については、認証の授与や維持に関する最終決定がなされる前に、独立したレビューを受けることを報告書内で通知するべきでしょう。

この論考は、ISO 9001 審査実施グループ(APG)のウェブサイトに掲載されている同じ表題の論考 ‘Writing audit reports’を編集したもので、ISOおよびIAFのご好意により転載しています。これらの論考集は現在のベストプラクティスに基づいて作成されており、IAFのガイダンスやISO TC176の解釈として正式な確認を得たものではありません。審査実施グループについてのより詳細な情報を知りたい方は、リンクをクリックしてください。

ISO 9001審査実施グループは、QMSの専門家、審査員、熟練家からなる非公式なグループで、ISO専門委員会(Technical Committee)であるTC176 品質管理と品質保証(ISO/TC 176)から生まれました。このグループは、ガイダンスや、QMS審査に関する説明を含むプレゼンテーションを数多く作成してきました。これらは、ISO 9001の審査に必須のプロセスを基礎としたアプローチを反映したものです。

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