審査の文化的側面

審査を実施する際、あなたは組織の文化を考慮していますか?審査実施グループが、文化的側面を敏感に感じ取るための有用なガイドを作成しています
審査員は、自らの審査員としてのキャリアを積み重ねていくなかで、独特の「社風」や、様々な倫理的、社会的、経済的、政治的、または宗教的文化を持つ組織を審査しなければならないことがあるでしょう。審査員は、起こりうる衝突を避けるため、このような文化に関わる問題に対し敏感でなければなりません。しかし同時に、審査を実施し、審査の目標を達成するためには、公平な立場を貫かなければならないのです。

また、審査員は、特に言語が問題となる場合、理解しやすいことば遣いで話す必要があります。審査員は受審側の言語能力に合わせる責任があること、そして受審側の言語能力が欠如していたとしても、それを審査結果に反映するべきでないことを忘れてはなりません。また、多国籍企業のような組織では、同じ組織内であっても異なる文化や言語が存在する可能性があります。

計画段階

審査において起こりうる文化的側面を考慮するのに最適なタイミングは、審査計画の段階です。審査チームを選定する際、性別、言語能力、社会的技能、潜在的な文化的摩擦などが、審査員を選ぶ際の条件として挙げられるでしょう。可能場合はいつでも、地元の言語と習慣を熟知している審査員を使用するのが望ましいと言えます。それが不可能な場合には、審査実施前に専門的な知識を持った指導役を探すのが適切でしょう。

審査スケジュールを作成する際は、可能な場合は常に、受審組織の通常の業務時間はもちろん、伝統、休日、食事時間、礼拝の回数などを尊重しなければなりません。他国で審査を行っている場合は、独自の翻訳の必要性がないかどうかを考慮し、そのための時間を確保するようにします。

計画段階では、文化的に敏感になるべき領域について説明する時間を設けることを忘れてはなりません。重要な文化的側面がある場合は、ステージ1審査の際に評価すべきです。また、ステージ2審査とその後の審査の前に修正しておくことが適切な場合もあるかもしれません。

企業文化を考慮する

組織にはそれぞれ特徴があり、「標準的な」社風というものはありません。組織の文化はその組織が存在する外的文化からは独立していることもあるかもしれません。審査時に考慮する必要のある側面がたくさんあります。その中の一部を以下にご紹介します。

フォーマルさの程度/ドレスコード

服装がカジュアルすぎると、審査員は心理的に劣等感を感じてしまうかもしれません。この問題に対処するために、ほとんどの認証機関がドレスコード(服装に関する規定)を設けています。しかし、同じく重要なのは、これはよく見落とされがちなのですが、審査員が「正式すぎる服装を選んでしまう」可能性があることです。これには不快であるとか、受審側が審査員に対してオープンになれず、それが審査結果に反映してしまうといったリスクがあります。

審査の準備にあたって覚えておくと便利なのが、「受審組織の取締役と同じような服装」を心がけることです。熱帯の国で農業の審査をする場合と、寒い気候の国の経済中心都市で、投資銀行の審査をする場合では、ドレスコードは大きく異なるはずです。審査前の訪問、ステージ1審査および一般常識がどのような服装が適切かを判断する上で役に立つでしょう。

組織内の階層

フォーマルであることが必ずしも良いというわけではありませんし、逆にフォーマルでないことが必ずしも悪いというわけではないということを認識しておくと良いでしょう。業績の良い企業の中には、特に、階層間の相互関係やコミュニケーションが比較的自由に行われているような、マネジメントのスタイルが非常にカジュアルな組織もあります。

審査員は組織内の階層にかかわる組織の慣習に配慮する必要がありますが、そのために業務を行っている要員と直接コミュニケーションを取れないようではいけません。責任者を尊重し、彼らと直接話す時間を別に設けることも必要ですが、「責任者とだけ話す」ようなことは絶対に避けるべきです。

悪い審査所見に対するアプローチ

審査中に発見されたすべての不適合は、適切に文書化し、組織に伝達されなければなりません。不適合報告書に非常に敏感で、反発を示すような文化を持つ組織もありますし、場合によっては経営者が「責任者」を責め立てようとすることもあるかもしれません。これは審査の雰囲気に緊張を生み出すものですが、審査員はこのような場合でも不適合を挙げることを思いとどまってはいけません。しかし、審査の目的はシステムを検証することであり、個人を攻撃するものではない、ということを改めて強調することが適切な対処法だと言えます。

審査に影響を与え得る、様々な文化的側面を考慮すれば、審査は敏感、かつ公平に行うことができます。審査の計画段階で、組織に特有の文化を考慮することで、あらゆる誤解や衝突の可能性を軽減することができるでしょう。

この論考は、ISO 9001 審査実施グループ(APG)のウェブサイトに掲載されている同じ表題の論考 'Guidance on cultural aspects of auditing' を編集したもので、ISOおよびIAFのご好意により転載しています。これらの論考集は現在のベストプラクティスに基づいて作成されており、IAFのガイダンスやISO TC176の解釈として正式な確認を得たものではありません。審査実施グループについてのより詳細な情報を知りたい方は、リンクをクリックしてください。

著者について
ISO 9001審査実施グループは、QMSの専門家、審査員、熟練家からなる非公式なグループで、ISO専門委員会(Technical Committee)であるTC176 品質管理と品質保証(ISO/TC 176) から生まれました。このグループは、ガイダンスや、QMS審査に関する説明を含むプレゼンテーションを数多く作成してきました。これらは、ISO 9001の審査に必須のプロセスを基礎としたアプローチを反映したものです。

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