組織のガバナンスとマネジメントシステム 規格

エンロンなどで発生した不正会計事件、あるいは発展途上国における贈収賄や内部告発の問題など、世界中で起こっているガバナンスに関する不祥事や問題を背景に2016年に新設されたISO/TC 309 では、組織のガバナンスに関わるISO 規格を担当しています。

注視される組織のガバナンス

権力の濫用と受け取られる行為や重大な事件が続くのを受け、組織の行動やパフォーマンスの改善に対する社会の要求が高まってきています。本来その組織が奉仕すべき人々の利益よりも自分たち組織の利益を優先するビジネスリーダーに対して現代のステークホルダーはますます不寛容になってきています。不適切な行為があれば、政府、規制当局、株主や一般大衆は、組織を率い、最終責任をもつ人に説明をするよう今までに増して強く求めるようになっています。規則違反をしたり、不必要なリスクを取ったりした人々には制裁金、組織に対する世評へのダメージ、実刑判決が待ち受けています。

組織のガバナンスとBS 13500:2013

こういったことを背景として 英国規格「BS 13500:2013 - 有効なガバナンス実施のための行動規範」が策定されました。この規格の目的は有効なガバナンスを実施するための根本的な要求事項を明確化することです。この規格は、英国の規格協会 (BSI) がさまざまな異なる業界の専門家に相談して策定したもので、グッドガバナンスシステムのすべての要素が備わっていることを確認するための基本的なチェックリストとして使用されることを意図しています。この規範は、個人事業主から多国籍企業まで、すべての種類及び規模の組織に適用することができます。

BS 13500:2013 は組織のすべての重要な関係先、特に顧客、従業員、サプライヤー、地域のコミュニティ及び社会全体との関係の健全性を管理するために組織の運営組織 (governing body) が必要であるとしています。この規格には3つの主要な箇条があります。効果的なガバナンスシステムの確立、効果的なガバナンスシステムを支える原則、実施のガイダンスです。一連の附属書では、ガバナンス方針をどのように確立するか、組織の異なるタイプのステークホルダーのプロフィールのみならずガバナンスに関する自己評価チェックリストなどのアドバイスを提供しています。

組織がこの規範のすべての推奨事項を実施していることを実証できれば、効果的なガバナンスを実施するためのシステムをもっているということができます。このようなシステムを持っていることだけでは効果的なガバナンスをおこなっていることの保証にはなりませんが、少なくとも、組織の積極的な価値基準や行動を促し、支えることにはなります。さらに、規格を適用した組織は、目的をより明確にし、正しい意思決定ができるようになり、トップマネジメントと組織のステークホルダーの関係が改善し、リスクに曝されることが減るようになることが期待されています。

TC 309 とガバナンスに関するISO 規格

しかし、こういった分野の文書を策定しているのはBSI だけではありません。昨年、国際標準化機構 (ISO) は、指示、管理及び説明責任などを含むガバナンスのすべての側面に関するISO 規格を策定するため、新しい技術委員会 TC309 の開設をアナウンスしました。開設されたTC 309では、すでに発行されている2つの規格、つまりISO 19600 – コンプライアンスマネジメントシステムとISO 37001 – 贈賄防止マネジメントシステムを担当することになりました。そして、まもなくTC 309は最初の独自規格の策定作業を始めます。これは効果的なガバナンスのシステムをどのように構築するかについての最上位の原則と方向性を定めるものになるでしょう。この分野において先行しているのはBSI ですから、ISO はBSI をTC 309の事務局に指名しました。

これらのワーキンググループの専門家たちは前回の総会でも打合せのために集まりましたが、正式の会合は、初めて今度の11月の会合において持たれることになります。予定では、贈賄防止のワークショップも開かれることになっています。

現在のところ、TC 309 の会合には35のメンバーが参加しますが、これには日本、インドネシア、マレイシア及びシンガポールの国家規格協会の代表が含まれています。また21のオブザーバーメンバー (O-members) があり、この中には香港、韓国及びタイの代表もいます。

CQI|IRCA はカテゴリーA のリエゾン組織として認められ、TC 309に参加します。現在のところ、CQI|IRCA 以外でTC 309 のカテゴリーA の組織は欧州建設業連盟 (European Construction Industry Federation) と国際金融公社 (International Finance Corporation) のみとなっています。直接提言する立場として、CQI/IRCAは新しいISO のガバナンス規格の内容にも関与しています。

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