ISO 45001 発行情報アップデート 2

2017年 5月時点における、労働安全衛生規格 ISO 45001 DIS 2 の概況及びIS発行スケジュール最新情報です。

去る2017年5月18日に、IRCA による ISO 45001 開発最新情報 特別セミナーが開催されました。

講師のRichard Green は、CQI を代表して、ISO 45001 の開発を担当するPC283のワーキンググループに参加しています。また、英国の国内委員会の委員でもあります。当該規格は昨年DIS が否決され、現在 DIS 2 の投票中です。今回のセミナーにおいて、最新情報として伝えられ、参加者の関心が高かったDIS 2の要求事項及び今後の発行スケジュールについてお伝えいたします。

労働安全衛生の重要性 – ISO 化の理由

  • 労災による死者数: 年間230万人 (1人/15秒)
  • 労災事故の件数: 3億件 労災による疾病: 1億6000万人
  • 全世界のGDP の4%に相当する損失

→  労働安全衛生マネジメントシステム運用の目的: 労災関連費用の削減、法令違反の低減、従業員の士気を高める、社会におけるイメージの向上

ISO 45001 DIS 2の概要

  • 労働安全衛生に関するマネジメントシステム規格としては、英国規格であるOHSAS 18001が日本を含む世界中の多くの組織により採用され、ISO 9001及びISO 14001 に続き、3番目に多く認証が発行されているMS 規格である
  • ISO 化にあたり、上位構造、共通化された用語及びテキストという、附属書SL に準拠したマネジメントシステム規格となる
  • 引用規格はない – OHSAS 18001ではOHSAS 18002とILO の指針が引用規格
  • ISO 14001 との整合が図られている
  • ビジネスシステムとの統合が意図されている - トップマネジメントのアカウンタビリティが要求されている
  • OH&SMS の目的: OH&S リスクを管理する枠組みを提供
  • OH&SMS の意図する成果 → 1. 労働者の負傷や疾病の予防 2. 安全かつ衛生的な職場の提供

新たに加わった用語及び定義

  • 労働者 worker、参加 participation、協議 consultation、請負業者 contractor、法的要求事項及びその他の要求事項 legal requirements and other requirements、労働安全衛生パフォーマンス occupational health and safety performance、労働安全衛生リスク occupational health and safety risk、労働安全衛生機会occupational health and safety opportunity
  • 労働者 (Worker) – トップマネジメント、管理職、非管理職が含まれる、直接雇用の者以外も含まれる、無給の者も含まれる
  • 協議 – 決定を下す前に意見を求めること → 無視することもできる
  • 参加 – 決定への関与

要求事項について

箇条4 組織の状況

  • 4.2は「労働者及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」となっています。

箇条5 リーダーシップ及び労働者の参加

  • 箇条5は、9001 や14001 では「リーダーシップ」ですが、45001では、「リーダーシップ及び労働者の参加」となっています。

労働者との協議及び労働者の参加 (5.4項)

  • 労働者との協議及び労働者の参加に関する要求事項が大幅に強化されています。
  • 協議について、OHSAS 18001 では「OH&S に影響する変化が生じた場合の協議」としかありませんが、45001では労働者との協議が必要な事項が規定されています。
  • また、参加についても、「協議のしくみの決定」や、「力量要求事項の明確化や教育訓練の必要性、評価」等、多くの事項が追加されています。
  • この箇条については、規格を策定するPC283の委員会でも紛糾しています。これでは要求事項が足りないという国と、これではが多すぎるという国があります。
  • IRCA 特別セミナー参加者の関心も高かった項目です。このような要求事項があると、日本企業は45001 の適用を止めるのではないかとの懸念も聞こえました。

箇条 6 計画

  • リスク及び機会への取組みには、危険源の特定、労働安全衛生リスクのアセスメント、労働安全衛生機会のアセスメント、法的要求事項及びその他の要求事項の決定、取組みに関する計画の策定が含まれています。
  • 労働安全衛生リスク (3.21 労働に関係する危険な事象または暴露の起こりやすさとその事象または暴露によって生じ得る負傷及び/または疾病のひどさの組み合わせ) と労働安全衛生機会 (3.22 OH&Sパフォーマンスの改善につながり得る状況又は一連の状況) は新しく用語の定義にも加わっています。

箇条 7 支援

  • 7.4項のコミュニケーションは、14001と同じく、「一般」、「内部コミュニケーション」、「外部コミュニケーション」に関する要求事項が示されています。

箇条 8 運用

  • 18001と同じく、優先順位に基づく管理策の決定が要求されています。
  • 変更の管理に8.1.3 項が当てられています。
  • 外部委託に関する運用の計画及び管理が8.1.4項で規定されていますが、ヨーロッパの一部の国では、外部委託そのものが法律違反となる場合があり、重要な課題となっています。
  • 管理策に関するプロセス、変更プロセス、外部委託に関するプロセス、購買のプロセス、請負業者に関するプロセス、緊急事態への準備及び対応のプロセスなど、たくさんのプロセスを確立することが要求されています。

箇条 9 パフォーマンス評価

  • 組織は、監視、測定、分析、評価に関するプロセスを確立、実施、維持しなければなりません。これまでは分析まででしたが、評価が新しく加わっています。
  • 内部監査の結果は、関連する管理職だけでなく、労働者並びに労働者の代表にも報告しなければなりません。
  • マネジメントレビューの関連する結果についても、労働者、労働者の代表に伝達しなければなりません。

箇条 10 改善

  • 根本原因の特定や是正処置を講じる必要性の評価には、労働者の参加や、密接に関連するその他の利害関係者の関与が要求されています。
  • 継続的改善の結果は労働者及び労働者の代表に通知しなければなりません。

附属書 A

  • 附属書 A には、規格本文の要求事項をどのように解釈すればよいのかに関するさまざまな追加情報が含まれており、一読の価値があります。
  • どのように実施するかについての情報は入っていません。

規格策定の課題及び日程

問題となっている領域

  • OH&S か? OS&Hか?
  • 労働者の参加の範囲は?
  • 労働者の代表の役割
  • 「労働者 worker」及び「職場 workplace」の定義
  • 外部委託
  • 適用における釣り合い (中小企業への適用可能性)
  • 策定の各段階におけるコメントの量

これまでの経過

  • 2013年から策定プロセスが始まった
  • 2014年にCD (委員会原案) は承認不可 2,500件のコメント
  • 2015年に CD 2 は承認
  • 2016年5月 DIS (国際規格原案) は承認不可、3,000件のコメント
  • 2017年5月19日~ 7月13日 DIS 2 の投票

今後の予想

  1. DIS 2 も承認されない → ISO 45001 ではなく、TS 45001として発行
  2. DIS 2 はコメントがほとんどない状態で承認 → 2017年11月に ISO 45001を発行
  3. DIS 2 は承認されたが、多数のコメントが寄せられた → 2017年11月に FDIS、2018年3月にISO として発行

この予想は、幹事機関であるBSI の責任者からの情報です。いちばん確率が高いのは、3) ではないかと思われます。
労働安全衛生マネジメントシステムは冒頭でも述べたように、運用している組織が非常に多いマネジメントシステムです。したがって、多くの組織がISO 45001 への移行について、関心をもっています。IRCA ジャパンでは、今後も規格成立までの情報を発信していくとともに、2018年3月にはシステム移行に関するセミナーやワークショップも計画しています。

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