Lifting the lid on McDonald's

McDonald’s UKサプライチェーン担当副社長のWarren Anderson氏に、McDonald’s UKがファストフードの品質に対する一般市民の認識をどのように変えようとしているかについて、Tim Coulthardがインタビューしました。

今年イギリスで起きた馬肉スキャンダルによって食品サプライチェーンの課題が一般の関心事となり、牛肉業界にとっては厳しい一年となりました。しかし食肉処理業者、スーパーマーケット、ファストフード店が皆この増大するスキャンダルに巻き込まれていく中、大手ブランドMcDonald’s UKは一切影響を受けることがありませんでした。

McDonald’s UKは今般「品質スカウト」という、牛肉のサプライチェーンを一般公開するために考案されたプログラムを開始し、本年夏、プログラムの一般参加者が英国やアイルランドの農場を訪れました。農場では、McDonald’s UKのハンバーガーに何が入っているのか参加者が自身の目で確認しました。このプログラムの参加経験について、マクドナルド・ウェブサイトの”What Makes McDonald’s”セクションにプログラム参加者の意見や感想が無編集で掲載されています。

本記事では、McDonald’s UKサプライチェーン担当副社長のWarren Anderson氏に、この品質スカウトプログラムが始まった理由と、より広範な品質アプローチでMcDonald’s UKが成そうとしていることについて伺いました。

QW: 今回「品質スカウト」プロジェクトを立ち上げた理由をお聞かせください。

Warren Anderson: 当社のサプライチェーンがいかにシンプルであるかを一般の方々にご覧頂き、原材料の品質を保証するために当社が実施している対策についてご理解頂くためです。

当社はお客様から寄せられる多くの幅広い質問に答えようとしています。「食品には何が入っているの?」や「原材料はどこから来るの?」など質問はさまざまです。
しかし、これらの質問に対して我々が回答を並べるのではなく、お客様にプログラムに参加して頂き、お客様自身の目で答えを確かめて頂きたいのです。

品質スカウトでの経験について、参加者各々のレポートを当社のウェブサイトに掲載できるようにしています。そして、40万人のサイト訪問者が参加者それぞれの意見を閲覧できるようになっています。

QW: McDonald’s UKのサプライチェーンのシンプルさについて言及されましたが、「シンプル」の理由は何ですか?

Warren Anderson: 第一に、当社が培ってきたサプライヤとの長年の関係です。中には当社と30年以上の付き合いがあるサプライヤもいます。また、当社が設定した基準の中にも理由があります。

当社は、商品がサプライチェーンを移動する中で無接触であるということを求めています。なぜなら、サプライチェーンの中でのあらゆる途切れが、商品へのリスクや、品質へダメージを来す可能性となるからです。

当社の牛肉サプライチェーンでは、横腹や前四部体部位のクオーターカットなど、全ての材料が店舗へ届くまでの道則が非常に単純です。農場から食肉処理業者へ、食肉処理業者から肉屋へ、肉屋から加工業者へ、加工業者から当社の配送ネットワークへ、そして当社の店舗へ。これほど単純なものはありません。
サプライチェーンの散乱が多いほど、リスクや品質ダメージの可能性は高くなるのです。

QW:英国及びアイルランドのサプライヤのみを使うことが最終目標でしょうか?

Warren Anderson:当社の牛肉は全て英国及びアイルランドの農場のものです。食肉において当社と関係のある農家は約16,000軒です。

当社の豚肉は100%フリーダム・フード*の食肉規格ポークです。これは当社が今年4月に、動物福祉基準に対して行った投資であり、お客様や投資家の方々に極めて高い評価をいただきました。

鶏肉を調達する際には、お客様から、全ての商品にはムネ肉が好ましいという意見が寄せられました。これは、我々がムネ肉の純輸入者であるということを意味しています。原材料(鶏肉)はブラジルやヨーロッパから、チキンセレクト用にはタイから買い付けています。

QW:海外のサプライヤとの取引の際には、どのようにしてサプライチェーンの品質と堅実さを維持していますか?

Warren Anderson: まったく同じプロセスを用います。唯一の違いは、最終商品が工場から当社の配送センターに到着するまでの期間です。

ですから、例えばパリ、ブラジル、タイといった製造施設や農場に目を向けたとしても、当社が用いるMcDonald’s UKのプロセスの一貫性はどこでも同じになります。

この実現のために採用されているのが、マクドナルド農業保証プログラム(MAAP)*です。
肉を使用しない商品においては、当社の工場ではサプライヤ品質マネジメントシステム(SQMS: Supplier Quality Management System)を採用しています。

これは、世界中で一貫して使用されている規格であるため、当社がサプライチェーン運用に用いる簡素化されたアプローチと品質保証基準は、その商品が玩具であっても食品であっても、まったく同じです。
つまりこれは、店舗に届く商品に一貫性をもたせる責任をサプライヤに担ってもらうことを目的としています。

QW:御社のサプライヤに公的な品質保証規格への認証を求めますか?それとも、御社の独自基準でサプライヤを検査しますか?

Warren Anderson: 両方を組み合わせています。どのサプライヤにもMcDonald’s UKと取引きをするための基準レベルとして、SQMS規格、つまりサプライヤの全設備/施設が順守すべき12の必須要求事項があります。
各サプライヤが時間をかけて当社に特化した形で設備投資を行う結果、我々はより高いレベルの業務ができるようになります。

そのため、我々はサプライヤの皆様により良い外部認証、例えば品質、持続可能性、環境などのISO規格の取得を奨励することができるのです。
サプライヤに対して、当社のために1年のみの投資を求めるようなことはしません。当社のサプライチェーンの原則は長年の関係を構築することです。なぜならそれが両者に対し、長期的に共により良い取引ができるという自信を与えるのですから。

QW:品質スカウトの構想は馬肉スキャンダルが起きたときにはすでに計画されていたのですか?それともこの問題に対応するために計画されたのですか?

Warren Anderson: いいえ。この構想は実際すでに進行中でした。
この数ヶ月間で何度かこの質問を受けています。我々がフリーダム・フード ポークを4月に発売したとき、「これは馬肉スキャンダルへの対応か?」と問われました。その答えは「いいえ」です。なぜなら、我々が何かを実施しようとするときは、その強い影響力と効果を狙って時間をかけて計画します。

また同時に、サプライチェーンのあらゆる通過点が、各店舗での需要を満たすために必要な量と一貫性を確実にクリアできるように計画します。そして、当社はフランチャイズ制を採っているため、取り組み方について重視し、考慮しなければなりません。

つまり、当社のフランチャイズオーナーと店舗運営者/オーナーの両者と共に取り組まなければいけないのです。
常にタイミングが重要となり、その都度多くの質問が投げかけられます。 当社では1日に300万人ものお客様に店舗をご利用いただいています。

お客様は皆様、好奇心の強い方々です。購入する商品に何が入っているのか、そしてそれらの原産地はどこなのかなど、たくさんの疑問を抱きます。そういう意味では、プログラムの開始時期が今夏というタイミングとなったのは正解でした。

QW:馬肉スキャンダルが出たとき、御社は自社のプロセスに自信をお持ちで、その問題に巻き込まれないと確信されていらっしゃいましたが、そう思われた根拠は何ですか?今回のような事がこの業界に起こりうると感じていらっしゃったのですか?

Warren Anderson: 一企業として、我々は深く衝撃を受けました。我々が知っている、我々が利用しているサプライチェーンは40年間有効に運用されているものであるため、そのような規模の事が起こりうることに対しての衝撃です。
当社のサプライチェーンは非常にシンプルなもので、我々が求める品質保証の特性が提供できるのも、正にそのサプライチェーンを通しているからです。

ですから、この事態に対して誰が、なぜ、などは問いません。しかし、馬肉スキャンダルはこの業界に甚大な影響を及ぼし、事態は我々を深く悲しませました。他の多くのブランドで起こったことを考えてみてください、ひどいものです。

しかしながら、当社のサプライチェーンの本質、またその運用方法により、我々には自信がありました。
しかし、我々は検査を行うことが賢明であると依然として考え、また、明らかに、我々のお客様はそれを期待していました。
ですから我々は、誰もが求める一貫性を提供するために、牛肉パティを分析に出し徹底的な検査を行いました。

馬肉問題が起きたとき、当社は問題が無いという自信を常に持っていました。検査は行いましたが、当社がサプライヤと長年培ってきた関係と、サプライチェーンをシンプルに維持するための積極的な取り組みのおかげで、私には自信がありました。そのため、当社は何の変更も行っていません。これが品質スカウトの真の素晴らしさです。

当社が常に実施してきていること、また、ここ英国で運用して世界中でも真似て採用されているサプライチェーンを、一般に公開するのです。

QW:現在は、食品の原産地やサプライチェーンに対する一般の認識レベルや関心が上昇しています。これにより御社のお客様の態度にも顕著な変化が出ていますか?

Warren Anderson: 過去2007年から2008年にかけて、当社が一ブランドとしてもっとやるべき重要な要素を調べるために、我々はお客様と広範囲にわたるリサーチを行いました。

食品の観点から出てきた大きな疑問は、「食品には何が入っているのか?さらにそれはどこのものか?」でした。
それは地元のものか、他地方からのものなのか、英国産なのか、アイルランド産なのか。当社のお客様にとって牛肉(の原産地)についての答えを求めることが極めて重要になっていました。なぜなら、当社はハンバーガービジネスを行う企業であり、それがお客様が求めるものなのです。

Populus(英国の調査及び戦略コンサルタント企業)と共に、我々は最近、お客様2,000名を対象とした調査を実施しました。
英国の成人のほとんどが食品の原産地についてもっと知りたがっています。
事実、調査回答者の5人のうち4人が、原材料を生産農家までトレースできることが重要であると回答しました。また、回答した成人の半数以上が、食品の購入時に、その食品の生産方法を考慮すると答えています。

突き詰めると、お客様が食品の購入を決定する際に考慮する最重要ポイントとして、食品の品質、調達、トレーサビリティの3項目が挙げられることが分かりました。

ですから、これは非常に重要であり、この数ヶ月でより重要になってきているように私は思いますが、実は6、7年間も前からこのような感情はすでにあったのだと思います。

QW:馬肉スキャンダルを受けて、食品業界全体として、実績評価を行って課題に取り組む必要がありますか?同業者が十分な努力をしていないために業界全体の評判を落としていると失望していますか?

Warren Anderson: 当社はお客様志向の企業です。企業が過去に何をしようとしたとしても、それをお客様が知れば、お客様は正しい意思表示をすると考えています。

私は、このお客様の真の反応こそが、我々の課題であると考えています。馬肉スキャンダルにより証明されたことは、手抜きが行われ、会社の不備が見つかり、それに対して顧客は意思表示をしたということです。
我々は今や、McDonald’s UK商品だけでなく、耕作農業であろうと酪農業であろうと、英国で育つ全ての食品を生産するために農家が何を行っているのかについて、高度な教育を提供するための大きな基盤を抱えているのだと考えています。

単にサプライチェーンだとか、品質だけでなく、英国の農家がどのような道則を歩んでいるのか、という多くの重要な領域にも関わっています。





*フリーダム・フード
英国動物虐待防止協会(RSPCA)認定の食品認証プログラム

*マクドナルド農業保証プログラム(MAAP)
農場保証スキームのもとで調達される原材料の量をサプライヤが提供するための計測システム。MAAP基準への適合度合いに応じて各スキームが採点される。全サプライヤがスキームを用いてある商品を供給する合計量により、その商品のMAAPスコアが算出される。

 

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