品質管理部 佐藤 正寿 様
(聞き手:IRCAジャパン)
株式会社ファミリーマート (以下ファミリーマート) は社内の監査員の力量を高め、二者監査を含めフル監査が自分達で監査機関に負けない専門家集団になることを目指し、2019年10月にIRCA OEA制度を導入しました。
ファミリーマートでは、同社の事業活動における5つの重要課題のひとつとして「お取引先とともに持続可能なサプライチェーンを追求」することを掲げており、同社の二者監査のシステムはこの課題を踏まえた取り組みであることが特記されます。
ファミリーマートは、フランチャイズシステムによるコンビニエンス事業者として国内に16,562店舗、海外に8,011店舗、合計24,573店舗 (2022/8/31現在) を展開しています。お馴染みの「あなたと、コンビに、ファミリーマート」というコーポレートメッセージの下、「地域に寄り添う」、「お客さま一人ひとりに」、「家族のように」の3つを大切にするという基本理念を掲げています。
そして、ファミリーマートの5つの重要課題とSDGsの目標は密接に関係しています。
日本全国に広がるファミリーマートのフランチャイズ店舗には、日々オリジナル商品を含む商品が納品されています。
オリジナル商品の安全、安心を守るためには、全国各地域に広がるお取引先とどのような関係を築いていくかということが重要です。
ファミリーマートはサステナビリティ基本方針に基づき、持続可能な社会の実現に向けてお取引先とともに社会的責任を果たすための「サステナビリティ調達原則」を制定しており、この中でお取引先との関係や取引の考え方について規定し、公平・公正な取引を通じて良好なパートナーシップの確立・維持を図っています。
ファミリーマートのオリジナル商品は毎週、新商品が続々と導入されています。
これらの商品は、製造委託工場や各メーカーにより製造されています。
ファミリーマートのオリジナル商品の安全・安心を守るための品質管理部の業務内容ですが、オリジナル商品の書類審査・表示審査、新規工場監査、製造委託指定原料審査、工場点検のほか、製造管理規定、細菌検査適合基準に基づく製造委託工場の衛生管理指導や外部工場点検、そして、店舗衛生管理、啓蒙活動、店舗HACCP推進、商品の苦情受付とその対応など数多くの業務を行っています。
私たちは製造委託工場とともに、苦情の削減ではなく苦情の撲滅、事故の未然防止活動をテーマに活動しています。
IRCA登録准審査員が中心となり、KPI達成の為の改善サイクルを回す中で、さまざまな改善の取り組みを行っています。年に4回行われる苦情撲滅コンクール、そして主たる委託工場の経営者とのダイレクトコミュニケーションです。
苦情撲滅コンクールでは、苦情要因の発生タイミングのピークに合わせて定められたテーマに対して各工場が未然防止の取り組みを同期間に行います。
事前準備を経て、計画した取り組みをコンクール期間中に実施し、期間が終了したら、取り組みの結果及び数値を確認して有効性が判断されます。またコンクール終了後も継続して実施する取り組みが共有されます。なお、優良工場には表彰をしています。
この取り組みで重要なのは、取り組みの結果を競い合うだけでなく、成功事例を改善の進まない工場に共有し、コンクール終了後も未然防止活動が継続されるということです。
他工場の成功事例を活用し、具体的に改善活動を推進していただく為に製造委託工場の各工場がアクセスできる専用サイトを設けています。そこでは各コンクール良好事例、過去の重大事故事例などの「How to」が確認できるようになっており、具体的な改善ノウハウを公開することによって、改善の実行のスピードアップが図られます。
お客様の安全安心を守る上で「苦情撲滅活動」も私達の大切な活動の1つです。「IRCA OEAスキーム」の活用により、苦情数も大幅な削減が進んでいます。改善が達成できた要因としては、以下の事項を上げる事ができます。
以上のような取組みを実施する上で重要なのは、それを実施する監査員(准審査員)の力量の向上です。
委託先の工場は、ファミリーマートのオリジナル商品の製造を担う重要なステークホルダーです。お取引先を監査するファミリーマートの監査員は、工場の監査において、良し悪しをただ指摘するだけでは不十分です。
監査員には常に自分事と捉え、工場のクオリティ (力量) を向上させるため、ともに考え成長し、改善を進め、お客様への安全安心を追求していくことが求められます。
私たちは、審査機関に負けない専門集団となることを目指して、年2回以上の部内研修を実施するほか、必要な専門資格、例えばISO22000審査員や表示検定上級などに毎年部員がチャレンジをしています。
現在、品質管理部社員のうち、IRCAでOEA登録をする准審査員は52%を占めます。2023年度までにこれを60%まで引き上げる計画です。
ただし、IRCAへの准審査員登録はスタート地点に過ぎません。
品質管理部の仕事は、点検、監査し、指摘するところで終わりではなく、結果の改善課題を解決するところまでもっていかなければなりません。数をこなすことで、点検などのルーチンワークはこなせますが、その先に進む必要があります。
つまり現場力を高めなくては改善・解決まで進めないという事です。
そこでIRCAのOEA制度導入とともに、2020年9月からIRCAのFSMSプリンシパル審査員と業務契約を結び、
ことを目指して、「監査を学ぶ実践研修会」「個人レッスン」を含む現場教育を繰り返し実施しています。
日々の実践の場を活用して、同じ目線での学習、振り返りを繰り返し実施することで経験が確実に蓄積し、個々の力量が向上してきています。
これからもファミリーマートのオリジナル商品の未然防止活動を推進することができる力量を向上させ、「自分たちで守れる体制」の実現に向け、進んでいきたいと思います。
その中では、IRCA のOEA制度を活用して、二者監査の実績をもとに、審査員、主任審査員への昇格を実現し、クオリティをさらに高めていくことも目指します。
さまざまな課題を自分事として改善を進めるのが、ファミリーマートの品質管理部の仕事です。サプライチェーンの皆さんと手を携え、改善を進める上で、相手に納得いただき、動いていただくためには日頃のコミュニケーションも大切です。
ファミリーマートで商品を購入いただいたお客様の安全安心を追求するため、これからもさらなる力量の向上を目指し、また各工場の皆さまに対しては、それぞれの工場自身が自分事としてHACCP活動等を通して成長、進化していけるよう、持続可能な関係を維持し、一緒に努力していきたいと思います。
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