クオリティ4.0 よくある質問

一般的な質問

1. クオリティ4.0とは何ですか?

クオリティ4.0は世界的に認知されている用語であり、クオリティマネジメントの手法が変化していくプロセスを表します。この変化には、プロセスのデジタル化の推進、強力なデータ収集と分析などが含まれます。詳しくは、CQIの「クオリティ4.0」の定義に関するリサーチ のレポートをご覧ください。

2. なぜクオリティ4.0が重要なのですか?

クオリティ4.0に向かって徐々に変化していくにしても、その影響は非常に大きく、組織、組織の顧客やクライアント、クオリティを一貫して確実に提供するために働く人々、そして社会全体に影響が及ぶ可能性があります。この変化がどのくらいの規模で、またどのくらいのスピードで進むかを予測することは困難です。しかし、一部のビジネスモデルは急速に変化しており、中には新しいビジネスモデルが驚くほどのスピードで出現してきているケースもあります。

ゆえに、クオリティプロフェッショナルが変化の受動的な傍観者や犠牲者としてではなく、未来をデザインする中心にいることが重要なのです。事実、クオリティプロフェッショナルのスキル、知識、視点は未来をデザインする上で不可欠です。私たちには、エンドツーエンドの新しいバリューチェーンと新しい保証のアプローチが必要です。また、複雑な問題を解決するためには、複数の分野にまたがるチームが必要となり、使用されるデータが最高のクオリティをもつことを誰かが確認する必要があります。クオリティプロフェッショナルは、傍観者であってはなりません。私たちはソリューションの一部である必要があります。ですから、クオリティマネジメントに携わるプロフェッショナルは、このトランスフォーメーションが自分たちの活動する状況 (context) にどのような影響を与えるのか、また、どのようにすればより高い価値を提供できるのかを考えることが重要となってくるのです。

1. の質問の回答で紹介している記事では、クオリティ4.0について詳しく説明しています。

クオリティ4.0のリサーチプロジェクトについて

3. CQI はなぜクオリティ4.0のリサーチプログラムを開始したのでしょうか?

CQIは、クオリティプロフェッショナルがデジタル時代の到来に対応できるように準備し、将来にわたり成功するために必要な新しい力量を見極め、身に付けるのを手助けする必要があります。

最初の段階として、「クオリティ4.0」、「インダストリー4.0」、「サプライチェーン4.0」をテーマにした文献や会議録を調査し、世界中のオピニオンリーダーと議論した結果、クオリティ4.0の単一の定義として受け入れられているものはないという結論に達しました。専門家たちは提案された定義をそれぞれ異なる視点から検討しており、実務に携わる人たちを戸惑わせてきました。このような理由から、CQIはクオリティ4.0の作業用定義を策定するためのリサーチプロジェクトを開始することを決定したのです。これにより、IRCAを含むCQI のメンバーは、クオリティ4.0とは何か、どのように発展していくのか、そして将来的にクオリティマネジメントにどのような影響を与えるのかをよりよく理解することができるようになります。

この作業用定義が出来上がり、リサーチプログラムはクオリティ4.0に移行しつつある組織で採用されている慣行、ツール、テクノロジーの特定に進んでいます。リサーチチームは、この新たな世界で成功するためにクオリティプロフェッショナルが身につけるべき新しい知識、スキル、行動を特定していきます。

4. クオリティ4.0のリサーチには、他の組織も参加していますか?

私たちは、ASQ (American Society for Quality)、EOQ (European Organization for Quality)、ANQ (Asian Network for Quality)、IRCAジャパンの仲間と連絡を取り合い、世界のいくつもの異なる国や地域のパートナー組織、学者、オピニオンリーダーを巻き込んできました。また、今回の調査結果をUKQI (UK Quality Infrastructure) 内で広く共有しました。

5. クオリティ4.0のリサーチでは、環境、社会、ガバナンス(ESG)の要素を考慮していますか?

特別に検討はしていませんが、現在、力量フレームワークを改訂するためのリサーチプロジェクトでは、ESGの分野を扱います。組織や顧客がESG目標を達成するために、クオリティプロフェッショナルが必要とする知識、スキル、行動を明らかにします。

クオリティ4.0とクオリティマネジメントの実践

6. CQI|IRCAの登録メンバーのうち、どのような割合で、どのような部門の人たちがクオリティ4.0の影響を受けますか?

クオリティ4.0は、有償、無償を問わず、現在もクオリティマネジメントやシステム監査の専門家として活躍しているすべての人に影響を与える可能性があります。影響が少なかったり、後になってから影響が出たりする状況もあるでしょうが、現段階でそれを予測することは困難です。準備をせずに慌てることになるより、準備をしておいた方がよいでしょう。CQI|IRCAの使命は、あなたがこの課題に対応するために必要なすべてを提供することです。クオリティ4.0は、箱から取り出して自分の会社やお客様に「してあげる」ことができる製品ではありません。クオリティ4.0は、クオリティマネジメントが進展していくプロセスであり、自分が何をどのように行うかを再検討すべきプロセスでもあります。また、文脈に沿って考えることも必要でしょう。クオリティ4.0は、私たちクオリティプロフェッショナルが直面する大変な仕事です。

7. クオリティ4.0の定義は、既存のクオリティマネジメントのフレームワークにどのような影響を与えるのでしょうか?

CQI|IRCAは、デジタル技術によって急速に変化する仕事や取引の世界が、クオリティマネジメントの慣行、ツール、力量にどのような影響を与えるかをクオリティプロフェッショナルがよりよく理解できるように、作業用定義と核となるクオリティ4.0の8つの新たな原則を策定しました。この新しい原則は、すでに確立しているフレームワークに取って代わるものではありません。これらの原則は、組織が直面している新たな課題、リスク、機会にクオリティマネジメントが対応できるようにするために考えなければならないことのヒントとなります。

8. クオリティ 4.0はISOの品質マネジメント規格にどのような影響を与えますか?

まだ明確ではありません。CQIのResearch Advisory Panel からのフィードバックを受けて、クオリティ4.0の核となる新たな8つの原則を、ISO 9001を支える核となる7原則にマッピングしています。予想されたとおり、この7原則は策定時から変わらず重要であることがわかりました。クオリティ4.0の中核となる新たな8つの原則は、デジタル化された時代に品質マネジメントの7原則がどのように提供されるのかを理解するのに役立ちます。CQI|IRCAは、近々、このリサーチの結果を登録メンバー向けに公開し、ISO 9001の最終的なレビューにどのように役立てることができると考えているかを示していきます。また、ISOにおけるカテゴリーAのリエゾン組織という立場を活かして、関連する作業グループのメンバーと連携し、レビューを強化するためにリサーチの成果を提供しています。

9. クオリティ4.0は、CQIの力量のフレームワークの内容にどのような影響を与えますか?

クオリティ4.0のリサーチプログラムが完了したら、力量のフレームワークの改訂版を発表する予定です。このフレームワークは、これまでのフレームワークの5つの要素それぞれに求められる力量をより詳細にまとめたものになります。そして、クオリティ4.0の環境で成功するために必要な新しい知識、行動、スキルを明らかにします。これには、組織が設定した環境、社会、ガバナンス(ESG)目標を達成するためにクオリティプロフェッショナルに必要となる力量の新しい要素が含まれます。

10. 現状では、クオリティ4.0はすべて理論上のことです。クオリティ4.0は、私にとって実際にどのような意味を持つのでしょうか?

このリサーチの結果は、現時点では純粋に定義の段階なので、理論的なものになっています。それが原理原則の本質であり、私たちの思考と実践の指針となるべきものです。リサーチの次の段階では、デジタル化されたクオリティマネジメント の実践の証拠と、その証拠がクオリティ4.0の核となる新たな8つの原則の1つ以上をどのように例証し、サポートし、課題を投げかけているかを調べます。そして、クオリティマネジメントのツールキットがどのように変化しているのか、また、それがクオリティマネジメント部門や組織の他の部分で行われていることにどのような影響を与えているのかにハイライトを当てます。この作業は2021年末に完了する予定であり、2022年初頭には共有したいと考えています。

11. このような新しいテクノロジーが、仕事の世界や自分の仕事を本当に変えてしまうのか、私は懐疑的です。これはクオリティ3.0の焼き直しではないでしょうか?

このようなデジタルトランスフォーメーションが、どのように、どこで、どのくらいの速さで起こるかを予測するのは困難です。しかし、これらの新しいテクノロジーによって、直接的あるいは間接的に何らかの影響を受けない生活の側面を想像するのは困難です。また、クオリティ4.0は、「クオリティ3.0を箱から放り出して」、クオリティマネジメントを行うための新しくてピカピカした方法に置き換えるというものではないことを認識することも重要です。先に述べたように、クオリティ4.0は移り変わっていく状態であり、組織はさまざまな程度に応じてその中を移動していくだろうというのが私たちの考えです。これまで私たちに貢献してきたクオリティマネジメントの原則、ツール、テクニックは、テクノロジーが進歩しても機能することが証明されており、確立したアプローチがもつ大きな固有の価値は失われていません。しかし、新しいテクノロジーの力を活用するためには何らかの調整が必要です。

12. クオリティマネジメントは、デジタル化や自動化によって脅かされている職業のひとつでしょうか?

この質問には両面性があります。片方では、クオリティ機能の中のいくつかの役割は、その変化する環境に役割を担う人々が適応する準備ができていなかったり、できなかったりすれば、リスクにさらされます。一方、クオリティ4.0は、クオリティの機能に携わる人々に、さらなる価値を付加する大きな機会を与えてくれます。また、以下のようなクオリティプロフェッショナル の積年の課題にも対処できるようになります。

  • 行っている仕事が評価されない
  • 取締役会から外された
  • 戦略的なアジェンダに影響を与えることができない
  • 付加価値ではなくコストと認識されている
  • シニアリーダーやリーダーから信頼されるアドバイザーとして見られていない

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