著者: マイク・ターナー
Head of Profession
データセンターの大型化とユビキタス化が進み、世界のエネルギー資源が枯渇する中、私たちは、地球の気温が1.5℃上昇するという閾値を、早ければ2027年に突破する可能性があるという現実に直面しています。あらゆる分野において、国連の持続可能な開発目標 (SDGs) や環境、社会、ガバナンス (ESG) の枠組みにおける緊急課題への対応がますます急務となっています。そのためには、新たな革新的な行動力と、リスク及び機会のバランスを取る方法を熟知している必要があります。このような課題の組み合わせに対応できるプロフェッショナルが、今後10年間をリードしていくでしょう。
CQIの使命は、社会の利益のためにクオリティマネジメントを推進することです。100年以上にわたって、この取り組みにおいて大きな進歩を遂げてきました。その大きな一歩が、2014年に発表した「力量のフレームワーク」でした。この「優れているとはどのようなものか」をシンプルにまとめたものは世界的に注目され、最近のメンバー調査では、CQIメンバーの59%、IRCAメンバーの75%が発表以来利用していることが判明しました。
しかし、21世紀の世界では9年は長い時間です。新しい課題のプレッシャーは元のフレームワークを再検討する十分な理由になるはずです。ビジネスリーダーたちも、必要なスキルを身につけるのに苦労しています。CQIが実施した働き方に関する最新の調査では、回答した組織の67%が、クオリティや監査の職務に十分な能力を持つ人材の確保に苦慮していることがわかりました。さらに、3分の1の人が、より専門的な知識や技術を身につけることを切に求めていました。このような状況を鑑みるに、既存の力量のフレームワークが専門家のニーズを満たしていないことが明らかになりつつありました。必要なのは、個人とチームの能力開発を計画するのに役立つ十分な詳細さを備えた新しいバージョンでした。
2021年夏、CQIは、より実践的な能力開発ツールの開発プロジェクトに着手することを決定しました。プロジェクトは、4つの開発及びテスト段階からなる厳格なプロセスで進められました (図参照)。
文献調査では、力量の記述の特徴と、クオリティプロフェッショナルの力量について関連する情報源に焦点を当てました。そして、この段階で得られた結果をもとに、いくつかの信頼できるベンチマークと比較分析を行いました。しかし、これらの情報源も重要ですが、開発の真の推進力となったのは、専門家との幅広い協議でした。
CQIは約19,000人のメンバーを擁し、クオリティマネジメントに基づく幅広い役割の中で、プロフェッショナルが何をできなければならないかについて独自のグローバルな視点を持っています。合計で約450名のプロフェッショナルが設計とテストのプロセスに積極的に参加し、中には複数参加したプロフェッショナルもいました。力量の初期リストは、調査、詳細なインタビュー、フォーカスグループ、ワークショップを組み合わせて作成されました。そして、その結果をISO9000シリーズの規格やエクセレンスモデルなど、クオリティマネジメントのエクセレンスを示す資料と比較することで、抜けがないかどうかを確認しました。この結果として得られた設計は、内容の必要性及び十分性、力量リスト内の整合性、国際的な利用者の理解しやすさを確認するために、4つのテストステージを経て完成されました。
この強固なプロセスの結果、CQIは力量のフレームワークの新バージョンを作成し、これをプロフェッションマップと呼ぶことにしました。9か月に及ぶ厳しい研究プロセスの結果と言えど、「100%」の解決策とは言い切れないことを認識しておく必要があります。次のレビューまであと9年放置するのではなく、時間をかけて、構築し、発展させていくのです。そうすることで、メンバーの経験や専門知識を結集して、さらに強力なものにすることができるのです。そして、そうすることで、本プロジェクトの参加者一人ひとりが、クオリティプロフェッショナル が現在と未来に適合することを保証する研究開発のグローバルな会話に参加できたことを当然のこととして誇りに思うことができるのです。
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