ISO & IAF Auditing Practices Groupによる遠隔 (リモート) 審査のガイダンス
新型コロナウイルス感染症の拡大により今、遠隔 (リモート) 審査の必要性が俄かに高まっています。これに応え、2020年4月16日、ISO & IAF のAuditing Practices Group (APG) が遠隔審査についてのガイダンス文書を発行しました。
ISO 9001 Auditing Practices Group は、ISO において品質マネジメント及び品質保証を担当する技術委員会 TC 176や国際認定フォーラム (IAF =International Accreditation Forum) に所属する品質マネジメントシステムの専門家、審査員及び実務者の有志からなる非公式のグループで、主にQMS の審査に関するガイダンス文書やプレゼンテーションを開発し、提供しています。
>>ISO & IAF Auditing Practices Group
このAPG がこの度の新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受けて、4月16日に遠隔審査のガイダンス (Guidance on: Remote Audits) を発行しました。
>>Guidance on Remote Audits (ISO & IAF APG のページ)
皆様ご存じの通り、遠隔審査は何も今回新しく出てきたものではなく、すでにISO 19011: 2011 年版にも掲載され、ISO 19011:2018年版では附属書 A1 でその手法が述べられています。ただし、その利用に対しては、これまでは消極的な意見も少なくありませんでした。
しかし、今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックという世界中を巻き込んだ特別な状況において、多くの認定機関、認証機関、そして認証顧客が否応なく遠隔審査の実施、受け入れを迫られる事態となりました。また、このガイダンス文書では、感染症パンデミックのみならず、海上に設置された風力発電用の風車や、爆破試験など、危険が伴う他の状況においても遠隔審査が有効なことを指摘し、新しい情報通信技術(ICT = information and communication technology) の使用がますます普通になったことが遠隔審査実施可能性を高めているとしています。
そして、ICT が仕事の仕方を変え、遠隔のサイトやそこにいる対象者を距離に関係なく、審査員の移動の時間やコストをなくし、移動に伴う環境影響を減らし、審査する機会をもたらしたとする一方、遠隔審査における制限やリスクについても述べています。特に、主として第三者認証審査の場合に、審査目的達成を妨げる、大きな問題となりえるのが、情報セキュリティ、データ保護と機密の問題、そして収集した客観的証拠が果たして正確で信頼にたるものと言えるかであるとし、5つの問いを投げかけています。
このガイダンス文書では、審査/監査プログラムの策定から、遠隔審査の計画及び実施について、よい例と悪い例を示しながら、述べられ、ICT に関する一般的なリスクが分析されています。
Guidance on Remote Audit の目次は以下のようになっています。
序文
BACKGROUND INFORMATION ON ISO 19011:2018 AND IAF MD 4
ISO 19011:2018 及びIAF MD4 に関するバックグラウンド情報
GENERAL RECOMMENDATIONS FOR REMOTE AUDITING
遠隔審査の一般的な推奨事項
AUDIT PROGRAM 審査プログラム
Considerations for the use of remote auditing techniques
遠隔審査テクニックの利用についての検討事項
Feasibility
実施可能性
Confidentiality, Security and Data Protection (CSDP)
機密、セキュリティ及びデータ保護 (CSDP)
Risk assessment
リスクアセスメント
Determine the use of ICT for the third-party audit cycle
第三者審査サイクルにおけるICT 利用の決定
AUDIT PLANNING 審査計画
AUDIT REALIZATION 審査の実施
AUDIT CONCLUSION 審査結論
Annex: Example of identification of Risks and Opportunities for using remote audit techniques
附属書: 遠隔審査テクニック利用におけるリスク及び機会の特定の例
>>Guidance on Remote Audits
(本記事は概略です。Guidance on Remote Audit の正確な内容はこちらのリンクより原文をを参照してください)