異なる角度から考えるには: 人々

この新しい3部作シリーズを開始するにあたり、CQI Board of Trustees (評議会) 議長のラシャド・イッサ (Rashad Issa) が、品質文化についてこれまでとは異なる考え方をすることで、イノベーション、効率性及び改善がどのように促され、永続的な影響が生まれるのかについて探ります。
はじめに
今年のワールド・クオリティ・ウィーク[リンク]のテーマ「異なる角度から考える」は、整合性、パフォーマンス、人々の3つの領域に焦点を当てています。これらすべてが、成功する品質文化を育む私たちの能力において重要な役割を果たしています。
今年のワールド・クオリティ・ウィークのテーマ「異なる角度から考える」は、整合性、パフォーマンス、人々に焦点を当てています。これらはすべて、成功する品質文化を育む私たちの能力において重要な役割を果たしています。
イノベーション、効率性及び改善を促す品質文化の実現は、間違いなくそれに関わる人たちに掛かっています。このブログでは、「自分自身」と「他者」という2つのカテゴリーに単純化して、テーマに沿って「人々」を探っていこうと思います。さらに単純化を図るため、ミカエル・クロゲラス (Mikael Krogerus) とローマン・チェッペラー (Roman Tschäppeler) の著書『The Decision Book』(2008年) に掲載されている図に示されている次の戦略を紹介します。
- 自己を理解するには
- 他者を理解するには
- 自己を向上させるには
- 他者を改善するには
この本には、これら4つの分野における50の異なる戦略が掲載されています。ここでは、あなたの次の方向性とパフォーマンスの取り組みを考えるのに役立つ、思考を刺激する4つの戦略を共有します。
自分を理解するには: 想像を超えたモデル
このモデルはすべてがどのようにつながっているのかを説明し、「証明できないのに信じているものは何か?」という疑問に答える手助けをしてくれます。自分自身を深く掘り下げたいのなら、各象限に1つずつアイデアをプロットしてみてください。それがあなたの意思決定にどのような影響を及ぼすでしょうか?
今、あなたの組織の各チームメンバ-がこの演習をしているところを想像してみてください。それが指数的に成長して複雑になる様子がわかりますか?
【画像の説明】 垂直の矢印と水平の矢印がついたグリッドのイラスト。上側の矢印が「想像できる」で、下側の矢印が「想像できない」です。水平の矢印は、左側が証明できることで、右側が証明できないことです。
ラシャード・イッサ、CQI 評議会議長
他者を理解するには: アプリシエイティブ・インクワイアリー (AI) モデル
この本で紹介されている興味深いモデルのひとつはアプリシエイティブ・インクワイアリー* (略称 AI ですが、人工知能ではありません) モデルです。この理論はデイビッド・クーパーライダー (David Cooperrider) が開発し、提唱したものとされています。この理論では、各個人は物事に対して異なるアプローチを持っていること、そして人々や企業がこれらの違い埋めるためには「何が問題なのか」ではなく、「何がうまく行っているのか」に注目すべきだと述べています。この理論では、人間には次の4つのタイプがあると提唱しています。
- あら探しをする人
- 独裁者
- 学校の教師
- 共感的な問いかけ (AI) の考え方をする人
あら探しをする人は「これはよいですが、しかし...」と言い、独裁者は「だめだ」と言い、学校の教師は「だめです、なぜなら...」と言いますが、AIの考え方をする人は「そうですね、そして...」と言うでしょう。これは、異なる考え方を促す環境を整える際に心掛けておくべき興味深い概念だと思います。(よろしければ私の記事、性格特性に関するものとモチベーションのサイクルに関するものをチェックしてみてください。)
* アプリシエイティブ・インクワイアリ―: appreciative inquiry とは、人や組織の強みに光をあて、問いかけることで価値を見出したり強みを発見したりしながら、ポジティブに問題を解決する方法。看護の現場や人材開発/育成の現場で多く使われている。
自分を向上させるには: ボストン・コンサルティング・グループ (BCG) モデル
この本では、自分自身を向上させるためのモデルとしてボストン・コンサルティンググループ (BCG) モデルを使っています。BCGは投資の価値や影響を評価するためのモデルを開発しました。このモデルは次に来るべき製品を判断するために、企業がワークショップやブレインストーミングセッションで頻繁に使用しています。
ラシャード・イッサ、CQI評議会議長
そして、市場シェアと市場成長の対比の代わりに、個人的な成長と事業への影響に役立てましょう。同じく4つのボックスが該当します: 稼ぎ頭、犬、疑問符、スターです。
- 稼ぎ頭: 事業への影響は大きいが、個人の成長は少ない。これらは日常的な業務活動ですから、止めるべきではありません。業務をより効率的にし、AI (人工知能) を使用して自動化やレポート作成を導入し、あなたの時間を解放する方法を模索しましょう。
- 犬: 事業への影響が少なく、個人の成長も低い。これらは完全にやめることができる活動です。
- 疑問符: 事業への影響は (今のところ) 低いけれども、個人の成長を促す活動。これらの取り組みは調査する価値があります。あなた個人の成長や経験が事業にどのようなプラスの影響を与えるかはわかりません。
- スター: 事業へ大きな影響を与え、個人の成長を大きく促す可能性がある重要な取り組みです。そのためには、あなたは快適な場所から一歩踏み出すことが必要になる可能性もあります。

【画像の説明】BCGマトリックスのイラスト、「個人の成長」が縦軸、「事業への影響」が横軸に表示されています。「疑問符」は左上の象限に、「スター」は右上に、「犬」は左下に、「稼ぎ頭 (cash cow)」は右下にあります。
他者を向上させるには: ハーシーとブランチャードのモデル
ハーシーとブランチャードのモデルは、シチュエーションリーダーシップモデルとも呼ばれます。このモデルは、人々のスタイルを次のレベルに引き上げます。リーダーシップスタイルは、率いる人々に合わせるのではなく、むしろ自分の働く状況に合わせるべきだと説明しています。言い換えれば、1人の同僚とだけ仕事をしている場合、すべての状況が適用される可能性があります。このモデルは、4つのアプローチに区分けしています。
- 指導している
- コーチングしている
- サポートしている
- 委任している

【画像の説明】ハーシーとブランチャードのモデルの図解。縦軸に「サポートが少ない」と「サポートが多い」、横軸に「リーダーシップの努力が少ない」と「リーダーシップの努力が多い」が表示されています。左上の象限には「サポート」、右上の象限には「コーチ」、左下の象限には「委任」、右下の象限には「指導」が配置されています。
あなたの利害関係者やチームが必要とするサポートのレベルが、採用するべきリーダーシップスタイルを決定します。
そしてあなたはクオリティプロフェッショナルですから、6つの帽子モデルに精通しているに違いありません。詳細はこちらで確認できます: 6つの帽子をかぶってよりよい意思決定を行うには。
これらの戦略が、あなたやあなたのチームにとって、これまでとは違った考え方を生み出すきっかけとして役立つことを願っています。このシリーズの第2のブログでは整合を取り上げますのでご期待ください。
イラスト: ラシャード・イッサ