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食品安全マネジメントシステム規格(ISO22000:2018) の改訂が進んでいます。

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食品安全マネジメントシステム規格(ISO22000:2018) の改訂が進んでいます。

この改訂は世界の食品セクターにとってどのような意味をもつのでしょうか?

2005年の発行以来、ISO22000は世界中で32,000以上の組織の食品安全マネジメントシステムに採用されてきました(2016年発行のISO年次サーベイによる)。さらに、16,000以上の組織がFSSC22000のプライベート認証スキームの下、認証されていますが、FSSC222000の主要な要求事項はISO22000から持ってこられています。これらを採用している組織の多くが食品製造及び加工セクターのグローバルプレイヤーであることを考えると、この数字は規格が地球規模の食品安全に与える影響は非常に大きいということを示しているといえるでしょう。

ISO22000は発行されてから初めての大幅な改訂版が2018年に発行される予定です。国際規格草案(DIS)が出ており、いくつかの大きな変更が計画されていることが明らかになっています。これは、システムの認証を維持しようとする組織だけでなく、関連する監査/審査プログラムに関与する人たちにも大きく影響してきます。

提案されている主な変更点の概要

マネジメントシステム規格に関して合意されている方針に沿って、ISO2200:2018はISOが策定した附属書SLの構造、つまり10箇条からなる上位構造(HLS)、同一の核となる本文及び共通の用語と定義を採用しています。附属書SLの適用は、マネジメントシステムの適用範囲、トップマネジメントの関与、システムの文書化、組織のニーズに対するリスクに基づくアプローチとPDCAサイクルを用いたプロセスアプローチの重視に関して影響があります。これらの変更点は、同じ構造を持つ他のマネジメントシステムとFSMSとの統合を促進するでしょう。その他の変更では、PRP、OPRPとCCPの違いなど、現行の要求事項を明確化、簡素化するように設計されています。また、今回の改訂では、過去13年間の食品安全に関するアプローチの国際的な取組みも考慮されています。

提案されているマネジメントシステムの変更点の大要

組織の状況及び適用範囲

他のマネジメントシステム規格と同じく、FSMSでも製品及びサービスのサプライヤーのみならず、顧客や消費者に影響を与える上流及び下流の問題を考慮することが組織に要求されています。これは、例えば食品偽装、食品テロや関連する法的問題も含めるかといった食品安全マネジメントシステムの適用範囲にも影響を与えるかもしれません。このことは、マネジメントシステムと製品/プロセス運用双方の食品安全リスクマネジメントについて、関係してくると思われます。

経営層の関与

食品安全マネジメントシステムにおけるトップマネジメントの役割として、食品安全に関するリーダーシップとコミットメントを示す責任が強調されています。リーダーシップやコミットメントには、適切な方針とそれに関連する事業上の目標を立てることが含まれています。マネジメントシステムの計画、コミュニケーション、資源の配分と、システムの適切性、妥当性や有効性の見直しによる改善の促進についてトップマネジメントには全体を監督する包括的な責任があります。

リスクマネジメント

「リスクに基づく考え方」のアプローチがマネジメントシステム規格に盛り込まれたということは、FSMS内のリスクマネジメントがもはや運用レベルにおけるHACCP原則に限られたものではなくなるということです。もちろん運用レベルのHACCPは依然として主要な要素ですが。PDCAサイクルの2つのレベルのサイクルの絵(DISの図1―外側にはマネジメントシステムのPDCAサイクル、内側にはCodexHACCPに則ったプロセスのPDCAサイクルという構造になっている)は、組織のニーズにリスクに基づく思考を適用することの重要性を説いています。ビジネス計画策定、経営目標、改善の機会の特定や資源の配分により、さまざまな原因による食品安全の受容できないリスクを減らしたり、取り除くことを意味しています。

マネジメントシステムの支援

コミュニケーションやニーズといったマネジメントシステムの基本要素に関連する要求事項の多くが明確化され、強化されています。マネジメントシステム開発の外部協力者に対しより厳格な管理を求めるととも、資源の計画策定が要求されています。内部及び外部の要員の力量のニーズについてはより詳細に説明されています。製品及びサービスの供給者についてはより強い管理を確立する必要があります。附属書SLによるマネジメントシステムへの基本的な変更の1例として、「手順書」と「記録」が「文書化した情報」へと変わったことがあります。組織は、使用する文書化した情報の種類や程度を決める自由が与えられましたが、いくつか必須の文書もまだ特定されています。システムの文書管理の方法も確立する必要があります。

運用プロセス

組織の食品安全の運用計画と管理策にPDCAサイクルを適用することがより明確にされました。HACCP原則とコーデックスの規格の最新版に基づき、システムの中のPRP、OPRPとCCPの役割が要求事項により明確化されました。フードチェーンの関連するセクターのPRPの特定に際しては、適用される技術仕様書、ISO/TS22002-Xを考慮しなければなりません。OPRPの管理については新しく「行動基準actioncriteria」が導入され、これはハザード分析から決定されます。「ハザード管理計画」には関連のOPRPとCCPを含まなければならず、食品安全リスクのレベルは異なっていますが、システムの中ではOPRPとCCPは同様の方法で対応されます。トレーサビリティや緊急事態などのその他の要求事項の多くは、厳密になり、さまざまな新しい検証活動が含まれています。

評価及び改善

監視、測定、監査及びレビューによるFSMSパフォーマンスの評価に関する要求事項では、これらの活動を組織全体を横断しておこなう、より統合的、体系的なアプローチを用いることが強調されています。食品安全マネジメントシステムをより有効なものとするために、評価結果は不具合防止に役立てられます。

ステークホルダーにとって意味すること

FSMSの外部のステークホルダーには、顧客、ベンダー、規制当局、認証組織、緊急時対応者、食品安全に関連して組織のパフォーマンスに影響を受ける人々が含まれています。改訂された要求事項によってすべてのステークホルダーが多かれ少なかれ影響を受けると思われますが、おそらくもっとも影響を受けるのは、外部のシステム監査員/審査員でしょう。

監査員/審査員の移行

マネジメントシステム規格のこれまでの改訂の場合と同じく、第三者審査員は移行トレーニングを受ける必要があるでしょう。移行トレーニングでは主に2つの要素がカバーされます。最初の要素は、今回ISO22000に採用されるISOの上位構造関連で、2番目の要素は要求事項の技術的な変更に関連するものです。これらの要素をカバーするには2日間コースが必要ですが、他の分野で活動し、すでにISOの上位構造についてトレーニングを受けている監査員/審査員はその部分のトレーニングを減じることができるでしょう。CQI|IRCAは2017年の年末に計画が出る国際規格最終案(FDIS)の発行時期に合わせてトレーニングの内容を決定します。CQI|IRCAに登録する監査員/審査員は登録の継続のために、決められた期限内にこのトレーニングを受ける必要があります。

結論

最終案の発行へ向け、規格原案にはまだ変更が加えられる可能性はありますが、食品安全に関する責任を管理するために現在ISO22000を使用している組織はシステムに何等かの変更を加える必要があるということは明白です。その変更とは、システムの適用範囲の拡大、リスクに基づく考え方の幅広い適用とトップマネジメントの関与の拡大ですが、トップマネジメントについては、内部及び外部のシステム監査の際には監査員/審査員のインタビューを受ける必要が出てくるでしょう。監査員/審査員は、システム文書の変更をレビューし、食品安全リスクプロセスに追加の要素が正しく組み入れられていることをチェックし、改訂された要求事項が効果的に実施されていること確認することになります。

最初にISO22000が発行されたときのように、BRCGlobalStandards、あるいはFSSC22000やGFSIが承認するその他のプログラムのような食品業界のプライベート認証スキームについても要求事項の改訂が検討される可能性があります。これらのプログラムの改訂もそのうちあるかもしれません。

ISO22000は、認証されている組織、関連のフードチェーン、そして認証業界全般に採用されているので、予定されているISO22000の改訂により、世界中の食品産業に波及効果が及ぶだろうことに疑いの余地はありません。この改訂により、世界中の人々が食品安全ハザードからより守られるようになったら、この改訂は目標を達したと言えるでしょう。

IanDunlop,BScCQPFCQI

CQI|IRCAテクニカル・エキスパート

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