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マネジメントシステム監査に価値を付加するには

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マネジメントシステム監査に価値を付加するには

上級監査員のペドロ・メヒアス (Pedro Meijias) が、監査プロセスが被監査側に価値を生み出す5つの方法について概説します。

監査プロセスに関するジョークがあります。それは、監査の度に同じ嘘をつかれるというものです。嘘をつかれるは、訪問の冒頭の初回会議で、監査員が 「私たちは皆さんを助けるためにここにいます!」と言うときです。

この「おかしさ」は、監査プロセスが、ミスや不適合を発見することを目的とした、長くて押しつけがましい作業であり、そのプロセスはおそらく被監査側にとって役には立たないと被監査側が認識しているという事実に立脚しています。

監査員としては、監査プロセスを被監査者にとって本当に役立つものにするための行動を実施することによって、この「ジョーク」をナンセンスなものにしなければなりません。

そのために、被監査組織の価値創造に役立つ監査プロセスを強化する5つの方法を紹介しましょう。

1. マネジメントシステムの監査を継続的改善のプロセスに組み込む

組織は、監査の結果をプロセス強化のためのインプットとして活用すべきです。特定された強みからスタートし、それを使って、特定された不適合を是正するための処置を定義し、実施し、その有効性を測定します。

マネジメントシステムが組織の目標、目的、及び活動と統合されれば、監査はもはや強制的なもの、外部的なもの、日常的な活動とは異なるもののであるとは感じられなくなります。

2. 不適合の検出だけでなく、改善の機会を特定することに監査を集中させる

上記と同様に、監査結果は、マネジメントシステムの不具合の特定のみに焦点を当てるべきではありません。監査は失敗や弱点探しのためのものではなく、むしろ組織内の強みを特定するための開かれた場であるべきです。

賢明な組織は、その強みを活かしてあらゆる弱点を克服し、より効果的な組織となります。したがって、ベストプラクティスを開発するためには、不適合を特定する必要があります。

3. データ分析ツールを使用して、マネジメントシステムのパフォーマンスを客観的に把握する

品質マネジメントシステムとそのパフォーマンスに関連するデータの分析 (例えば、主要工程指標など) は、通常、組織が十分に注意を払っていない分野です。これは、企業の進化に関する重要な兆候を見逃すことを意味し、その結果、組織は事実に基づいた意思決定を行えなくなる可能性があります。

一般的に、データは、組織のさまざまなレベルで適切な指標を定義することによって、システムの進化を監視するために使用されます。しかし、ほとんどのデータには、プロセスの進捗状況、限界、傾向に関する非常に貴重な情報が含まれており、それらは日々の情報のフローから抽出する必要があります。その流れの中で、私たちのプロセスが進行している間に、私たちの目の前で起こっている多くの物事の原因を探る機会があります。

4. 監査及び改善策の実施への従業員の積極的な参加を奨励する

品質マネジメントシステムの、従業員が影響力を持つ領域の改善に貢献する活動を提案し、実行する機会を提供する仕組みを構築し、実施する創造性を奨励しましょう。

インセンティブや賞品は通常、従業員のやる気を引き出す良い方法ですが、それだけではありません。最も受け入れられ、実施されている改善のアイデアや取り組みは、トップマネジメントから押し付けられたものではなく、さまざまな運用レベルから生まれます。

組織はそれぞれ異なるものであり、トップマネジメントは従業員と関わり、プロセスを改善するのに役立つような仕組みを試し、承認することのできる想像力を持つべきです。

5. 内部監査を十分な頻度で実施し、マネジメントシステムを常に進化させる

内部監査をどの程度の頻度で実施するかは、プロセスの改善活動を特定して実施する上で非常に重要な要素です。

組織のすべての領域を対象とする短時間の監査では、各プロセスや部門の範囲が非常に限定される傾向があります。対照的に、より広範で深い監査は、組織の最も多くの領域を考慮し、評価期間内の異なる時期に実施されます。

組織にとってこのプロセスの付加価値を高める仕組みを設計し、定義し、適用することは、マネジメントシステムに対する監査の計画、実行、評価及び改善を担当する専門家の責任です。課題は常に、企業目標を達成するためにプロセスを可能な限り効果的かつ効率的にすることに貢献することです。

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