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技能としての質問術 - 5つの秘訣

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技能としての質問術 - 5つの秘訣

quality.org の英文記事はこちら

答えを求めるとき、自分の質問の仕方が正しいかを立ち止まって考えることは滅多にありません。しかし、監査に携わる者にとって、このスキルは重要であり、過小評価してはなりません。

正しい問いかけをしていますか?

ダグラス・アダムスの『銀河ヒッチハイク・ガイド』では、「超知的で汎次元の存在」がディープ・ソートと呼ばれるスーパーコンピューターを構築し、「生命、宇宙、そしてすべて」の答えを探っています。コンピューターが答えは「42」だと告げると、彼らはがっかりし、実際には質問の内容を分かっていなかったことに気づきます。

質問することが重要な役割を果たす監査の仕事に就いている人は、このことを心にとめておいてください。汎次元の存在と同じように、私たちは自分の使う言葉、質問のタイミング、そして尋ねていることの複雑さについて、どれだけの頻度で立ち止まって考えているでしょうか? 問いかける質問を慎重に検討することで、正しい情報を確実に入手でき、最も効率的な方法で収集することができます。

1. オープンか、クローズか?

「楽しい休暇を過ごされましたか?」という質問は、イエスかノーしか答えられないので、クローズクエスチョンです。「休暇はいかがでしたか?」は、答え方を回答者に委ねるので、オープンクエスチョンです。

オープンクエスチョンはより多くの情報を提供しまが、単に確認が必要な場合はクローズクエスチョンが適しています。例えば、「今日帰ってきたのですか?」などです。

オープンクエスチョンでは、特に饒舌な回答者の場合、情報が多すぎることがあり、本当に必要な詳細を選ぶのにより多くの時間を費やす羽目になります。

セミオープンな質問を使うと、詳細な回答を求めつつも、詳細過ぎず、より効率的になる可能性があります。例えば、「食べ物はどんな感じでしたか?」ではなく、「食べた中でいちばんおいしかったのは何ですか?」と聞くということです。

純粋にオープンな質問は、回答者を圧倒する可能性があり、回答者は自分の仕事の重要な側面をどこから説明し始めたらよいかわからなくなるかもしれません。考えるべきことを絞り込むことで、相手を安心させることができます (つまり、よりよい答えを得ることができる): 例えば、「最も問題となる3つの問題は何ですか?」「最もよい例は何ですか?」などです。

2. 自らのインナーチャイルドを受け入れる

単純な、あるいは当たり前の質問をしたからといって、馬鹿にされるのではないかという恐れを捨てなければなりません。世界について知ろうとする幼い子どもたちは、知らないことがどのように見えるかについて何も心配しません。ただ尋ねるだけです。理解できない場合は、「なぜ」、「なぜ」、そして「なぜ」と繰り返し尋ねます。

そんな「たわいない」質問をすることで、私たちは周囲の人々に、当たり前に持っている先入観なしに問題を考えさせるようにさせることができます。枠に捉われずに考えることで、これまでどうしても解決できなかった問題に対する答えを導き出すことができます。

3. 好奇心を持て、実用にこだわるな

細部にまでこだわるときもあれば、何物にもとらわれず考えるときもある。好奇心のための好奇心です。

「なぜこの道路は水曜日の夕方には渋滞するのに、木曜日には渋滞しないのか?」と疑問に思うかもしれません。その答えが直接役に立つとは限らないですが、例えば新しい住宅プロジェクトの計画に反映させることができる何かを教えてくれるかもしれません。これを習慣にするように心がけましょう。役に立つことは、あとからやってくることもよくあります。

4. 思い込みは危険

私たちは皆、思い込みをします。そうしなければなりません。そうでなければ、物事を成し遂げるのにもっと時間がかかるでしょう。

監査員にとって、推定の危険を回避する明確な方法があります。ただ尋ねればよいのです。単純なクローズクエスチョンをすることで、間違った思い込みを払拭すれば、将来のフラストレーションを大幅に軽減することができます。当たり前のことを聞くのがバカバカしいと思うなら、2つ目のポイントを参照してください。

5. タイミングがすべて

質問が適切か適切でないかではなく、単に質問するタイミングが正しいか正しくないかだということが、時にあります。

会話の冒頭では、聞き漏らすことがないようにオープンクエスチョンを幅広く行い、間違った方向に進まないように思い込みを疑ってかかりましょう。

会話が進むにつれて、会話の最初の段階で役に立つと思ったことをセミオープンな質問で絞り込み、終盤ではクローズクエスチョンを使って明確にしていきます。

このアプローチは漏斗に例えることができます。最初に幅広い情報を集め、最後に細かく絞り込みます。

6. サウンド・オブ・サイレンス

ある賢者がこう言いました、「私たちには2つの耳と1つの口があります。耳と口はその割合で使うべきです」。

回答者に全神経を集中させ、相手の答えに耳を傾けてください。何を言っているのかだけでなく、どのように言っているかに注意してください。ニュアンスや身振り手振りで、何をフォローすべきかを判断することができます。例えば、「生産プロセスについて話していたとき、少し不確かなように聞こえたが、もう少し掘り下げてもいいですか?」といった具合です。

気まずい沈黙をおしゃべりで埋めたい衝動に駆られるかもしれませんが、我慢してください。回答者はただ考えているだけかもしれず、口を挟むと思考が中断されるかもしれません。また、笑顔でうなずきながら黙っているのも、相手にもっと情報を話すようさりげなく促すいい方法です。

沈黙が最良の質問であることもあるのです。

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