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ISO 44001:2017 提携事業関係マネジメントシステムの監査

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ISO 44001:2017 提携事業関係マネジメントシステムの監査

quality.org の英文記事はこちら

WSP UK の Senior Quality & Collaborative Working Consultant であるルイーズ・ジョーンズ Louise Jones が、ISO 44001:2017 と提携事業関係 (collaborative business relationship) マネジメントシステムの監査について詳しく説明します

ISO 44001:2017 とは

ISO 44001:2017 collaborative business relationship (CBR) management systems - Requirements and framework 提携事業関係マネジメントシステム-要求事項及び枠組み* は、協働作業のための多くの枠組み及び/またはモデルの1つです。例えば、「Six Critical Success Factors Model 6つの重要成功要因モデル」 (Constructing Excellence 卓越性の構築)、「Alliance Model 提携モデル」、そして最近では「Project 13 プロジェクト13」(Institute of Civil Engineers 土木学会) などです。また、ISO9001:2015の0.2項にある7つの品質マネジメントの原則の1つにも「Relationship Management 関係性管理」があります。

* ISO 44001:2016 collaborative business relation management systems – Requirements and frameworkは「提携事業関係マネジメントシステム - 要求事項及び枠組み」として日本規格協会から邦訳版が出ています。

ISO 44001、すでにある規格のプロセス統合、及びマネジメント

ISO 44001:2017を導入する組織は何を達成したいと考えているのでしょうか?

第一に、あらゆる規模の組織において協力関係を確立し、改善するための戦略的枠組みです。また、イノベーションと継続的な改善にあたって、組織とそのパートナーのために付加価値を創造すること、さらに、それらの質的な要因と関連するリスクを体系的にマネジメントし改善することも重要です。

ISO 44001は、既存のISO 9001:2015 品質マネジメントシステム及び監査/審査プログラムに完全に統合することができます。上記の目的は、すでにある品質マネジメントシステムに完全に合致します。ISO 44001は、ISO 9001:2015マネジメントシステムに文化の改革と組織変革のためのツールであり、すでにある継続的改善目標を促進するために使用できます。

ISO 44001には、企業レベルや、提携事業関係 (CBR) を証明するプロジェクトに組み込む必要がある3つのテーマがあります。監査は、箇条 9.2内部監査の重要な要求事項です。

3つのテーマは次のものです:

  • 共通のビジョンと協力的なリーダーシップ common vision and collaborative leadership
  • 協力的な文化と行動 collaborative culture and behaviours
  • 協力プロセスとツール collaborative processes and tools

統合された監査プログラム

品質の監査プログラムはリスクに基づきます。ISO 44001:2017は、品質 quality、事業 business / 契約リスクマネジメント contract risk management、職業心理 occupational psychologyのすべてに基づいた規格であると言えます。

関係リスクマネジメントと問題解決プロセスがプロセス管理され、体系的に管理されていることが重視されるのは、元となったBS11000規格から見られたものです。定性的なプロセスは定量可能なプロセスに大きな影響を与えます。非協力的な行動や組織の文化の違いは、プログラムの遅延につながり、成果物の遅れとなり、組織の信用と提携することによる思い設けぬメリットのどちらもが犠牲になる可能性があります。

CBR監査員の研修と力量

外部認証機関は、何をもって正式な CBR 審査員の能力とするかについて、経験的な能力を認める場合や、 IRCA に登録する ISO 9001:2015 内部監査員または主任審査員で十分であるかどうかなど、そのアプローチはさまざまです。BSIやその他の認証機関は、ISO 44001に特化した審査員トレーニングを提供しています。私はPera Neville Clarke/ICW BS11000審査員トレーニングを受講し、その後BSI の ISO 44001移行トレーニングを受講しました。

提携事業関係の監査は、ISO9001の監査とは結構異なる場合があります。提携事業関係の監査には、職業行動プロセスマネジメント occupational behavioural process management、事業目標 business objectives、関係リスク relationship risks、そしてそれらがプロジェクトの成功に与える影響を理解すること、さらに継続的改善とリーダーシップのコミットメントを評価することが含まれます。

必要なのはISO 9001:2015だけだ、というような否定的な態度で臨むべきではありません。どのようなプロセスにおいても、最大の変数である人的要素を理解することが不可欠です。例えば、協働リーダーシップの行動には、協働作業プロジェクトチームの行動とは異なる追加の要求事項があります。さらに、事業リスクマネジメント、主要業績評価指標、契約事項などのプロジェクト管理の項目も含まれます。

通常、2つ以上の異なる組織から生じた関係を監査することになます。CBRマネジメントシステムでは、当事者の共同活動に対応する必要があります。多次元的な関係は、関係の文脈やライフサイクル、組織のコミットメントによって異なります。そのため、一般的なISO9001に基づくプロセス審査よりも、より微妙なアプローチが求められます。

ISO 44001:2017規格では以下のように記載されています。「These evolving themes impact the behaviour and organizational culture of collaborating organizations to ensure they are effective, optimized and deliver enhanced benefit to the stakeholders through collaborative approaches. これらの進化するテーマは、協働する組織の行動と組織文化に影響を与え、協働アプローチを通じて、効果的かつ最適化され、利害関係者にさらなる利益を提供することを確実にする。」

なお、トレーニングを補足するものとして、「ISO 19011:2018 マネジメントシステム監査のための指針」があります。

どのような組織を監査するのか?

協力関係の状況を確認します。提携関係 (alliance) は、合弁事業 (joint venture) パートナーシップとは異なる方法で審査されます。さらなるガイダンスについては、Institute for Collaborative Working に問い合わせたり、 CBR基準を参照したりしてください。

提携事業関係や組織の種類には、以下のようなものがあります。

  • 企業マネジメントシステム、運用、組織及びプロセス管理 corporate management system, operations, organisations and process controls
  • 共同ネットワーク collaborative network
  • プロジェクト project
  • コンソーシアム consortium
  • 拡張エンタープライズ extended enterprise
  • ジョイントベンチャー joint venture
  • クラスター cluster
  • 提携プログラム partnering programme
  • ビジネスエコシステム business eco system
  • アウトソーシング outsourcing

監査のアプローチ

ISO 44001:2017表B.1-RMP: 一般内容ガイドは、監査チェックリストのクイックスタートとして最適です。ISO 44001の監査のアプローチは、誰が、何を監査するかによって異なります。

元の組織 と 協 力 す る 場 合 は 、リ ス ク の 高 い 領 域 に つ い て 、英 国 の 上 級 担 当 者  (Senior Executive Responsible = SER) 及び運営グループに相談してください。また、次についても検討する必要があります。

  • CBRマネジメントシステム/ 関係監査プログラムの全体的な目的は何か、またその事業目的は何か?
  • 前年の内部監査及び前年の認証審査における不適合や観察事項は何か?
  • 全体的なギャップ分析を行う時間はあるか?協力関係は、規格のどの段階にあるのか?

テーマ別監査では、監査員は組織全体の整合性を確保し、改善の機会を特定することで、監査員は特定のテーマに集中し続けることができます。

このプロセスアプローチは、人材トレーニングによるスキル開発につながるだけでなく、関係者の協調スキルや能力を向上させることにもつながります。これは、リスクマネジメント、問題解決、主要取引先マネジメント、コミュニケーションなどの重要な分野に焦点を当てながら、プロセスのインプットとアウトプットにプラスの影響を与えます。

忘れてはならないのは、CBRが現在どの段階にあるのかを常に自問し、それを監査することです。CBRは反復的です。

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