公共部門に製品/サービスを提供する組織のための規格 BS 95009: 2019 とは?
BS 95009: 2019 (当初の番号はBS 9009:2019) は 公共部門に製品及びサービスを提供する組織に対する調達に関する要求事項を定める英国の国家規格であり、2019年に発行が予定されています。BS 95009のエキスパートである、ピアソンアソシエイツの取締役、マイク・ピアソン氏がこの規格とその背景を説明します。
英国規格『BS 95009:2019 – 公共部門の調達 製品及びサービスを提供する組織に対する一般要求事項』は、公共部門の調達に関する規格です。規格の策定は英国政府により始められ、製品及びサービスを提供するために適合する必要のある測定可能な要求事項を満たしている証拠を示すための枠組みを提供することを目的としています。
政府は、特に公共部門について、調達プロセス及びサプライチェーン内のクオリティ及び取引関係の透明性に懸念を抱いていました。この懸念は、昨今注目を集めている公共部門の大型の事業契約の崩壊により高まっています。例えば、ファシリティマネジメントと建設サービスを提供する英国の多国籍企業であるカリリオン (Carillion) は2018年1月に清算され、多くのプロジェクトが未完のままとなりました。
この規格は、調達プロセスに参加している人が、公共部門の契約に入札し、調達を行う組織の信頼性と能力を評価するための枠組みを提供します。(中小企業のオーナーから大企業のCEO まで) 対象となるのは、トップマネジメントです。
評価基準の範囲は膨大です。例えば、組織の状況、組織のガバナンス、リスク及び機会のマネジメント、財務及び業務の説明責任、業績の履歴、品質マネジメント及び保証 (ISO 9001の認証以外も含む)、測定、監視及び評価、従業員及び改善などが含まれています。
ISO 9001:2015 – 品質マネジメントシステムはBS 95009 の基準の多くのものをカバーしていますが、BS 95009は測定可能な基準に、より具体的な測定可能な要求事項を組み込んでいます。
測定可能な要求事項が拡張されたことにより、公共部門の調達サプライチェーンに入ろうとしている組織で働くクオリティプロフェッショナルは重大な影響を被ることが考えられます。しかし、この規格の要求事項を満たしているかを確認するために必要な作業は、トップマネジメントからクオリティ部門に単純に委譲されれば済むものではありません。クオリティチームが提供するのは、規格の要求事項が満たされているかをトップマネジメントが公平に評価するための情報です。
発行までと発行後
英国規格協会 (British Standards Institution = BSI) は、政府部門や行政法人の代表とともに、製造及びサービス部門、中小企業から大企業まで幅広いメンバーで構成されるワーキンググループでBS 95009: 2019 の策定を行っています。
この規格について、4月2日までコメント募集が行われましたが、募集締め切り後、すべてのコメントをワーキンググループで検討し、規格の意図と運用の改善に役立つコメントは、規格発行前に規格に取り込まれます。
このBSI規格は国際規格の基となる可能性が非常に高いです。というのは、スウェーデンがすでにISO に対し、BS 95009:2019をその目的で使うことを検討するよう提案を提出しているからです。しかし、BSI規格の策定が完了し、発行されるまで、この国際規格化は持ち越すということで合意に達しています。