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食品安全審査に対する信頼を築く

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食品安全審査に対する信頼を築く

Global Food Safety Initiative (GFSI:世界食品安全イニシアチブ) のSenior Technical Manager であるMarie-Claude Quentin氏が、審査および認証プロセスへの信頼の問題をGFSIがどのように解決していくのかについて説明します。

パンデミックによって審査プロセスは突如大混乱に陥り、食品安全の第三者認証は最も困難な時期を迎えました。

しかしながら、この混乱の時期は、第三者食品安全認証が直面している重大な脅威の高まりを浮き彫りにする役目を果たしました。例えば、審査員を惹きつけ、つなぎとめることがますます難しくなっていることや、技術の進化に対応した審査プロセスを維持することの難しさなどです。

世界食品安全イニシアチブ (GFSI) は、これら脅威に関する議論に参加しており、GFSIメンバーからそれらの脅威に対し転機となるような解決策を見出すよう求められています。

食品安全コミュニティ

GFSIは、消費財を扱う会社が組織する非営利団体であるThe Consumer Goods Forum (CGF:コンシューマー・グッズ・フォーラム) が立ち上げた行動連合 (Coalition of Action) です。GFSIでは、多部門にわたる食品安全コミュニティが参集し、“すべての消費者に安全な食品を“のビジョンのもと、食品安全システムの調和と改善を協力して推進しています。特に、GFSIはこの業界の食品安全認証プログラム (食品安全スキーム) を一定の水準に照らして評価(ベンチマーク評価)します。その厳格な評価と監視により、以下が保証されます: 

GFSIが承認した認証プログラムには、食品業界で求められる包括的な食品安全監査に要求される要素がすべて網羅されている。

GFSIが承認した認証プログラムに照らして認証された組織は、安全な製品を一貫して生産する堅固な食品安全システムを確立している。

これにより、“一度認証されればどこででも認められる (once certified, accepted everywhere) ”アプローチが可能になり、複数の規格に対する審査の重複による非効率性を軽減することができます。

信頼はどのようにして損なわれたか

GFSIメンバーは、第三者食品安全審査の結果に一貫性がないと思われることについて、懸念を強調してきました。その問題を定量化するためのパフォーマンスデータは十分ではありませんが、本質的に、第三者認証における信頼と信用がゆっくりとではありますが確実に蝕まれているという感情が食品業界内にはありました。これは、認証された事業所間で規格の不整合が見られることや、事業所訪問時に食品安全基準にあまりにも頻繁に失望させられることが主な原因でした。さらに、第三者審査と大部分が重複する第二者監査が増加していることも信頼の失墜のもう一つの明らかな兆候として挙げられました。

GFSIはこの状況の大規模な見直しを行う権限が与えられ、第三者食品安全認証に対するステークホルダーや独立した専門家と協議を行いました。これにより、信用と信頼の改善を推進するための相互に関連するプロジェクトの枠組みが整いました。2020年3月、この枠組みは ‘Race to the Top’「トップへのレース」と名付けられ、正式に立ち上げられました。 

>「Race to the Top」日本語版

この「レース」の第一ステップはGFSI ベンチマーキング要求事項2020年版の発表でした。ここでは、GFSIが認める認証プログラムに対して新たに強調された要素を紹介していますが、それには、食品安全文化、必須の抜き打ち監査、リモート監査時の情報通信技術の使用についての正式な枠組みが含まれます。現在、140,000以上の組織に順々とこのベンチマーキング要求事項が浸透してきています。また今秋にGFSIは、認証された事業所、認証機関、審査員に対して大規模な調査を行い、企業の食品安全慣行に対するこれら変更の影響を正式に測定することを計画しています。

進行中のプロジェクト

ただこれは始まりに過ぎません。制度上の問題に取り組むためのより根本的な変化が求められ、さらに4つのプロジェクトを立ち上げ、以下について取り組んでいます。

  1. 食品安全審査員の継続的専門的開発(CPD)及び評価登録の提供者のためのGFSI承認プロセスの作成。昨今においてこのような提供者の価値は明らかでありながらも、極めて低く評価されています。GFSI承認のプロセスを導入することにより、会計監査などその他の監査の専門職と同等の高く評価された食品安全の審査という明確な職業を展開することが私たちの願いです。このプロジェクトは現在、幅広く公開協議 (public consultation) を実施しているところです。

  2. 継続的改善を推進するため、自己による報告とパフォーマンス測定の要素を追加することにより、認証プログラムオーナー(CPO)に対するGFSIの管理を強化します。

  3. 認定機関及びCPOにおける認証機関の共同管理の実現。GFSIは認証機関を直接管理しませんが、GFSI認定認証プログラムの成功には認証機関が重要な役割を持つことを認識しています。そのため、私たちは、認定機関、認証機関、CPOの三者と共同で認証機関の重要パフォーマンス指標(KPI)の交換に基づいたアプローチに取り組んでいます。KPIの監視は、パフォーマンスの透明性を生み出し、優秀な認証機関が高く評価するために行われます。

  4. GFSIの承認したプログラムに照らして認証され、公開を申し出たすべての組織の認証書のステータスに認証書プラットフォームを介してアクセスして妥当性確認できるようにします。これにより、認証書の真正性が検証され、認証された組織のステークホルダー内での認知度を高めることができます。

信頼の再構築が継続中です。GFSIは、ワーキンググループ、ステークホルダーとの協議及びライブウェビナーを通して「Race to the Top」に引き続き取り組みます。関心を持たれるステークホルダーの皆様からのインプットとフィードバックを歓迎いたします。

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