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校正とISO 9001/ ISO 9002、ISO/IEC 17025

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校正とISO 9001/ ISO 9002、ISO/IEC 17025

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あらゆる種類の電子機器に UKAS 認定校正サービスを提供している Calibrationhouse 社のサービス セールス マネージャー Steve Winder 氏は、「試験装置を正しく動作させるためには、その測定精度を維持することが非常に重要です」と言います。

校正の重要性

医療、製造、職場など幅広い分野で使用されている機器が、公表された性能仕様を満たし続けていることを保証するためには、試験及び測定機器の校正が不可欠です。

正確な測定は、すべての産業プロセスやシステムの基本要素であり、高品質の製品やサービスを提供するためには欠かすことができません。計測器に関して言うと、定期的に校正を行うことが、電気あるいは電子機器や設備の監視、測定、試験に使用する機器の信頼性を確認する唯一の手段です。

校正は、測定値を既知の基準値と比較するプロセスです。国内及び国際規格に対する校正の有効なトレーサビリティは、承認プロセスや『ISO 9001:2015 品質マネジメントシステム - 要求事項』や『ISO 9002:2016 品質マネジメントシステム - ISO 9001:2015の適用に関する指針』などの品質規格との親和性を確保するために重要です。

また、トレーサビリティは、ある機器がどの国家規格や国際規格に照らしたものかを表明するものです。計測機器は、国際規格や国内規格が頂点にある一種のヒエラルキーを形成しています。

トレーサビリティの確立

校正ラボラトリは、自身の測定標準と測定器の国際単位系[SI]に対するトレーサビリティを、一次標準にリンクする校正、または比較の切れ目のない連鎖によって確立する必要があります。測定のトレーサビリティは、SI 単位に厳密には基づかないけれども、比率または定義によって導出できて 、すべての使用者が合意したコンセンサス規格に対しても確立することができます。

ISO 9001 や ISO 9002 の品質マネジメントシステムと適合するためには、測定値が国家規格に対してトレーサブルでなければならない場合があり、またこれらの測定の不確かさについて、すべてのプロセスが制御下にあり、指定された要求事項内で製品が機能し適合することが保証できるというレベルで知る必要があります。

校正証明書は、企業が宣言した品質保証レベルに裏付けを与えるために、機器の適切な校正を実施していることを証明するものです。

校正に測定不確かさが記載されていなければ、完全とは言えません。『ISO/IEC 17025:2017 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項』は、国際的に合意された方法によって算出された測定不確かさを全ての校正証明書に示さなければならないとしています。また、証明書には国家規格に対するトレーサビリティを示すとともに、使用した試験、試験した製品、採用した試験方法の表示も必要です。

ISO/IEC 17025は、試験及び/又は校正を実施する能力に関する一般要求事項を規定し、標準的な方法、標準的でない方法、及びラボラトリが開発した方法を用いて実施する試験及び校正を対象としています。ISO/IEC 17025は、試験及び/又は校正を実施するすべての組織に適用でき、これには例えば、第一者、第二者及び第三者ラボラトリ,並びに試験及び/又は校正が検査及び製品認証の一部を形成するラボラトリが含まれます。

英国では、UKASが校正及び試験ラボラトリの認定を行うことを政府によって認められた国家機関です。UKAS認定校正機関が発行する証明書にはUKASのロゴが表示され、国家標準へのトレーサビリティがあるものとして審査員に認められます。

しかし、製造者の仕様に対する校正で十分な場合は、UKASから正式に認定を受けていない「非UKAS認定」ラボラトリであっても、ISO/IEC 17025の要求事項を満たしているラボラトリであれば校正を実施することができます。

これら、BSI認定校正施設は、国家標準にトレーサブルなシステムとプロセスを提供し、一般にUKASによって検証された個々の機器または装置を使用して、有効な校正証明書を発行することができます。

製造者の仕様に対する校正は最も一般的な要求であり、機器が正しく動作し、メーカーが公表している性能仕様の範囲内にあることを保証するために必要な最低限の校正要求事項です。

認定校正証明書

すべての試験装置に対する認定された校正証明書の実際の要求事項は、装置のアウトプットが企業のプロセスと製品に反映される保証のレベル、つまり製品の目的適合性の重要性によって決まります。

品質と安全衛生の問題が、校正サービスの需要を後押ししています。また、機器の種類とその用途によって、校正の頻度が決まります。使用頻度の高い測定器は、より専門的で使用パターンが限定される他の測定器よりも、より頻繁に精度をチェックする必要があることは明らかです。

一般的に、ほとんどの試験機器の校正は、通常、年1回が推奨されています。例えば、16 Edition IEE Wiring Regulations の電気設備テスターや類似の機器では、チェックボックスが用意されており、正式な校正期間の間に機器の稼働中の精度を確保するための簡単で効果的な手段を提供しています。

UKAS認定ラボラトリによる校正を必要とする機器とは、通常、ユーザーの製品またはサービスの測定値のトレーサビリティを確立するために使用される試験機器のうち最も重要なものが該当します。しかし、ほとんどの試験機器では、通常、製造業者の仕様に合わせた校正で許容されます。

許容できるサービスを請負業者が提供し続けることを保証する上で、すべての機器の正確な校正の重要性を軽視することはできません。校正分野における管理や知識が不足していると、結果として提供されるサービスの質に悪影響が及ぶだけでなく、最終的には健康や安全に関する規制を含む規制要求事項を満たせなくなる可能性があります。

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