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監査の戦略的アプローチに取り組む

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監査の戦略的アプローチに取り組む

Photo credit: Natee127

中東のVeolia Water TechnologiesでQuality Health and Safety Executive を務める Hadi El Cheikh 氏が、監査当日に監査を成功に導く戦略的アプローチについて説明をします。

>quality.org の英語原文記事はこちら

ほとんどの方は、第三者審査員が来ると、品質管理責任者に会って、品質方針、マニュアル、手順書について尋ねるのに審査プロセスの40%以上の時間を使っていた時代を今でも覚えているでしょう。ISO 9001:2015改訂後も、ほとんどの審査員は品質管理責任者を探し、品質マニュアルがあるかどうかを尋ねて、それをチェックしています (これは今では要求されていいないにもかかわらず)。審査員はなぜ、このシナリオに見られる時代遅れの文書主体の審査に固執しているのでしょうか。ISO の改訂に合わせて、審査プロセスを見直さなくてもよいのでしょうか。

監査員として、私たちはだれもが異なる監査プロセスのシナリオをもっています。1つ目は「ランダム」なシナリオで、クライアントの組織内のすべてのプロセスをカバーするために、3年間の認証検証サイクルのためチェックリストを用意するというものです。2つ目は、製品ベースの審査で、監査員がプロセスの最終ラインにある製品やサービスを取り上げ、それを逆にたどっていくことで全部門の監査を行うというというシナリオです。3つ目は、監査員が組織の内部統制文書に書かれていることをチェックし、実際に行われていることと比較するシステム審査です。

監査員として、論理的に説明できる監査のシナリオから十分なものを得られていますか?監査員として、事業の戦略的計画と実行をより効果的に評価するために、さらに深く掘り下げていくべきではないでしょうか?私たちは、組織の継続的改善を支援するために雇われているのではないでしょうか?戦略的監査についてどう思いますか?

さあ、始めましょう

最初に、クライアントのトップマネジメントを訪問して、戦略計画、達成したいビジョン、プロセスに枠組みを与えるミッションの境界を理解することから始める必要があります。次に、クライアントの事業において確立している戦略マップやバランススコアカードを見て (描かれているものや利用している方法が何であれ、柔軟に対応するように)、4つのレベル (財務、顧客体験/満足、オペレーショナルエクセレンス及び人財のマネジメント) の中から1つ選択するか、顧客やオペレーショナルエクセレンスに共通して関連する可能性があるものを選択しなければなりません。

品質監査員なら、クライアントの財務目標はスキップし、代わりに組織の外部及び内部の課題、利害関係者のニーズ及び期待、リスクを排除/軽減するための管理計画に釣り合うグローバル戦略計画をざっとチェックすることができるでしょう。

次に、監査員は、戦略的な目標を1つ選択し、その実行ステップを探します。その後、クライアントの事業の運用部門に行き、目標を確認し、監査プロセスを行う目標を選択します。監査員は、それらの目標が組織の運用目標の戦略的方向性に沿っているかどうかを問いかけなければなりません。会社のビジョンに合致しているかどうか。それとも、特定のタスクのための特定の目標に過ぎないのかどうか。あるいは、プロジェクトから収集/照合され、提供された顧客のフィードバックに直行し、それをトレースバックすることにより、顧客のフィードバックのプロセスだけでなく、これまでに自分が行ってきたプロセス審査を網羅することもできるでしょう。

顧客のフィードバック

この段階で、監査対象の組織が NPS (Net Promoter Score ネット・プロモーター・スコア) のフィードバックシステムを利用していると仮定してみましょう。NPSは、満足のレベルを0から10で問うツールです。スコアが 9または10の場合は、その顧客は推進者 (promoter) であり、完全に満足しており、その会社の製品やサービスをほかの人に強く推薦することを意味します。スコアが 7または8の場合、顧客は受動的 (passive) で、確実に満足しているわけではないことを意味し、6以下のスコアは批判者 (detractor) であり、ほかの人に対して製品やサービスを悪く言い、まったく不満足であることから、戻ってくる可能性が低いことを示しています。

監査員としては、顧客からのフィードバックを批判者 (detractor) の採点から把握することは、不適合事項だけでなく、改善の機会を特定し、是正処置のプロセスと活動を確立するための指針となることに注意すべきでしょう。そうすれば、監査される組織がSWOT (強み strengths、弱み weaknesses、機会 opportunities、脅威 threat) 分析を作成し、改善するのに役立ちます。また、このプロセスを正しく実行することで、不適合を指摘して脅迫する警察官ではなく、組織の改善を助ける人として扱われる可能性が高くなります。

人財マネジメントの基本レベルは、事業のさまざまな機能や階層の従業員を監査するために監査員がおこなった監査上の決定に確信が持てるかを確認するための最後のステップです。これにより、組織の戦略が適切に実施されているかどうか、明確な検証ポイントが得られます。それは、異なる部門内のすべての従業員に戦略が明確になるからです。

被監査者への質問

「それの何が自分に関係あるのか」というのは、上級経営層/リーダーシップチームが、従業員に説明するための問いかけですが、従業員が組織のビジョン、使命及び戦略目標を理解し、用いるのを助けます。監査を受ける従業員は、監査員の以下の質問に答えられるようにならなければなりません。

  • ビジョンを達成するために、会社はどこに向かおうとしていますか?
  • 会社の事業は何のために存在しているのですか?
  • 組織における、あなたの個人的な、そして部署の目標 (goals/objectives) は何ですか?
  • あなたの個人的な目標は、事業の戦略的方向性にどのように貢献していますか?

これらの質問は、監査員が、プロセスの小さなミスを探して回り、組織が達成しようとしている大局を見失うのではなく、組織が適切に機能しているかを判断する役に立ちます。

監査プロセスを終えたのちに、より確信をもって、組織の重要な関心事、ビジョン、使命、戦略計画をよりよく理解して、最終会議のためにトップマネジメントのところに戻ることができます。実施計画の一部であることは、プロセスを継続的に改善するのに役立ち、上に述べた4つの視点は、会社の計画した戦略目標を達成するよう会社を駆り立てます。

※IRCAの各詳細は下記よりご確認頂けます。

CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018