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監査に失敗する方法 - Audit SIGのLinkedInグループからの学び

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監査に失敗する方法 - Audit SIGのLinkedInグループからの学び

quality.org の英文記事

CQIの Audit SIG* のLinkedInグループのメンバーからの意見をもとに、監査を実施する際に避けるべき落とし穴のいくつかを検討してみましょう。

*Audit SIG (Special Interest Group) はCQI IRCA のメンバーがボランティアで運営する学習グループ。各トピック (ここでは監査、ほかにも統合マネジメントシステム、デミング、持続可能性、原子力、鉄道など、さまざまなグループがある) に関心を持つメンバーが集い、学習活動や研究活動を行う。特に新型コロナウイルス感染症パンデミック以降、ソーシャルメディアやウェブ会議システムの利用などのオンライン活動の活発化により世界のさまざまな地域からの参加も増えている。

どのような分野で働くにしても、完璧を目指すのは人間の本性です。ただし、ベストプラクティスを研究するのと同じように、やってはいけないことを研究することでも多くのことが学べます。Audit SIGのLinkedInグループのメンバーから寄せられた意見をもとに、Plan、Do、Check、Act (PDCA) の枠組みに照らし合わせながら、監査員が避けるべき落とし穴、そして監査員がすべきことについて考察します。

計画性がない

Fail to prepare, prepare to fail (備えあれば憂いなし) という格言があります。監査員にとって重大な失態は、割り当てられた仕事に対して十分な準備をしないことです。これは個人的な失態である場合もあれば、監査マネジメントプログラムが有効でないことが原因である場合もあります。どのような理由であれ、準備不足の監査員が適切で有効な仕事をすることはできません。

所定のチェックリスト (多くの場合、インターネットからダウンロードしたもの) を特効薬であると信じて、使用して監査の負担を軽減できるなら、これは非常に魅力的でしょう。経験から言って、これは実際の監査の妨げになるだけです。この監査員には目下の監査に当事者意識がないということですから。このことは、チェックリストから取られた、被監査者に対する文脈的におかしな質問を見れば明らかです。

すべてを知っていると思う

知ったかぶりは嫌われます。それは、友人や家族と食事をしているときと同様に、監査をしているときも同じです。

監査員は監査の達人かもしれませんが、監査を行うすべての組織の専門家になれるわけではありません。監査先の組織で働く人たちは、どんな商品やサービスであれ、それを生み出す専門家なのですから、その人たちの言うことを無下に扱ってはいけません。耳を傾け、学んだことをしっかり受け止めましょう。

沈黙の力を使いこなせない

上の続きですが、沈黙は金になり得ることを決して忘れないでください。自分ばかりがしゃべっていたら、どうやって話を聞き、学ぶことができるでしょうか?適切な質問をしないことは大きなリスクとなり得ますが、注意深く耳を傾けることができないことも同様に重大な誤りです。

基本原則の理解が不足している

監査の対象となる基準の基礎となる重要な原則を理解することは、監査を実施するための基本的な要件に思えるかもしれませんが、その知識が十分に深まっていない人もいます。

監査を実施する基準を理解することも一つですが、例えば ISO9001の基礎となる品質マネジメントの7つの原則を十分に理解することも必要です。

この理解の欠如は、多くの場合、「独立性」のためには、監査員は組織の別の部門や領域から来なければならないという通説から来ています。しかし、これは間違っています。必要なのは、監査員が監査基準の適用を実践的に把握していることであり、特定の (おそらく否定的な) 結果を出さなければならないというプレッシャーのもとで監査を行っていないということです。

個人的なバイアス

また、適用される規格で要求される厳格な基準に照らして監査が実施されていることを確認することも重要です。適切に実施される監査には、個人的な解釈が入り込む余地はありません。個人的な意見やバイアスは持ち込まないでください。監査員に疑義を呈することは躊躇われるため、このような個人的なバイアスに被監査側が異議を唱えることはめったにありません。同様に、事実に言及することなく、要求事項の「解釈」を適用することもよくあることです。

中途半端で有効でない適合性の受容

単に文書化した要求事項を順守しているかは、監査員の探求の始まりに過ぎません。テストして検証する必要がある側面は他にもあります。これらには、結果の有効性、要求事項を満たすことに関わる人々の理解、そして特に内部監査員にとっては、物事がどれだけ効率的に行われているかということが含まれます。さらに、顧客の要求事項が満たされているか、あるいは満たされていないかを加えれば、より包括的な監査結果と報告を提供することができます。

実際の実施状況の検証を怠る

私たちは皆、会議室に陣を張って、麗々しく『客観的証拠』を提示する監査員の話を聞いたことがあるでしょう。そう、特に変数データを使用して記録を作成する場合、記録は結果の証拠になるというのが一般的な理解です。しかし、リーン生産方式でいうところの現場ウォーク (Gemba walk) に代わるものはありません。実際に何が起こっているかを見に行くことは、マネジメントシステム導入の重要な部分です。人々は実際に自分の任務を理解して、実行しているでしょうか?人々がどのように結果を得るかは、実際の結果と同じくらい重要ではないでしょうか?

不十分な不適合報告にもかかわらず対応を期待する

処置や対応の必要性を理解してもらえない不適合報告書を作成することは、監査が無駄になることを意味します。

「従業員が手順に従わなかった」と経営陣に報告する不適合報告は、被監査者から疑義をさしはさまれることはないかもしれませんが、処置につながる重要な事実が欠落しています。つまり、その結果どうだったのかということです。もし、監査員が取るべき修正や是正処置の道筋について手がかりを持っていないとしたら、被監査者にとってどのように役立つでしょうか。フォローアップはどうなるでしょうか?

CQIのAudit SIGのLinkedIn投稿でこのテーマについて意見を寄せてくれた皆さんに感謝します。
CQI レポート The Future of Work 未来の働き方
IRCAテクニカルレポート:ISO22000:2018